磐田が入れ替え戦で勝利してJ1に踏みとどまりましたね。それにしても松浦、この2試合でのラッキーボーイでしたが、まだ19歳にしてこの活躍。もちろんC大阪の香川にしても同年代だし、このシーズン、他のチームではユース上がりや高校新卒で活躍する選手が目立ちました。うちの吉田もその一人ではありますが、来期加入するウイリアムや大迫も、即戦力の可能性大なのではないか。期待が膨らみます。Jリーグの全日程が終了した今、クラブワールドカップや天皇杯もそこそこに、何より大迫君の鹿児島城西が出場する高校選手権の行方が気になるところです。

そんな合間ですが、やはり今シーズンのロアッソの検証。われわれも、われわれなりにやっておきたいと思いました。前回のエントリーで書いたように、「補強は最小限に止め、ほとんど現有戦力で戦うという道を選んだ」ロアッソ。そして、監督いわく「出来ることと出来ないことを見極め」「財産を残すための1年」ととらえたシーズン。果たして財産は残ったのか。それは何なのか。まずはリーグ戦の時間軸で考えてみたいと思います。やや縦に長くなってしまいますが、まずは今期の戦積を列記してみます。

第1節  ●愛媛2-1熊本
第2節  〇熊本2-1草津
第4節  ●熊本0-2湘南
第5節  △鳥栖1-1熊本
第6節  ●熊本1-2山形
第7節  △水戸2-2熊本
第8節  ●大阪1-0熊本
第9節  ●熊本1-2広島
第10節 〇熊本2-1甲府
第11節 ●横浜5-0熊本
第12節 〇福岡2-4熊本
第13節 ●熊本0-2岐阜
第14節 ●徳島0-2熊本
第15節 △熊本2-2仙台
第16節 ●山形3-1熊本
第17節 ●草津2-0熊本
第18節 ●熊本1-2福岡
第19節 △岐阜0-0熊本
第21節●熊本0-1鳥栖
第22節△仙台0-0熊本
第23節〇熊本3-2大阪
第24節△広島2-2熊本
第25節●熊本1-3水戸
第26節●甲府3-1熊本
第27節〇熊本1-0愛媛
第28節●湘南4-1熊本
第29節〇熊本3-0徳島
第30節△熊本1-1横浜
第31節△福岡2-2熊本
第32節△熊本2-2大阪
第33節●甲府5-1熊本
第34節●熊本0-2水戸
第35節●熊本0-4仙台
第36節〇鳥栖1-2熊本
第37節〇熊本1-0横浜
第38節△草津0-0熊本
第39節△熊本2-2徳島
第40節〇湘南0-1熊本
第41節△熊本1-1岐阜
第42節〇愛媛0-1熊本
第43節△山形1-1熊本
第44節●熊本1-2広島

こうやって見てみると、長いようで短い、短いようで長かったシーズンでしたね。まず愛媛との開幕戦。この頃はまだ4-4-2でした。スタメンに名を連ねるのはDFでは上村や有村、MFには小森田。GKに吉田、左SHに車、FWに中山と、今シーズンの新たなメンバーも加わるものの、やはり昨シーズンからの戦力がベースでした。

シーズン当初から掲げたコンセプトは「積極的な守備からの攻撃」。それをそのまま素直に体現しようと、前線からアグレッシプにボールに向かいますが、いかんせん90分間という時間の“量”に及ばず、前半、後半というトータルのゲーム・マネジメントの“難”も露呈してなかなか結果に繋がりませんでしたね。第4節の湘南、第6節の山形戦はともかく、引き分けに追いつかれた第7節の水戸戦でも、このリーグの“速さ”と走り抜く“強さ”“しぶとさ”を見せつけられました。

さらに5月の連休の前後の連戦では、甲府に競り勝ち、横浜に大敗を喫し、福岡に逆転勝利を納めるなど、このリーグの日程の厳しさのなかで、相手とのコンディション調整の差が結果に如実に現れるということを実感しました。サッカーはやはり生身の選手の戦いだなと、改めて実感しました。

その後もなんとも“勝ちきれない”という試合が続きました。このころはベンチの試合運びにもまだ迷いがあったのか、追い込まれて点を取りにいかなければならないケースで3-5-2に変えてかえってバランスを崩してしまい、(結果論ですが)試合を失ってしまうようなゲームも見られました。

シーズン開幕に間に合わなかった故障選手たちが戻り始め、木島や吉井が途中投入された第15節あたりから、徐々にチーム力が底上げ(あるいは基礎固め)されてきたのではなかったでしょうか。山口、山本という汗かき役が90分間走り切れるようになり、そこに吉井、宮崎といった選手が加わりました。

そして最初の転機は第19節の岐阜戦ではなかったでしょうか。この日ロアッソは、上村も有村もいないDFラインで、初めての零封を成し遂げました。勝利こそ逃したものの、最悪のコンディションのなかでアウェーの90分間を凌いだこの経験は、若いディフェンダーたちに自信を与えたに違いありません。市村と矢野という両SBのバランスも良くなってきました。

さらにもうひとつの転機は第27節愛媛戦。前節甲府にいいようにやられた指揮官は、「相手にされて嫌だったことを試す」と、リーグ戦では封印していた4-1-4-1のフォーメーションに着手します。ここに今シーズンのロアッソの中盤を象徴する山本、吉井、宮崎のトライアングルが形づくられました。この3人の位置は縦に横に非常に流動的であるばかりでなく、そのスタミナを持って、ボックス型ではなかなか成しえなかった後方からの追い越しについても可能にしていきました。さらに最終形では前線に3トップともいえる高橋、木島、中山の布陣。序盤から得点ランキングを走る高橋への厳しいマークに対し、この2人が加わることで、相手の両SBをけん制し、こちらの両SBを高い位置に陣取らせることを可能にしました。ここでも木島、中山の両人の泥臭いまでの守備を誉めることを忘れてはいけません。

また守備陣もファーストブロックやグループでの守備、カバーがあることの安心感から高い位置をキープでき、全体をコンパクトにすることに奏功しました。もちろんそれだけでなく、仮に失点しても焦って前がかりになるのではなく、落ち着いて守備から入り直すという“試合運び”がチーム全体に浸透してきたことも、“負けない”ロアッソへの転換になったのだと思います。

それはちょうど第2クールを終え、第3クールに向かうころ。リーグも終盤を迎え、J1昇格を目指し不退転の決意で臨む上位チームとのガチンコの対戦が続きました。33から35節では、その勢いに完全にのまれてしまった感じがします。まだまだ技術もメンタルも弱いところを露呈しました。ようやく立ち直ったのはアウェー逆転での第36節鳥栖戦。つづくホームでの横浜戦で初連勝を達成。これが自信となって、44節広島戦までの不敗が続くことになりました。

われわれが今期このブログで一番使った言葉は「ハードワーク」ではなかったでしょうか。「積極的な守備からの攻撃」を完遂するためには、まずは90分間持続する「ハードワーク」が個々に求められ、ハードスケジュールのなかでも、徐々に発揮されるようになりました。おそらくは各々の選手レベルで見れば、その体力、走力などのパフォーマンスはシーズンを通じて格段に進化したのではないかと思います。

また、その経験からくる“試合運び”も、少しずつですがこのカテゴリーに順応してきたように感じます。そして今シーズンの熊本のサッカーを象徴するシステムとしての4-1-4-1。現メンバーでの、現在のリーグでの位置関係のなかで最高のパフォーマンスを発揮するシステムだったといえるでしょう。JFL時代の個々のスキルに頼っていた戦いから、「人もボールも動く」「後ろから追い越してくる」「3人目の動きがある」チームサッカーに脱皮してきたと思います。すべては「守備」「切り替え」に始まる“スタンダード”なサッカーの匂いが漂ってきましたね。

一方で課題としては、波が激しかったチーム全体のコンディション。最後の詰めの甘さで失った勝ち点。例えば岐阜との第3戦のように、相手に引かれたとき、自分たちがポゼッションできる場合にどう崩すのかという戦術。あるいは、ロングボールからの得点が目立ち、カウンターにしてもどう中盤で繋いでいくのかといったところ。また、プレースキックからの攻撃の精度。などなど・・・。

いや、いずれにしても素人分析にしか過ぎません。司令官(兼GM)は百も承知であろうし、更にこの1年の成果をベースにした来期の成長に答えを出すべく、今ストーブリーグの厳しい交渉の渦中にいるのだろうと想像します。

できること、できないことをはっきりと見分け、戦い方も含めて、チーム作りにおいて無理をしなかった。そしてその戦略がシーズンを通して微動だにしなかった。選手も、ファンも、マスコミもそれを信頼し、共有できたシーズンだった。“財産は残ったか?”と振り返ってみたとき、実はこの経験こそが次のシーズンに繋がる最も大きな財産ではなかったのかなと、われわれなりの思いであります。


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