NW北九州とのTMを見に行ってきました。もう開幕を待ちきれないぞ。そんなファンが多数詰めかけ、大津球技場のメインスタンドはギッシリ。何の根拠もありませんが、今シーズンへ向けて、ファン層の一段の広がり、熱さのようなものを感じるのはわれわれだけでしょうか。

そしてピッチでは、われわれが前エントリーで全くの「妄想」のつもりで書いた小森田のワントップ=熊本版ゼロトップが実際に出現していました。もちろんまだまだチームとしての練習は始まったばかり。仕上がりや合流が遅れている本来のFW陣のせいもあって、TMでも実験的なフォーメーションなのは間違いないのでしょうが、今年のロアッソの戦術を垣間見ることができます。

小森田のワントップ=ゼロトップ。多分、(小森田の持ち味を生かしたいと思っている)われわれの周りの多くも同じことを考え、期待していたようです。ただ公式サイトの「中盤に下がることも多かったですね」という小森田へのインタビュー。それはちょっとゼロトップに対する質問としては的確ではないような…。小森田自身も苦笑していたようですが。

最近暇つぶしに手にした本で、西部謙司・浅野賀一著「戦術に関してはこの本が最高峰」というのがあります。(題名が大仰でいかにもうさん臭そうだったのですが、“物語”としても読める面白い本でした。)それによると、「ゼロトップ」の誕生はASローマの、セリエAを代表するトップ下といえるトッティの、FWへの“コンバート”が始まりだそうです。
本来MFのトッティをトップに置いた4-2-3-1。そしてこのシステムの圧巻は2列目の3人の機動力。もちろんローマにしても深刻なFWの駒不足から生み出された苦肉の策だったのかも知れません。しかしそれは、決して「得点能力の高いMF」をFWにコンバートするということではなかったわけで、前線のトッティが自由に動き回って空けたスペースに2列目が次々と侵入していく。彼が前線でタメを作ることで後方選手の押し上げを助ける。トッティを中心にスペースメイキングとフリーランニング、パス交換を繰り返し、相手を“崩して”いくということですね。そういう意味では、昨日の試合、前半で見せた熊本の速くて流動的な攻撃。激しいポジションチェンジ。山内、西森、山口の突破。あるいはバイタルエリアでの小森田のワンタッチのラストパスこそ、熊本版ゼロトップが見せた“可能性”なのだと思いました。

「ゼロトップ」に必要なのは、全員守備と全員攻撃。選手個々の運動量。そして縦に速いオートマティズム。カウンターもポゼッションも出来るバランス。まさに、今年北野新監督のもと熊本が目指しているのは、そんなサッカーではないかと。それゆえの現時点での実験的システム。逆に言えば「ボールも人も動くサッカー」という現代サッカーの究極的目標を、“熊本なりに”実現するための布陣に挑戦しているのではないのかと…。

「誰がとこかというポジションは関係なく、どう戦うかということ。システムがどうのこうのではなく、フォーメーションも全く関係ない」。公式サイトでの北野監督の動画コメントは、ちょうど5年前、来熊直後の池谷前監督に尋ねたときの答えと重なって聞こえたのは当然でしょう。単に小森田の得点能力に期待して試しているわけではない。むしろたくさんの選手が点に絡むことを期待している。それが熊本版ゼロトップではないでしょうか。昨シーズンは“攻撃的な守備から”をテーマに掲げ、熊本なりの戦い方を見出していきました。そして今シーズン。今はまだ実験段階かもしれませんが、シーズンを通してこれにこだわり、熟成させていく…。まったく勝手な想像ですが、どうでしょう。

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