3月8日(日) 2009 J2リーグ戦 第1節
熊本 1 - 2 草津 (13:06/熊本/7,013人)
得点者:43' 藤井大輔(草津)、74' 熊林親吾(草津)、89' 宇留野純(熊本)


遠足の日の小学生のように、あるいは若い頃夢中になっていたゴルフのラウンド日のように、待ちきれない気持ちでいつもよりずいぶん朝早く目が覚めてしまいました。何とも手持ちぶさたな時間。それではと、健軍商店街が企画した無料シャトルバスのことを思い出し、ピアクレスに行くことに。まだまだ認知が行き渡っていないのか、乗客はまばらでしたが、送り出していただく商店街の人たち、そしてここにも熊日のスタッフ。地道も地道な取り組みですね。そして何と言っても乗り込むのはロアッソラッピングバス。車内では公式応援歌や監督・選手達のインタビューが流れるなか、KKまで約30分の道のり。徐々に気持ちが高まってきます。

入場待ちの行列に並び、入ったKKのコンコースは開幕を待ちわびたファンでごった返していました。売店ブースは、いつもの人気店もあれば新しい顔ぶれもあり。これが今年も熊本自慢のグルメスタジアムを彩る人達です。ヒライのお弁当をほおばる手が震えるのは、風が冷たいせいか、それとも武者震いなのか。ユニフォームスポンサー7社の代表取締役による始球式、必由館高校生による国歌斉唱など、数々の開幕セレモニーが終わり、ゴール裏のチャントがスタートすると、上がってもいない花火の音が心の中で響き渡り、「開幕」を実感しました。

キックオフの笛とうねりのような歓声。フィールドには、真新しいプーマ・レッドのユニフォームに身を包んだ宇留野がいて、石井がいて、藤田が走りまわる。新生・北野ロアッソの初陣。昨年一年間の“財産”をベースに、今年は「面白いサッカー」を目指すという。対する草津は、昨年のホーム開幕戦でも顔を合わせたチームですが、今年は司令塔の島田が去り、広山がその穴を埋めるのか。フォーメーションは4-4-2の様子。

草津 (先発フォーメーション)
9高田 27都倉
14熊林10広山
30松下6櫻田
2寺田7佐田
4田中26藤井
 1本田 
互いに開幕試合の堅さはあるものの、「様子を見ていこう」などという考えは一切ないという感じ。ポゼッションの取り合い。ロングボールで守備ラインの押し戻し。前半徐々にホームの声援を背にした熊本がチャンスを作っていく。決定的なシーンも2度、3度。藤田には草津の櫻田がガッチリマークしていましたが、そこはさすがの藤田。厳しいプレッシャーにも苛立つことなく、“豊かな表現力溢れる”ワンタッチプレーで次々に見せ場を作りました。宇留野、木島、小森田へのキラーパス。自らも飛び込んでのヘッド。しかし、好機を逸している間にCKから失点を許し、1点ビハインドのまま前半を終えることになってしまいました。

後半、左SBに西を入れて、もう一度最終ラインからのビルドアップでゲームの建て直しを図りたい熊本。これが今年の北野イズムです。西は期待に応えてサイドをえぐっては、感触のいいクロスを供給しました。まだまだ周囲との息が合っているとは言い難いのですが、受け方、位置取りなど考えられた動きは質の高さを感じさせるものでした。それでも、熊本のゴールは遠い。草津は全員の動き出しが半歩早く、プレスの厳しさが徹底している。それは、大胆ともいえるほどの高い最終ラインが成せる技とも言えました。幾度もオフサイドの網にかかり苛立つ木島。それを押し下げようと放り込むロングボールで、熊本の攻撃もまた単調になっていく。

もう一度、今期のコンセプトを思い出して。最終ラインからボールを回してポゼッションで崩していこう。矢野の痛恨のパスミスはそんな時間帯でした。両SBは高く位置取り、ふたりのCBの間にはボランチの石井が下がっている。そこのパス回しでのミス。昨年も開幕から前半戦あたりまでの試合では何度か目にしたバックラインでのミス。失点に直結する痛恨のミスです。しかし、試合後のインタビューで監督は特にそのプレーを責めることはありませんでした。「ボールを動かして」スペースを作りそこを突いていこう…。今年のコンセプトに戻ろうとしていたところだったからでしょう。昨年のミスとは確かに内容は違うんですが、これからという時間帯での追加点は、やや集中力を欠いたような“見え方”とともに展開としては最悪でした。

7000人のファンは静まり返り、意気消沈。それでもロスタイムに宇留野が押し込んで一矢報い、最後に入ったFWの井畑の泥臭い運動量が大きな可能性を感じさせるなど、スタジアム全体が“救われた”思いでした。

改めて、草津とはよく似たチーム同士なのではないかと思います。志向するサッカーという意味で。例えば甲府がそうであるように・・・。ただ、この試合では完全に制空権を奪われ、アジリティでも玉際の強さでも明らかに向こうに分があったというのが実感です。この点は相当に修正の必要があるでしょう。

しかし、熊本が随所に見せたポゼッションからの“崩し”、それに拘るボール回しの姿は、今年の北野サッカーのコンセプトを感じさせるに十分でした。昨年とは明らかに違う、というより昨年は見たこともないようなスタイルです。昨年も開幕戦、愛媛相手に同じように昨年のチームコンセプトを掲げ、挑戦し、結果、同スコアで敗れました。もちろんこのゲームで結果が出ていれば申し分ないのですが、それも所詮は「たら」「れば」。むしろ、今年のチームのこれからの成長への“期待軸”と、またこの草津とは五分五分に持ち込むことが可能なんだという手ごたえが得られたことこそ、この開幕戦の“結果”なのではと。

次は草津を倒す。翻弄する。ねじ伏せる。そのときこそハッキリと10位以内が見えてくるということでしょう。

試合後スタジアムを一周する選手たちに送られる多くの拍手を眺めながら、皆が同じ気持ちなのだと感じました。今年もブレることなく応援していこう―そう思っていることも・・・。いよいよ始まったロアッソ二年目のチャレンジ。新任北野監督もきっと眠れない日々が続くこともあるでしょう。そんな時はこのファンのみんなのことを思い浮かべて、信念を貫き通して欲しいと思います。

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