5月2日(土) 2009 J2リーグ戦 第12節
熊本 1 - 1 岡山 (13:03/熊本/4,776人)
得点者:28' 小林優希(岡山)、68' 木島良輔(熊本)


今日を皮切りにこれから続く新加盟チームとの初顔合わせ。最初の対戦は、ファジアーノ岡山になりました。とは言っても、富山はあのJFLで何度も苦杯を舐めさせられたYKK・APとアローズ北陸が母体のチームだし、栃木とは互いに因縁深い間柄。唯一、JFLではすれ違いに終わっている岡山の印象だけが薄い感じがします。しかし、以前も書いたことがありますが、岡山とは過去に公式戦で一度、対戦経験がある。あれは05年11月、大津球技場で行われた地域リーグ決勝大会の予選ラウンド。JFL昇格を賭けたこの決戦の初戦。硬さの隠せない熊本に対して厳しくプレスを掛けてくる岡山。4-3の大味な内容ながらも、福嶋、米山の両FWの活躍でなんとか辛勝。この勝利で流れにのり、何とか決勝ラウンドに進むことができました。

あの年、JFL昇格のチャンスを熊本に阻まれた岡山。しかしその夢は潰えることなく受け継がれ、昨年JFLを1年で通過すると遂に今年Jの舞台に上がってきました。それは岡山のサッカーファンからすれば、神戸に移転しヴィッセルと名前を変えた川崎製鉄水島サッカー部のJFL(あるいはJSL)時代にまで遡る悲願だったのかも知れません。

再び相見える日も近いかも知れない。そういう思いで昨年足を運んだ横河武蔵野対岡山戦。そのときの印象を「喜山のチーム」と書き記しています。また、中盤で汗をかいていた関こそいないものの、サイドの妹尾、そして水戸から移籍した西野は要注意でした。

熊本は、累積の出場停止から矢野が戻り、キャプテン河端が入ったCBのほかは、前節と同じ中盤ダイヤモンドの4-4-2。今日も変わらず藤田の姿があります。対する岡山は、ボックス型の底に喜山を置いた4-4-2の布陣。

岡山 (先発フォーメーション)
19西野 20武田
17妹尾14小林
28小野11喜山
32田所4澤口
23植田13金
 21真子 
序盤、少し受けに回った感じの熊本。初対戦の相手に様子を見ているのか、それとも連戦の影響か、何となく出足が鈍い。岡山は前節、念願のリーグ参入初勝利を飾り、吹っ切れたように飛ばしてくる。噂どおりの高い最終ライン。コンパクトな陣形から激しいプレスを仕掛けてきます。熊本も同じく一歩も引かない高いライン。非常に狭いエリアでの互いの奪い合い。ただ、しっかり回しているのは熊本。今日はアタッキングサードでもブレーキが掛かることはなく、3人目、4人目の動きもありPAを崩していくのですが、残念ながらラストパスの精度、あるいはフィニッシャーとの“呼応”に欠ける部分がありました。

そんな時間帯が続く前半28分、藤田の対応に専念させられていた喜山が一瞬フリーでボールを捌く。FWの武田にボールが納まりドリブルを仕掛けようとするところを河端が思わずファウルで倒してしまいます。嫌な位置からのFK。そこから小林に直接ゴールを割られます。またしてもセットプレーからの失点。優勢のなかで先制点を与えるという、今季何度も繰り返している失態でした。

この日のKKウィングは文句なしの五月晴れ。湿度は高くないものの、ピッチの気温は相当に高そうで、前節の日陰の味の素スタジアムとは全く違うコンディション。しかも、中二日の連戦の3試合目。後半は、“疲労”というもうひとつの要素がお互いにどう影響するのか…。後半10分過ぎからでしょうか、熊本のポゼッションに対して、徐々に岡山の足が止まり始めたのがスタンドから見てもわかりました。間延びしてきた陣形。偏ってきたバランス。熊本が攻勢を示し、次々にゴールを脅かす。同点弾は23分、エリア前でワンタッチのボール回しから山本がラストパス。右サイドから木島がラインをかいくぐると振り向きざまに右足でゴールに突き刺しました。残り時間もまだ充分ある。誰もが前節に続く逆転劇を信じました。

しかし、岡山も黙ってはいない。2人同時の入れ替え。それは結果的に喜山を前線に上げるという“戦術的交代”。守備ブロックを作り直し、もう一度ショートカウンターから追加点を奪いにいくという“原点”に徹底しようと意図する。42分のシュートはディフェンダーに当たるとバーにも阻まれなんとかクリア。幸運。稲田の守備。

熊本も中山に代わってFWに入った西森がかき回します。ドリブルを仕掛け、フィニッシュに持っていく。この高さのない2トップを擁して、ショートパスを繋ぎまくり、全員参加の波状攻撃でバイタルエリアを崩していく。これは実に面白い、今季の熊本のスタイルの典型のような。しかし最後の最後まで、岡山の長身CBの守りは堅かった。いや、やはり最後のところでスピード=ダイレクトな繋がりが足りなかった。攻撃のイメージが今一歩、共有されていなかった。

振り子のように、あるいはシーソーのように攻勢が互いに移動するような後半でした。交代のカードという監督采配もさることながら、一歩でも走り遅れ始めることが、相手に勢いを与えることに他なりませんでした。お互いその根底にあるのは、目には見えない疲労でした。どちらも初の連勝を狙った初対戦は、結局、勝ち点1ずつを分け合う“意地”の結果に。それは連戦のなかでの“痛み分け”ともいうべき結果ではなかったでしょうか。
岡山はやはり喜山のチームだったし、サイドの妹尾は嫌なプレーヤーだった。それにも増して、補強したCB、水戸時代にも点を決められたことのある西野の存在感。手塚監督のシンプルで“見切りのいい”戦術は浸透していて、まるで昨年の自分たちと擬似対戦しているような、変な“重さ”や“苦しさ”を感じました。

次回対戦は敵地・桃太郎スタジアム。忘れもしないあの地域リーグ決勝の地。最後は歓喜に涙したものの、二度と思い出したくもない壮絶な戦いの場だったあのスタジアムで、再び戦わなければならないことは、選手はともかく古いファンにとっては、ちょっと“おっくう”な気分なのではないでしょうか。印象が薄いと感じていた岡山ですが、Jでの最初の対戦を経てその姿ははっきりと焼き付けられました。負けられない。今度は圧倒的な力でねじ伏せたい。そんな気持ちがしっかりと芽生えてきました。

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