6月7日(日) 2009 J2リーグ戦 第20節
熊本 1 - 1 横浜FC (13:03/水前寺/4,519人)
得点者:16' 宮崎大志郎(熊本)、68' 難波宏明(横浜FC)


横浜FC (先発フォーメーション)
18西田 9池元
13片山11三浦カズ
29チョン・ヨンデ5八角
6吉田14田中
2早川7吉本
 21大久保 
いや本当に暑かったですね。またもや熱射病っぽくなってしまいました。横浜FCを迎えた水前寺。前日の熊日の予想スタメンを見ておもわず笑ってしまいました。藤田がワントップに入るのは前節と同様なのですが、その後ろに宇留野、山本、宮崎、西という4人の選手が横一列に並んでいる。さらには中盤の底の石井の下には、4バックが控えている。まるで二人の“先生”が生徒たちを引率するような格好に見えて…。今や誰もがそう呼んでいる藤田のゼロトップは、4人それぞれが前の選手を追い越して、エリアに入っていく形ですが、こうもはっきりと一列に並んでいる図で書かれると、まるでアメフトのショットガン・フォーメーションを思わせます。そしてそのとおり、今日も西、山本、宮崎とどんどん飛び出して、QBならぬ司令塔の藤田からの精度の高いパスを受ける姿が見られたのですが…。

最下位に沈む横浜はカズが90分間ピッチに立ちました。試合前、アップが終わりベンチに引き上げるところで、藤田とカズのエールの交換。またまたロートル・ファンを喜ばせます。41歳のカズは今日がJ2でも100試合達成。37歳の藤田も、彼の前ではまだまだひよっ子なのでしょうか。

今日の試合、一言で言ってしまえば、前半押されていた熊本のほうが先制点を決め、後半みごとに修正したものの横浜に同点弾をくらうという展開。横浜の最終ラインは恐ろしいほど高く、全体は非常にコンパクト。そのなかで中盤が熊本のバイタルエリアを脅かす。そこは先週の鳥栖に習ったところもあったかも知れませんが、今日は山本のところでも二人、三人で潰しにかかります。高いところで奪っては、それ行けとばかりに速くシンプルに攻撃に繋げる。いかんせんフィニッシュの精度が悪くて助けられましたが。熊本は、試合後に北野監督が言っていたように「味方同士の距離が短すぎた」。敵の高いDFラインに蓋をされるように並んでしまっていました。

藤田は意図してサイドに張り、ボールを引き出そうとしていました。またはロングパスに競って、前線で潰れ役になることで、サイドに通過するハイボールに走りこむように“生徒たち”に求めていました。16分、藤田からダイレクトで右サイドを駆け上がる(追い越す)山本へ。山本のクロスはエリアに入りこんだ宮崎に。宮崎が思い切りよく蹴りこんだシュートはGKの手をはじいてゴールに刺さります。今日も先制点。幸先のよさに飛び跳ねるスタジアム。しかしその後は防戦一方。西田や池元、片山に次々にゴールを脅かされます。正直、もうちょっと精度が高ければ3点ぐらいは失っていたかという決定機に肝を冷やして前半を終えました。

ハーフタイムに練られる後半の修正プラン。しかし選手交代となれば通常、それは後半10分か15分、再び相手の出方を見てからカードを切ることが多い。けれど熊本は、後半開始早々から宇留野に代えて井畑を投入してきました。それほど熊本の前半は悪すぎた。宇留野のパフォーマンスがいまひとつというようにも見えましたが、他の選手と役割がかぶりすぎたためと言えなくもないでしょう。要するに“詰まっていた”状態。井畑と西を2トップに、藤田を2列目に下げ、中盤はダイヤモンドにして選手間の距離を広げたように見えました。これに井畑らしいハイボールへの競争力、前線での執拗なディフェンスが相まって、中盤でも互角にボールが奪えるようになった熊本。西が右サイドに走り中の井畑にクロス。そのあとすぐも藤田から左の宮崎にスルーパス。しかし、どちらも撃てずに終わってしまいます。

横浜は状況を打破するために難波を入れます。さっそく片山とのコンビネーションで脅かしはじめます。熊本も中央で受けた井畑が思い切りよくミドルシュート。これはバーに嫌われスタンドからため息が漏れました。同点弾は一瞬の隙でした。左サイドからのクロスに対して中央のチョ・ソンジンの前に入って難波がヘッド。難波らしい高い打点の、らしいプレー。ソンジンのマークが甘くなった瞬間を見逃しませんでした。

その後はお互いカードの切りあいで追加点を狙う激しい時間帯になりました。熊本が西に代えて木島を入れると、横浜は西田に代えて御給。横浜がサイドに須藤を入れると、熊本は期待の高卒ルーキー大迫をデビューさせました。

水前寺の芝が長く、パススピードが上がらなかったせいもあったのでしょうが、浮き玉、ロングボールでのカウンターの応酬。この気候条件にしては攻守に切り替えの激しい、厳しい試合展開。ピッチとの距離が近い分、明らかに選手の息が上がってくるのが感じられます。ロスタイム、終了の笛ギリギリまで得点のチャンスが互いに訪れる。それはまるで最後のゴングがなるまで互いにパンチを繰り出して戦っているボクサーのようであり。まさしく死闘でした。

互いに欲しくて欲しくてたまらなかった勝ち点3。今日のサッカーの女神は白ネコに姿を変え、両チームを隔てた塀のうえから戦況を伺っていました。互いに一生懸命呼び寄せようとしましたが、どちらの側にもそれは舞い降りず、そ知らぬ顔で塀のうえをそのまま通り過ぎて行ってしまいました。それはもちろん互いにまだ何かが足りないから。熊本で言えば今日は、完全に崩されたわけでないだけに、あの一瞬の守りの隙だけが悔やまれますが、しかしそれを埋めるための集中力というメンタルや、そのメンタルを維持するためのフィジカルが、まだまだ求められるのでしょう。もちろんそれは全員の選手に。

一方で前節、今節と、色々なオプションが試されたという見方もできるでしょう。そのなかで、もちろん選手個々のコンディションなどの条件はともないますが、目指すコンセプトのためにはどうしたらいいのかということも随分とくっきり見えてきたような気がしてなりません。西は前線での役割、動きにすっかり自信を得たようだし、今日がデビュー戦になった大迫も、もっと長い時間見てみたいし。逆に課題が突きつけられた部分もあったように思います。こうやって新しいメンバーが入り、それぞれが“チャレンジ”してチームの姿、パフォーマンスが徐々に形を変えていく。勝ち点3が遠のいているようで、実は勝利の白ネコも未練がましく振り返って見ている。そんな感じではないでしょうか。また次が楽しみだ。そう思わせる試合が続いていると思います。


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