7月8日(水) 2009 J2リーグ戦 第26節
熊本 0 - 2 東京V (19:03/熊本/3,744人)
得点者:42' 平本一樹(東京V)、70' レアンドロ(東京V)


「第2クールは勝ちにこだわる」という表現とともに、「相手によって戦い方を変える」とも表明していた北野監督。中山が再び故障という情報もありますが、宇留野、山内、藤田、西で前線を構成してきました。恒例の熊日の戦前予想フォーメーションでは、藤田のワントップ。試合後確認したスカパーでのシフトは宇留野がワントップになっていましたが、いずれにせよそんなものにあまり意味はなく、試合中は全く流動的でした。

前回対戦で逆転大勝したイメージは残っているものの、東京Vはここまで3連勝中で調子が上がっている。序盤の低迷を脱しついに5位まで順位を上げてきている。好調の要因は、13ゴールでランキングトップに立つエース大黒の活躍とともに、守備の組織にまとまりがでてきたことにありました。付け入る隙は・・・、こちらが中5日なのに対し、相手は中2日のアウェー移動だということぐらいなのか。

東京V (先発フォーメーション)
25平本 9大黒
10レアンドロ7河野
22服部8柴崎
24那須川23藤田
14富澤17土屋
 1土肥 
前半、なかでも序盤は全く互角に見えました。熊本は文字通り流動的にポジションチェンジを繰り返し、ボールを回していく。まるで東京のプレスを“いなして”いるようで、貫禄すら感じさせました。しかし、これは逆にいえば東京が“凌いで”いた時間帯であったとも言えるわけです。そこには、前回の痛い敗戦から、熊本を“侮らない”意識を相当に高めてきたのでしょう、選手の顔つきを見るだけでそれが伺えます。ポゼッションを志向する似たような戦術のチーム同士が、コンパクトな陣形で火花を散らしている感じ。大黒の前線での働きの質の高さ。藤田と服部、古い僚友の対決。吉井の怪我が癒えて中盤を駆け回る。いいゲームになりそうな予感がしました。

20分過ぎに得たセットプレーに時間を掛ける東京。この試合展開のなかでこのリスタートの重要性を全員が共有している。これが攻勢の合図のように映りました。左からシュート性のクロス。木下がパンチングで逃れる。DFラインの裏を突いた大黒へのパスはオフサイドになりましたが、次第に押し込まれ始める。左CKからレアンドロのキックを木下がクリア。拾ったところを倒しゴール前でFKを与える。再び左CKから今度は45度のサインプレー。クロスに飛び込む大黒。木下がパンチング。再びゴール前からのFK。

まさしく今度は熊本が“凌ぐ”時間帯。なんとかこのままスコアレスで前半を終えたいと誰もが思っていた。しかし42分、東京の圧力に熊本の守備が決壊。左サイドを上がってくる那須川にはたき、入ってきた良質のセンタリングに大黒、レアンドロ、平本の3枚が中央に飛び込む。どれも打点は高い。決めたのは今期初得点という平本の頭でした。

両者がポゼッションの奪い合いという“差し手”争いの末、がっぷり四つになったものの、体重差で土俵際に押しやられているような感じ。あるいはアメフトのランプレーで1ヤード単位で陣地を奪い取られているような。そんな神経戦とも言える地味な戦いのなかで示されるのは、東京の対人の強さとひとつひとつのプレーの精度。少しのミスも許されない。誤魔化しようがない。

そんな感覚は後半も変わりません。レアンドロをイラつかせようとする執拗なディフェンスも、テクニックでその意図をかわされる。ある意味で既定のプランどおりに吉井、西を引っ込め、山本、木島を同時投入しましたが、ゲームプランの崩れは回復できません。70分にはパスミスをインターセプトされ平本がドリブルでエリアに侵入。これを木下がたまらず倒してファール。このPKをレアンドロにきっちり決められ2点差とされました。

東京の絡めとるようなディフェンスの前に、2点差の挽回は厳しいものがありました。同じように両SBを高く上げ、2枚のCB中心で守っているのですが、その要所要所での読みの早さ。対人の強さと(重さとも感じるような)上手さ。奪っては、まるでプログラミングされたようなボール運びのオートマティズム。熊本がWトシヤに一旦あずけて“考える”のとは対照的でした。横浜FCをJ1に上げた実績を持つ高木監督。かつてのアジアの大砲は、今や人間味溢れるマネジメントで、いい監督になっている。選手補強につまずいた感のあった東京を、実にいいチームに仕上げてきているなあと。

今回の対戦。同じようなコンセプトを掲げるチームだけに、われわれとしては熊本が確実に強くなっている部分を見たいということと同時に、昇格を狙うチカラのある上位チームが“好調の波に乗っている時”に、しかも熊本というチームを侮らずに当たってきたときにどんな戦いができるのか、というところも興味をもって見ていました。当然のことながら戦前から厳しい予想がされていましたが、結果は今の時点での“差”が明らかに示されたということでしょう。26節目という後半戦スタートの試合。この直前4試合で得た手ごたえと課題、そしてこの東京戦と、今の熊本のポジションやリーグ全体が俯瞰して見えたような気もします。見方によっては非常に地味な負け試合としか映らないかもしれませんが・・・。しかし、これからの後半戦、そして来期につながるという意味でも、本当の意味で上位(トップ6)を相手にどう戦っていくのか。差はありましたが、埋められないものではない。いや、これをどう埋めていくのか。目の前にある課題のありようも明確になった節目の試合だと思いました。

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