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7月19日(日) 2009 J2リーグ戦 第28節
熊本 2 - 3 富山 (19:03/熊本/5,937人)
得点者:8' 西弘則(熊本)、35' 永冨裕也(富山)、58' 石田英之(富山)、66' 宇留野純(熊本)、69' 西野誠(富山)


う~ん。やっちまった。という感じの試合でしたね。富山に逆転劇を演じられ敗戦。決して崩されたわけでもなく、なんとなく肝心な時間帯で喫してしまった失点。こんな試合もあるさ、とうそぶいてみますが、勝てば順位逆転だったゲーム。逆にこの敗戦で岐阜にも抜かれ13位に転落してしまいモヤモヤ感が募ります。

前回対戦では主力を休ませ攻め手を欠いた熊本。今節は一週間の試合間隔もあって、現在のベストの布陣を敷いてきました。出場停止の原田のポジションには矢野。ここのところ自分達のサッカーではない“内容”で、なんとか勝ちきって“結果”を残してきている感の熊本。富山相手の今日の出来は特に注目されるものでした。降りそうで降らない。まだ梅雨明け宣言を躊躇している暗い熊本の空は、しかしピッチ練習のときに夕立のようにKKの芝を一瞬にして濡らしました。試合開始時には上がったものの、さらに高まった湿度と、急に吹いてきた風が、この試合の行方にもうひとつの要素を加えたのは確かでした。

富山 (先発フォーメーション)
11永富 13長谷川
14川崎7朝日
5長山25野嶋
27舩津19西野
3堤6濱野
 1中川 

先制点は熊本。8分、石井が自陣から前線の西にスルーパス。西のスピードがDFに勝る。瞬間、左足から放たれたシュートにGKは一歩も動けず、ボールはゴールに吸い込まれます。早い時間帯、幸先の良い展開に沸くスタジアム。しかし、このあと熊本に畳み掛けるような“厭らしさ”や、相手の肝を冷やすような“凄み”が見られなかった。押し込めば次々に奪うであろうCKも皆無だったし、逆に富山の反転攻勢を受けに回ったのが今日の敗戦の遠因でした。熊本も今日は前線からアグレッシブに奪いに行きましたが、富山のプレスも健在で、更にバイタルエリアに入ろうとするボールに必ず足が出て、熊本の組み立てをうまく阻害しました。

35分、嫌な時間帯で富山の右CK。今日ここまでパンチングやキックで“いつもらしさ”を欠いていた木下、いかにも中途半端な判断。ファーサイドにいた永冨がソンジンとの競い合いも物ともせず、ゴールに押し込みました。
振り出しに戻った試合。後半は的確なベンチワークが試される試合とも言えました。長い故障から復帰したばかりの長谷川を下げて石田を投入。この交代が奏功。ハーフライン手前からのカウンター気味のドリブルでエリア手前まで持っていかれました。最終的にはエリア前で1対3、飛び込むべきかどうか、止めるべきかどうか、逡巡する熊本DFより一瞬早く強引なシュートを放った石田。富山が勝ち越します

後で録画を観たら、ベンチに下がった長谷川は明らかに泣いていました。再び故障していた箇所を傷めたのかも知れません。確かに前回対戦時も精細を欠いていた。長く古豪YKK・APのエースに君臨したFW。ようやくたどり着いた、遅すぎたともいえるJの舞台でまだノーゴール。J昇格前の熊本に何度も辛酸を舐めさせたあの長谷川が頭を抱えるようにして泣いている…。

一方、追いつかれた熊本はすかさず中山に代えて宇留野を投入。21分、この宇留野をターゲットに押し上げたDFラインから福王が長いグラウンダーのパス。相手DFを背負って納め、反転して猛然と突っかけ、並走するDFを振り切って左足でシュート。アウトに掛かったボールはGKの手をすり抜け右サイドネットに突き刺さりました。目の覚めるような“技術”。日頃クールなこの男が喜びを爆発させる。イエローカードと引き換えに、ピッチボードを飛び越え、ユニフォームを脱いでサポーターに示したのは背中のゼッケン。それは「俺が熊本のエースだ!」と言っているようで。

宇留野と長谷川。これまではカテゴリーの違った両FW。ともに30歳を迎える二人のサッカー選手の人生が交差した瞬間。互いが背負っているものの重さに思いをめぐらし、胸が熱くなります。

しかしさらにゲームは動きます。直後の24分、左サイドでボールを受けた西野、吉井を切り返しで交わすと、エリア外からこれまた強引にシュート。押さえの利いたボールは木下の手をわずかに弾くとネットに突き刺さりました。
富山の得点はセットプレーとミドルシュート。熊本にとっては全く崩された感じはしませんでした。ただ、崩されたわけではないといっても、バイタルエリアに入ったら果敢にシュート狙ってくる冨山の思い切りの良さ、あるいはその富山の戦術的な狙いに対して、エリア外の敵への対応にどこか“緩さ”を感じさせる熊本の守備には大きな課題を残しました。あの距離では必ず枠内にシュートが来る。それがこのカテゴリーでした。池谷GMが昨年よく「オーガナイズ」という言葉を使っていました。オーガナイズ=組織化。守備の面では、前線、中盤を含めてもう一段突き詰める必要があるようです。

一方、攻撃面では長短のパスを織り交ぜ、攻撃に転じてからのスピードもアップしている。今日の2つの得点はいずれも後方からの早く、正確なパスから生まれました。ポゼッションばかりに固執していた前半戦と比べれば、プレーの幅、選択ともに確実に進歩したなぁと思わせます。あとは今日の富山のように攻守の切り替えの早い相手にどう対応するか、両サイドの“渡り廊下”を封じられたときに、バイタルでどう工夫するのか。まだまだ、“面白いサッカー”の奥義は深いようです。

それにしても、多くのファンが詰め掛けてくれた夏休み最初のホームKKでの、残念で悔しい逆転負け。このモヤモヤした試合結果も、木下を含めた全ての選手への“経験値の貯金”と考えたい。受け止めるべき内容の“深い”敗戦。下を向いている暇などなく再び中二日でC大阪戦。続く日曜日は宿敵・福岡戦。難しい対戦相手が続きますが、「自分達のサッカーの時間帯を増やす。そして勝ち切る。」今季はブレずに常にこれを追い求め続けてほしい。先のサッカーダイジェストのJ2ライター座談会で「熊本は面白い」と絶賛されたように、第3者からもそう見られているのは確かなのですから。


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