7月26日(日) 2009 J2リーグ戦 第30節
熊本 2 - 3 福岡 (18:03/熊本/5,865人)
得点者:54' 岡本英也(福岡)、68' 大久保哲哉(福岡)、69' 高橋泰(福岡)、70' 宇留野純(熊本)、89' 市村篤司(熊本)


久しぶりに更新意欲が失せてしまうような試合内容でしたね。概して言えば、1点取られてからのバタバタ感。自滅以外の何ものでもなく。極端な言い方ですが、攻撃能力でも守備能力の問題でもなく、“危機管理能力“の未熟さが露呈したような、そんな印象。ただ反面、あの状況から、最後までゴールにこだわる姿勢を見せたことは特筆モノだったと言えるでしょう。

九州地方北部に次々に流れ込む梅雨末期の雨雲に、交通機関は麻痺し、土砂災害まで起こっている嵐のような週末。それでも多くのファンが福岡からも到着し、九州ダービー第2戦は予定通り行われました。このKKウィングのゴール裏で、「博多の男なら・・・」と歌う福岡サポーターを迎えるのは実は初めてのことです。福岡に移籍した高橋は、ここまで20試合ゴールなしという状況。このところは後半の交代要員として使われていましたが、この日は4試合ぶりのスタメンでした。

福岡 (先発フォーメーション)
 19大久保 
 18高橋 
26岡本8鈴木
7久藤10城後
2宮本3山形
4田中27丹羽
 22吉田 

前半は熊本の攻勢に映りました。ボールを動かし、人も動き、再三、福岡ゴールを脅かします。これに対して守備から入った感のある福岡の作るブロックは、なかなか固くて割れない。ジリジリするような展開だが、悪くはない。さあ、試合運びを間違えないように。我慢だ。などと自分に言い聞かせていました。この日、高橋に対峙したのは市村と河端。互いの良さも弱点も知っている同士のマッチアップでしたが、高橋の肘が入り河端が倒れる場面も。このイエローで累積4枚になった高橋。次節出場停止になってしまいます。

ハーフタイムの敵将・篠田監督の指示。「ボールをもっと正確にシンプルに動かしていこう」「バックパスに対してラインを押し上げよう」。この二つを確実に実践してきた福岡が、徐々に、そして着実に攻勢を手に入れました。そして54分、右サイド高橋からのクロスにファーの岡本がダイレクトで撃ったシュートは全くの当たり損ね、ゴール前で大きくバウンド、前に体重がかかっていた木下の頭をフワーッと越えてゴール枠内に収まります。熊本としてはまるで“事故”のような失点。不運と言えば不運。しかし、冒頭に書いたように、この1点から熊本は妙にバタバタしてしまいました。

失点の直後、木島に代えて中山を投入。確かに先制される少し前から中山は呼ばれて準備していたのですが、その時点でもちょっと早すぎないか、何か不具合でもあるのか、と、どこか理解しがたい“違和感”のようなものを感じていました。そこで失点。ここは我慢の時間帯、落ち着きを取り戻し、まず2点目を取られないよう組み立てなおすべきとき。これはもう何度も何度も高い代償を払って勉強してきたはずなのに。悔やまれる時間帯。

これも北野監督はもちろん、チーム全体に福岡に対する意識過剰感が感じられたことのひとつかも知れません。もちろんこの日詰め掛けたファンも含めて、スタジアム全体にいろんな意味で気持ちのどこかに“何とも言えない雑念”が漂っていたような。これもこの試合の“厄介”な要素。それはダービーと一言では片付けられない何か・・・。それがゲームへの集中を欠き、平常心をなくす原因になったのかも知れません。

福岡の攻撃意図はとにかく、大久保をターゲットに早めに放り込む、ということだったと思います。監督の言う「シンプルに」という意味では確かにシンプル。そのうえに貪欲なまでの高橋の運動量。どうしても結果を欲していました。

68分に右の鈴木のクロスが大久保の頭をかすめてゴールイン。69分には、吉井が高い位置で囲まれ、奪われたボールが高橋の足元へ。これをきっちり決められます。KKウィングで初めて見る、高橋の“青い”ゴール裏へのガッツポーズ。あっという間の追加点で3点のビハインド。熊本は明らかにポジションも、メンタルもバランスを欠いていました。いつかも書いたように、チームという個体のニューロン(神経細胞)が寸断されたような、実にぎこちない状態。

さすがにここで熊本にもようやく火が着きました。それまでも右サイドの市村の上がり頼み。パスを配給していましたが、囲まれた市村は苦し紛れにクロスを上げるしかなかった。しかし、この瞬間は市村が、エリア内への勝負を挑みます。これに慌てた岡本が倒してファール。与えられたPKは、現在の“赤い”11番・宇留野が実にクールに、しかしきっちりとゴールマウスに蹴り込みました。

ところがこの反撃ののろしもその後、湿り始めます。再び消極的な攻めに終始し始める。後方でボールを回して前に運べない。前線で動き出そうとしているが、視野に入らない。それほど余裕がない。残り時間20分足らず。今、圧倒的な攻勢を掛けなくてどうするのか。度重なるバックパスの連続に失望し、遂にスタンドのファンからもブーイングが起こり始めます。なんとか意地を見せたのはアディッショナル・タイム。敵DFのクリアボールを藤田、西と繋いで、右サイドからスピードに乗って来た市村にパス。市村がダイレクトに振り抜くと、ボールはGKの手をかすめゴール左ネットに突き刺さりました。

「自分達のサッカーをする時間帯を延ばす」。今節はそんな目標に対してどうこうというゲームではありませんでしたね。福岡(あるいは高橋)という相手に対しての意識過剰が悪影響したのか、あるいは昨日からの嵐のような天候の影響か、妙にうわついた、持続しない集中力のゲームを見てしまったような気がします。そのなかで看過できないのは、再び“ハードワーク”が見失われたこと。終了間際に見せた2得点は、それまで熊本が見せた攻撃の質量に対する正当な報酬かと。もちろんこれはこれですごい。ここまであきらめずにゴールにこだわるようにできたということは。そして市村はすごい。“追い越し”こそすべて。しかし、「時すでに遅し」という言葉があるように、そこまでの途中途中の時間帯で、何故ハードワークが出来なかったのでしょう。全体のコンディションの問題があるのでしょうか…。

まだまだ強豪との連戦が続きます。ここらでちょっと守備のこと、攻撃のこと、メンタルのこと、色々なことを“整理”しないと。そんな心配をしてしまうような戦いぶりでした。

そしてもうひとつ整理しなければならないこと。反省を込めてわれわれはまだ“若いな”と。かつて熊本は高橋のチームだった。われわれは何度もそう書いています。初めてホームKKのピッチに立つ“青い”高橋を見る違和感。もうすっかり吹っ切れていると思っていたのに。今日の先発のなかで5人は今シーズンからの新加入。そんな意識はあるはずもないのに。高橋がボールを持てばそれだけで場内が騒然、こんなところでブーイングしても仕方ないのに、と思ってもやはり気持ちがそこに行ってしまう。ディフェンスの対応も高橋の怖さ以上に、クリアボールひとつにもやけにチカラが入っているような。思い入れが深い分、それを乗り越えるのは並大抵ではない。気持ちは熱くても頭はクールに。そうなりたいというのが今の実感です。

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