8月5日(水) 2009 J2リーグ戦 第32節
愛媛 0 - 2 熊本 (19:35/高知陸/3,533人)
得点者:5' 吉井孝輔(熊本)、30' 吉井孝輔(熊本)


2-0で愛媛を下し連敗から脱しましたが、まさに辛勝という内容でしたね。14位熊本と15位愛媛との戦いは、先週熊本でも行われたa-nationが愛媛に移動しているため、お隣の高知での開催。愛媛はここまで9試合勝ちなし3連敗中で、前節の四国ダービーは0-6の大敗。しかも主力の2人が出場停止、9人が怪我とあって、なんとベンチにはGK2人、MF1人という状況。JFL“青の時代”の頃、愛媛FCそのままの県代表で国体に参戦、決勝までの超連戦をこなし疲労困憊、ボロボロというような、まるで今日のようなチーム状態のなかで対戦したことがあったのを思い出します。旧サカくま掲示板を読み返してみましたがレギュラーは3人だけ、FWのひとりはユース(16歳)の選手まで出場し、結果は4-0というような...さて、今日の試合、対する熊本にとっても、4連敗中のうえ、直前に木島の出場停止処分が発表されて…。なにかと試合前から雑音の多い、やり難い試合には間違いなかったでしょう。

愛媛 (先発フォーメーション)
11田中 8内村
7千島17大山
24永井22横谷
27青野16赤井
23吉川2柴小屋
 21山本 

満身創痍の愛媛は、赤井と青野というMFを両SB、横谷をボランチに置く苦肉の策。しかし前線には田中や内村、サイドには大山など要注意人物も居る。開始早々から、このスクランブル事態に、逆にチームとしてひとつにまとまって、不思議な一体感で向かってくるのがわかりました。ただし、藤田を前線に置く熊本の布陣は今日も流動的に動き回り、愛媛守備陣を混乱させる。5分、山本が右サイドで粘って上げたクロスに、後方からPAに入り込んでいた吉井がアクロバティックなダイレクトボレー。目が覚めるような一撃で、今日も早々に先制点を上げました。

ただ、先制点のあとの“油断”や“隙”は今日も健在で、10分過ぎからは連続して内村にラインを突破されるシーンが続く。そこをなんとか福王と木下が、前節の汚名挽回とばかりに身体を張って死守します。30分、右サイド高い位置で宇留野がボールをキープすると、吉井に「飛び込め」というように手で合図しながら入れたクロス。ニアサイド、DFの前に一瞬早く吉井が頭を出すと、ボールはゴールに吸い込まれました。

吉井の連続ゴール。急造の愛媛ディフェンスの宇留野へのチェックが緩慢だったとはいえ、まさに2列目、3列目が飛び出して点を取るという熊本の、それも藤田ゼロトップの攻撃の成果でした。前節あたりから山本の献身的な運動量も戻ってきた感がありますが、怪我で離脱していたこの吉井が90分にわたり走れるようになったことで、攻撃にも厚みが増していることは確実です。

しかし守備には相変わらず課題が残ります。後半は特に問題でした。高いラインの裏を突かれる場面、中盤でのイージーなパスミスからショートカウンターに持っていかれる場面。もう後ろには木下しかいない。極端に数的不利なわけでもない。足りているのに破られる。なぜ? 確かに相手は必死。この状況に開き直り、チームもサポも一丸。これが愛媛ホームではなく高知開催でよかったなとさえ思いました。厳しい状況下、ゲームへのとてつもない集中力が彼らの顔つきから十分伝わってきました。

熊本は後半途中、藤田に代えて松岡を入れると4-4-2にして中盤を厚くしますが、なかなか愛媛の勢いを止められない。大山がバイタルエリアでタメて放ったスルーパスに内村がDF裏を取る。内村のシュートはゴール左に反れる。今日は、木下が当たっていたから救われたところも大きい。再び内村の突破。逆走する福王の必死の“意地”だけが勝って事なきを得る。熊本の我慢の時間帯が長い。アディッショナル・タイムの最後の最後にも田中に突破されるが、シュートは枠を外れる。ようやく安堵のホイッスルが鳴り響く。

色々なことがあって成長していくのだとは思いますが、今日、愛媛はまた“チーム”として大きな経験をしたんだろうなあと感じました。これで10試合勝ちなしにもかかわらず、試合後も鳴り止まないサポーターたちの「愛媛コール」をブラウン管越しに聞きながら、ついこちらの心も動かされました。そして熊本。交代カードを切れども切れども、局面は動かない。リザーブ層の薄さは誰もいない愛媛のベンチと変わらないんじゃないか、などと皮肉っぽく嘆いてみたくさえなりそうです。

ある程度引いていた愛媛陣内の狭いスペースで短いパスをポンポンとつないで、意図的に崩していくプロセスは、確かに見ていて面白い。ゴール前で二の矢、三の矢と仕掛ける波状攻撃も板についてきた感があります。連敗を止めてやっとひと息というところなんですが、一方で守備も含めたバランスの不安定さは一向に解消される兆しが見えないのがなんとも残念。まさしく辛勝だったと表現する所以です。もちろん、休みのないリーグの連戦のなかで、他にもたくさんの“変数”があるなか、課題克服をしていく難しさも十分理解はしています。簡単な試合は一つもない。当たり前ですがしばらくはこういった薄氷を踏むような戦いが続くことになるのかも知れません。そこはわれわれにも覚悟が必要なのかも知れない。それがホームチームを応援することなんだよと、愛媛のJ昇格でひとつ増えたJFL昇格枠に滑り込んだ因縁を持つわれわれに、またひとつ教えてくれたような気がします。

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