8月23日(日) 2009 J2リーグ戦 第35節
岡山 2 - 1 熊本 (19:03/岡山/8,677人)
得点者:22' 西野晃平(岡山)、24' 宇留野純(熊本)、28' 西野晃平(岡山)


敗戦の週は、ヤケ酒の飲みすぎ(一方は甘い物の大食い)でスタートし、モヤモヤした気持ちのまま一週間が過ぎてしまう。これが都合3週間も続いてしまうと辛いものです。「ホームチームの勝ち負けに一喜一憂する」ことこそがサッカー文化なのですが、“憂”だけがひたすら続いています。

試合翌日の熊日、後半については比較的評価が高かったようですが、スカパーの中継を観ている限りではそんな感じがしなかったので、やや違和感がありました。やはり画面を通して得られる限られた情報と、現地で間近に感じる“空気感”を含めた情報との差なのか。こちらはテレビ観戦で多くのことは語れないのかも知れません。それにしても、特に新規参入チームのホーム中継には、不満を感じることが多い。もっとカメラワークを磨いてほしいなと…。スタジアムのカメラ位置(高さ)自体の問題もあるのでしょうが、味スタの東京Vの中継など、フィールド全体が俯瞰できてよくわかる。スウィッチングもいいし。福岡レベスタ、甲府・小瀬などの中継もいいですね。ホームゲームはスタジアムで観ますから特にRKKさんに対して不満は感じていませんでしたが、やはりJ1未経験の地方局の中継には、その差を感じざるを得ません。中継技術も切磋琢磨してほしいですね。さて八つ当たりはこれぐらいにして、岡山との3度目の対戦。結果が結果だっただけに、いつものように時系列で試合経過を追いかけるのはやめて、ポイントだけ書いてみたいと思います。

岡山 (先発フォーメーション)
 19西野 
 8保坂 
14小林48青木
11喜山36竹田
50野田4澤口
6野本31大島
 1李 

勝ちたい、そして勝てそうな試合だったことには間違いありませんでしたね。岡山は要注意人物の喜山をボランチに。西野をワントップに敷いた4-2-3-1。第1クール対戦時も、昨年の熊本と擬似対戦するようだと書きましたが、ますますあの頃と似ている感じがして…。対するわが軍は、西が故障したのか、前日の熊日の予想フォーメーションでも久しぶりに小森田の先発が予想されていて。それは宇留野との2トップでしたが、蓋を開けてみるとワントップの位置に小森田。ちょっと残念な気がしました。

試合後、北野監督が明かしていますが、「前半は長いボールで、ラインの高い岡山のディフェンスを下げるような動きをしようと」した熊本。しかし、われわれには前節戦った水戸のように、ボールを保持したら一番シンプルにゴールに近づく“選択肢”として早めに前線に送っているようにも見えました。水戸と戦って得た、相手の良さ、そして自らが“されて”嫌だったことを相手に試しているのかなと…。ちょうど昨年の今頃、甲府にされて嫌だったと言って4-2-3-1の布陣に変更して行ったように。そして、得点となった藤田から宇留野への素早いリスタートは徳島にされて“嫌だったこと”。この試合、再三狙っていたプレーでした。ただ、残念なことに、前線への早いフイードで水戸のように競れる選手、収められる選手が今の熊本にはいない。小森田はやはりちょっとタイプが違うと思うのです。それはFWの持っているDNAというものなのでしょうか。

西野晃平に2得点されて試合を決められました。2005年に日本文理大から鳴り物入りで大分に入団した選手。同時期、同大学から“ロッソ”は河野を取りました。昨年は水戸、今年は岡山にレンタルされている西野。本領を発揮させてしまいましたが、いずれもバイタルでシュートコースを空けてしまったDFと、久々に出場したGK稲田との連携にも微妙なズレを感じました。

第3クールの第1戦。岡山とはこれで1勝1敗1分け、五分の結果で今季を終えます。長い長いこのリーグ戦も、早いもので最終クールを迎えている。そして、それはすでに来期が視野に入ってくる時期に差し掛かっているということですね。J2年目の熊本の“成果”と“課題”をしっかりと確認し、来期へ繋げる作業の重要なクール。昨年のように“財産は残せるのか”。それを確認する重要な“季節”がやってきていると思います。

松岡選手のブログによると、試合後岡山で新幹線を待つ間、藤田選手から色々“教えられた”らしい。それはおそらく「今に甘んじず、上を目指せ」ということなのだろうと思います。熊本に来たときから、藤田は口を酸っぱくして周りに言っているようです。熊本の若手選手のそこに物足りなさ、不満を感じているのは明らかです。例えば、再三引き合いに出して恐縮ですが水戸というチーム。ご存知のように熊本と同等レベルの“小さい”予算規模、わずか8000万の強化費といわれながら、現在のチーム力を培った。それはひとつに、関東圏にあるチームという“地の利”は否めません。しかし、同時に水戸というチームで自らの力を磨き、注目を集め、選手個人としてさらにその上を目指そうという高いモチベーションがある。それは水戸というチームへのシンパシーとは異質のものなのかも知れませんが、激しい競争意識でチームは支えられている。浦和の闘莉王に限らず、そういう“モデル”をこの10年で生み出しているところに強さの秘密があるように思えます。

そういったモチベーション。今の熊本はどうなのか。スタメンで出ている選手個々のプレーの質がどうのこうのと言う前に、控え選手、居残り選手を含めたチーム全体、クラブ全体としての“心理マネジメントのあり方”そのものに問題があるような気がしてなりません。岡山戦後の移動。熊本への帰宅が27時だったという藤田はしかし、「とにかく悔しくて、移動の新幹線もバスでも、全く眠気は起きないまま今に至ってます」と言う。この想いを、チームメイトの何人が共有していたのか。この想いが、熊本に残っていた選手たちに伝わっているのかどうか…。今日の熊日朝刊「ロアッソ記者席」を読んでも、巷間漏れ聞く話によっても(こんなときに限ってよくない噂が流れてきます)、どうもチームがバラバラなような印象を受けます。チームが一体になっているのか、そうでないのかということがそのまま結果に現れているようで。それもまたチームの総合力と言っていいのでしょうが…。
さて、こんなときわれわれファンは何が出来るのだろうか。そう自問する毎日ですが、そんななかで日経の名コラム、吉田誠一さんの「フットボールの熱源」から。ちょっと前の文章ですが引用させていただきます。考えさせられる(救われる部分もありの)一文です。

「プロサッカークラブは観客に何を売っていると思いますか」。三月末、Jリーグのゼネラルマネジャー(GM)講座で講師を務めたリバプール大学のローガン・テイラー博士(サッカー産業グループ)は受講者にそう尋ねたという。
 「夢を売っている」「感動を売っている」「熱狂を売っている」。普通はそう答えるだろう。テイラー氏によれば、違うのだという。「プロサッカークラブは苦痛を売っているんですよ」
 支持するチームが先制されれば、サポーターは心を痛める。負ければ、なおのこと。リードしていても、「追いつかれるのではないだろうか」とひやひやする。勝ったとしても、「次は鹿島戦かよ」と心配になり、「こんなことで1部に残留できるのだろうか」と思い悩む。いつになっても心は休まらず、苦しみは続く。たとえ優勝したとしても、新シーズンに入れば「今季は大丈夫だろうか」と新たな苦悩が始まるはずだ。
 もちろん観客は勝利の歓喜を求めてお金を出しているのだが、実際はほとんど苦痛ばかりをつかまされている。それがわかっていても、またスタジアムを訪れる。
 テイラー氏の講義を聞いたある受講者は、大事なことに思い至ったという。「苦痛を感じてくれるのは、そこに愛があるからですよね。クラブのために苦悩してくれる人。サポーターという言葉は、そう定義づけることができるのではないでしょうか」。確かに、歌手や音楽家や俳優や画家を支持するのとは、心理的なつながり方が決定的に異なる。
 「クラブ関係者は、苦しみを抱えている人々と日々向き合っているということを意識しなくてはならない」とテイラー氏は訴えたという。その点をおろそかにしてしまうと、愛はときに破局を迎える。(2008年4月16日 日本経済新聞)


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