8月30日(日) 2009 J2リーグ戦 第36節
熊本 0 - 2 C大阪 (19:03/熊本/5,755人)
得点者:4' カイオ(C大阪)、69' 香川真司(C大阪)


昼間はまだ焼け付くような厳しい陽射しが残るとはいえ、夕暮れのKKウィング、スタジアムを吹き渡る風には、はっきりと秋の気配が感じられました。今季最後となるC大阪との戦い。首位、大阪ですが、さすがに今回は中心選手のマルチネスが不在とあって、勝機が見出せるかもしれない。しかし、熊本もこのところの得点源だった宇留野を怪我で欠き前線は非常事態。前日の熊日の予想スタメン通りに山内を中心に置いて、右に西、左に西森という3トップは、高さという面だけ見ても迫力不足は否めませんでしたが、反面、なかなか結果がでない苦しい状況を打開していくのは、こんな若い伏兵たちではなかろうか。などという淡い期待もありました。

C大阪 (先発フォーメーション)
 9カイオ 
8香川7乾
19石神13平島
11船山6濱田
2羽田5前田
 3チアゴ 
 21キム 

しかし、前半は全くいいところなし。開始4分、大阪の前線へのロングフィード。キック時点ではカイオはオフサイドポジションと思われましたが、香川とうまく交差して熊本の両CBを交わす。香川が裏に落としたボールはしっかりとカイオに治まり、そのまま豪快にシュート。早々に先制されます。その後も完全に大阪のペース。ただこの後は、決定機をことごとく外してくれる。二度、三度。こうやってチャンスを潰しているうちに、だんだんと相手にペースが移っていくものなのですが、しかし、今日の熊本はそれを手繰り寄せられない。逆に、自らのミスで決定機を献上してしまう。高さの代わりに機動力があるはずの3枚の前線。大阪の3バックの裏やサイドのスペースを突きたいのですが、供給されるべきパスが出てこない。

大阪の方が前線からのプレスが厳しい。ハードワークしている。背後からも激しく詰めよってファール覚悟でチェックする。しかし何度も何度も決定機を作りながらも決めきれないのが今の大阪の苦しさなのか。12本のシュートに肝を冷して終わった前半。0-1で折り返せたことが、まるで0-0で凌ぎきったような大仕事に感じたほどでした。

後半からの藤田の投入は予想されていました。前半を凌いで後半勝負というゲームプランだったのは確かでしょう。西森に代えて前での起点を作る。しかし、代えるべきは西森だったのか?ちょっと首を傾げてしまいました。さらに河端に代えて矢野。確かに今日の河端はゲームにフィットしていませんでした。迷わず早めに手を打ったこと自体は、今までになかった動きとして評価できますが、そもそもこんな交代は当初のプランにはなかったことでしょう。ここで貴重な交代カードを浪費してしまいました。

後半10分までは両者押し合い。それから次第に熊本にもチャンスが訪れはじめます。数度のCKで、点の匂いのする組み立ても見られますが、熊本も決めきれず。69分、大阪は前線でインターセプトすると平島がPAを破る。これを福王が対処しますが、うまく体を預けられてPKの判定。ここまで最後の最後に身体を張って凌いでいただけに残念な判定。香川にきっちりと決められて2点差になりました。

前節を終えて池谷総監督・GMは、こうコメントしていました。「これまで選手たちの戦い方を見ていると、攻撃8割、守備2割の意識だったような気がする。これからは守備を8割意識するように北野監督を通じて指示している。攻撃を行かすための守備。昨季と同じ“積極的な守備からの攻撃”に取り組みたい」。第三クール、今シーズンの戦いを“結果”として残すための締めくくりのテーマが掲げられたということでしょう。

そういう意味では、今節のC大阪との戦いは、いい試金石だったと思います。大阪の決定力不足に助けられた面もありますが、よく守った。守備の意識は最後まで途切れなかったと思います。矢野も福王も、要所でくさびのボールをカットし反撃の起点をつくっていました。最後のところで深く身体が入っていた。CKを含めたセットプレーへの対応も注視していましたが、以前よりマンマークがきっちり着けていたかなと。これまでがっかりさせられた“ポカ”といえるような失敗はなかったといえるでしょう。しかしチーム全体を見渡せば“積極的な守備”にはほど遠かった。逆にそれを実行していたのは相手側だったと・・・。

そしてミスが多すぎました。ポジションをずらしてボールを運んでいくことが出来なかった。足元足元へのパスを完全に狙われていたにもかかわらず、そこが修正できなかった。逆に、お手本を見るような大阪。その根底には“無理のない”ハードワークがありました。

この試合は完全に力負け。それも個々の力、チームの力、選手層の差、ベンチワーク全てを通した現在の総合的な力の差だろうと思います。これまでの北野監督には、戦前に描いたゲームプランに固執するあまり、臨機応変な対応に欠けるような印象を持っていました。今日は後半勝負のゲームプランに藤田、木島がベンチスタート。これは確かに現状の選手層のなかでひとつの策だったと思います。そしておそらく前線の3枚目は大迫を投入したかったはず。しかし、河端を諦め矢野にカードを使った。もちろんこの早目の決断には拍手を送るべきでしょう。とは言え、初めて見せた“臨機応変さ”が、先発DFを1枚代えするというだけの、言うなれば“消極策”だったことが皮肉のようで・・・。これもまた選手層と言ってしまえばそれまでですが。

夏休み最後の試合、総選挙もあった慌しい日曜日、それでも6000人近い観客が詰めかけたことは大きな救いでした。これだけ負けが込んで、いい材料も見えない、客観的に見ても“きわめて厳しい”状態のなかでのこの観客数。これは正直なところすごいことだと思います。そして、そのメンタリティーにも少し変化を感じます。前半の一方的な劣勢にも関わらず、ハーフタイムには冷静に語り合っているファンの姿。野次は飛ばしながらも、最後まで席を立たなかった人たち。それは2点差をひっくり返す可能性、一矢報いる場面。それが叶わなくても、しっかりとしたハードワーク、戦う姿勢さえ見せてくれれば、敗戦であっても拍手を送るファンが確実に増えているということではないでしょうか。そう思うと、「決定的な2点目を失い『試合が終わってしまった』」(31日付・熊日)という指揮官のコメントは、たとえ言葉の綾だとしてもちょっと残念でした。以前にも書きましたが、新任監督はその重責に眠れず、連敗で食事も喉に通らない日々が続いているのかもしれません。しかし、けっして自分ひとりで戦っているのではない。そう思ってもらいたいなと。何もないところから縁あって出会い、九州リーグから這い上がってきた戦友じゃないですか。あの頃を思えば、何も焦ることはない。われわれはそう思っています。

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