9月23日(水) 2009 J2リーグ戦 第41節
熊本 1 - 1 横浜FC (14:04/熊本/6,803人)
得点者:25' 藤田俊哉(熊本)、89' 西田剛(横浜FC)


92分の緊張感のあと、最後に待っていたのは、なんとも言いいようのない“脱力感”でした。

慎重な入り方をした前半。先発布陣は熊日の予想フォーメーションを裏切り、前節からも大幅にチェンジした陣容でした。左SBに松岡を起用。CBにはソンジンに代わって福王。山本をダブルボランチの一角に。木島と組む2トップには怪我からようやく復帰した宇留野。4バックと中盤4人で作った二列のブロックは、全体的に前節より少し下がり目で、スペースをバランスよく消している。その代わりに、攻撃時に若干の手薄感は否めず。守備6、攻撃4のような意識が感じられます。さすがに前節6失点の反省でしょうか。

8月23日の岡山戦で顔面骨折という大怪我を負った宇留野。今日ようやくフェイスガードも外してピッチに立ちました。空中戦にはまだ痛々しさが残りますが、敵DFを背にしたボール・キープは健在。相手からすれば嫌な選手に違いない。原田の代わりにCKを任されます。

20分頃からほぼ横浜の時間帯に。自陣に押し込まれ始める熊本。しかし集中した守りはそれほど不安を感じません。初スタメンのSB松岡も体を張って守り抜く。彼はなによりガンバユースで鍛えられたトラップの技術が光る。

25分、サイドで奪うと中央の山本から素早いパス。これを木島が受けるとすかさずアウトでスルーパス。中央で抜け出した藤田がDFより一歩早くゴールに流し込みました。いずれも横浜の守りが着いていけない、縦に縦に速く、そして実に“美しい”攻撃でした。ホームのファンの歓喜が、快晴の秋空にこだまするようで。

先取した熊本。直後、勢い余ってか攻守のバランスをやや崩したような前がかりの場面もありましたが、すぐに修正、浮つくこともなく、慎重さは変わりませんでした。もう一度、守備からの展開。あっ、カウンターが来ると目をつぶってしまう場面も、ちゃんと数的な対応がとれています。横浜の中盤にボールが入れば前を向かせない。守りの連動もいい。久し振りにボランチのポジションに配置された山本が、執拗なプレスで追い回す。藤田がフリーになっては、いいところで前線に飛び出してくる。横浜の最終ラインを切り裂くパスワークにも、冴えとアイデアが随所に見られました。

1点先取した虎の子を大事に大事に。そして、隙あらば追加点を。それはまるで前節の失点の大安売りとは全く違っていて、神経戦のような様相。われわれも、何やらぶつぶつと独り言をつぶやきながら、息を止めている時間の長い観戦。

後半、難波を前線に投入して一気に押し込んできた横浜。同じような一点差での難波投入、第二クール・水前寺での戦いがアタマをよぎります。あの時は難波のヘッド一発に沈んだ。しかし、残念ながらこちらから見ても今日の横浜には最後の崩しの工夫がない。熊本の守備ブロックに沿って横方向にボールが動くばかり。単発で淡白な攻撃に助けられます。けれど、この雰囲気にお付き合いしてしまうのが熊本の悪い癖。こちらもバイタルエリアで自由にボールを回すものの、フィニッシュは“惜しかった”というものばかりになりました。

疲れが見えた松岡に代えて河端がCBに入り、左は矢野がスライド。足を攣った宇留野に代わって山内。予想されたベンチワーク。期待した山内ですが、途中投入でなかなかゲームにフィットできないのか。ひとつひとつのプレーは、以前よりも“引き出し”が増え、惜しい場面も演出するのですが・・・。

追加点が奪えないまま残り15分。木島に代えて西森が入る。藤田を前線に上げて起点づくりに期待するベンチ。実に苦しい時間帯。見るからに足が止まりはじめ、選手間の距離が微妙に開き始める。

横浜が切ってきた最後のカードは根占。嫌な選手を使ってくる。自陣に釘付けにされ始める熊本。藤田もバランスをとろうと少し下がる。状況に応じて自在にポジションを代える藤田。まさしくチームのバランサーだと感じました。熊本としては、ここで最後に踏ん張りなおせる“力”が欲しい。それは体力でもあり、精神力でもあり、ベンチワークなのかも知れませんが、カードは全て使い切ってしまいました。

完全にこの1点を守りきることに決定した試合展開。攻め込んでもまったく突っ込んでいかない。そしてロスタイムを表示する第4審判のボードには3の数字。えっ?ちょっと長いんじゃ。しかしなんとか守りきるぞ。ゆっくり、慌てずに。ボールをキープして。もう少し。あぁ、バックパス。小林。あぁ・・・。

誰かのせいにするのはすごく簡単で、われわれもこの最後のCK、それにつながる(プロフェッショナルとは言い難い)プレーには相当がっかりしたのが事実です(一点の重さとそれに連なるプレーのあまりの軽さ・・・)。しかし、このCKを跳ね返せば試合は確実に勝利で終わっていたのも事実。あれがもし仮にPKであったとしても、ホイッスルがなる前に諦めたほうが負けなのですから。全員で守るのがCK。そういう意味ではチーム全体で招いた失点なのだと言わざるを得ません。

1点の重み。守り切れなかった虎の子の1点。最後にわれわれの勝ち点2を奪った横浜・同点の1点。なにより遠かった追加点の1点。サッカーの場合、他のどんな競技より得点すること自体が困難だから、その得点シーンに最大限歓喜する。サッカーの1点は重く貴い。だからサッカーは面白い。そう思います。取られたら取り返せばいい。そんな単純な組み立てのスポーツではない。なぜなら攻も守も連続した90分のなかに入り乱れて存在し、互いに相手の意図を潰すことがプレーの大部分を占めるのだから。だからサッカーは難しい。だから世界中のみんなが魅了されるスポーツなのだと思うのです。

6点という大量点を惜しげもなく奮発してしまった前節。対照的に貴重な1点を守りきれなかった今節。勝ち切らないといけなかった試合。歯を食いしばるしかない結末。まるで昨年の第3クール、吉井の決勝弾で勝ちきったときとは真逆の心境に、しばらくホーム・スタジアムで立ちすくんでしまったシルバーウィークの最終日。この思いを晴らす戦いはすぐにやってくる。来月またここで、舞台を天皇杯に代え再び横浜と戦います。

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