10月31日(土) 2009 J2リーグ戦 第44節
愛媛 1 - 1 熊本 (14:04/ニンスタ/2,372人)
得点者:34' 木島良輔(熊本)、60' 大山俊輔(愛媛)


延期になっていた第44節・愛媛戦。ニンジニアスタジアムの芝は、テレビ画面を通しても美しさが伝わってきました。しかし試合後のインタビューで北野監督が「ピッチがやわらかく、ドリブルがやりにくいということはアップから選手が話していた」「ピッチのやわらかさもあって選手に筋肉系のダメージが多かった」と話しているように、そして藤田や木島が試合中、不意に足をとられるシーンがあったように、実はジワリジワリと選手の体力を奪っていくやっかいな芝だったようです。

望月監督が解任されバルバリッチ体制になった愛媛。直前には福田健二の入団が発表されるなど、すでに来期を見据えた動きも始まっているようですが…。さて、この試合には点取り屋の内村を累積警告で欠き、ジョジマールも怪我のせいなのか不在。しかし前線にはドド、DFにはチアゴという新顔が揃っていました。そういう意味では、前回対戦時とは全く別のチーム。あのベンチにGK2人、MF1人しかいなかった8月の試合から、多分、多くのことが変わっているのでしょう。対する熊本は、藤田がベンチスタート。小森田と木島の2トップ。いつもの西森の位置には宮崎が入っていました。

愛媛 (先発フォーメーション)
 11田中 
22横谷33ドド
24永井16赤井
 34渡邊 
14三上13関根
2柴小屋4チアゴ
 21山本 

序盤から市村と西の連携で愛媛の左サイドを崩す。次々にCKを奪う。守っては今や不動となった福王と矢野の両CBがきっちりと跳ね返す。吉井、原田の両ボランチのバランスを保ったポジショニングもそれを手伝っている。そして、愛媛のプレスを“剥がす”ようなワンタッチのパス回し。目の前が空くとみるやドリブルで仕掛ける西。あるいはくさびくさびの連続で崩してクロスを上げる。ポゼッションを維持しながら攻め続けます。

対する3トップの愛媛ですが、どうにも守勢に回り押し込めない。時おりドドがカウンターを仕掛けるぐらいか。そんな時間帯、中盤でのインターセプトからボールを貰った木島が、ハーフウェイラインより後方からドリブル。スピードに乗り、独特のステップで愛媛のファーストディフェンダーを交わすとその勢いのままミドルシュート。愛媛の最終ラインは揃っていたものの、そのボールは柴小屋の背中をすり抜け、GK山本が伸ばす手の脇でバウンドするとゴール左角に吸い込まれていきました。撃った本人もちょっと意外だった感じの先制点。左腕に巻いたキャプテンマークを示して喜びを表現しました。

ところがこの後、試合の展開を大きく左右するアクシデントが。前半も終了間際、市村が相手へのバックチャージでこの日2枚目のイエロー。本人にすればインターセプトに「行ける!」という“感覚”がそうさせるのかも知れませんが、警告を取られても仕方のないプレー。ちょうど累積をくらった福岡戦のときと全く同じようなプレーだけに、猛省を促したいですね。

後半折り返しを10人で戦うことになった熊本は右SBに宮崎を下げ、木島の1トップに。しかし、それでも十分に凌ぎきれると感じさせる流れが、(前半を見る限りにおいては)あったのですが。ただ、この数的劣勢の時間が水戸戦と比べるとあまりに長すぎた。厚別の札幌戦と比べると気温が高すぎました。そこに冒頭、書いたような今日のピッチ状態。選手の体力は想像以上に奪われていったようです。

早々に小森田に代えて藤田を投入するのは、戦前のプランどおりの交替カードだったのでしょうか…。ひとり少なくなった今日も、水戸戦と同じように前で時間を作れる働きを期待されました。愛媛は永井に代えて大山。「嫌な選手が入ってきた」。その予感は的中しました。60分、サイドチェンジを駆使したボール回しから左サイドの田中に振る。田中はマイナスぎみに中央に入ってきた大山に戻す。チェックに行く吉井が間に合わないと躊躇する。その一瞬のタイミングを見計らってミドルを撃った大山。DFラインの間を縫ってゴール右角に突き刺さります。まるで木島へのお返しのようなシュートで愛媛が同点に追いつきます。

同点。数的不利ではあるけれど熊本は点を取りにいくべきであり、実際に取りに行ったわけですが…。吉井の絶好のミドルシュートはGKにセーブされる。愛媛は逆に嵩にかかって攻め立てる。左サイドが次々に襲われ、関根が粘って上げたクロス、田中に代わって入った内田のヘッドはわずかに左に反れる。赤井のシュートを木下がこぼしたところに詰められますが、これはオフサイド。肝を冷やします。

後半25分。松岡が足を攣ってしまい宇留野と交替。西がSBに下がります。直後に木島もダウン。山内を入れて藤田をトップに上げる。こうして“プランにない”アクシデントの交替カードを切っていくしかない熊本。実況のアナウンサーは熊本の布陣を苦肉の策と憂えてくれますが、彼には宮崎も西もSBが勤まるという情報がない。それにしても、思えばシーズン序盤はとても90分間持たなかった原田や西。その二人が最後までピッチで走れるようになっていたからこそよかったものの…。おそらく原田や宮崎もかなり痛んでいるのが、画面からも伝わってくる。しかし、もう交替のカードは残っていませんでした。

その後も攻め立てられはしますが、愛媛にも決定的な“策”はありませんでした。バルバリッチがベンチで怒るように、繋がりはなく、アイデアは乏しく。まだまだ彼の目指すスタイルにはほど遠いのか。画面越しにはよくわからなかったのですが、折角の大山が“作る”シーンがその後はあまり感じられなかったのは、熊本がしっかりチェックしたせいなのかも知れません。両者追加点なく終了のホイッスル。両チームの選手が天を仰ぐ。原田と宮崎は、ピッチ上に崩れ落ち身体を休めます。

前節・湘南戦でも書いたように、熊本の選手が途中で足を攣ってしまうのはもはやチームの“仕様”と言わざるを得ません。残念なことですが、幾人かの選手が90分は持たないだろうというのはベンチも織り込み済みのことなのでしょう。90分のなかで、どの選手が持ちそうになくて、そこでどの選手を投入するかは、流動的にせよ“プラン”としてあるのかもしれません。小森田を後半引っ込めて藤田を入れるのは当初のプランどおり。木島、松岡、西、宮崎のうち誰かが傷んだ時は宇留野を入れてシフトチャンジという選択だったのでしょう。そして次の(そして最後の)交替カードは山内。ということだったかと。ところが、今日はもうひとつ“退場”というアクシデントがそれに加わった。それに、選手の“痛み”も予想よりは早く、そして深かったのではなかったのかと…。全く予期しない緊急な状況が加わるのがサッカー。そこが盤面での“ゲーム”とは違う。生身の人間が行う仕業ならではのことなのですが…。

先発11人、ベンチ5人、交替カード3枚というレギュレーションのなかで、ユーティリティ性のある選手をどう配置していくかが、このリーグの肝であり、うちは薄い選手層のなかでも何とかうまくこなしているのだと思います。これについては昨年からの財産が寄与している部分も大きい。しかしながら、今日の事態はかなり危うかったなというのが実感。「勝てた試合」「勝ち点2を失った」と評価する人も多いのですが、われわれは薄氷を踏む引分だったというのが正直なところです。湘南戦では「型にはまった」と言えた攻撃的交替カード。今日は“事が起こってからの交替”に終始せざるを得なかったように思えます。この退場劇や故障が、もしCBやボランチで起こっていたならと思うと。そのときのベンチワークはどうなっていたのかと。

勝つための事前プランと危機管理。いつも“強気”と見せるベンチのプランが、決して勝利を約束するものではないのではないかと。結果オーライと危機管理は、実は表裏一体、“裏返し”なのではないかと。危機管理の目配りが徹底しているからこそ結果が伴うのだと。チーム初の3連勝のチャンスはまた逃してしまいましたが、相手との対戦ということ以前に、チーム全体が一人芝居、一人相撲を演じたような残念な試合。まだまだ道は遠いなぁ。そう思いました。

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