今日の熊日朝刊でロアッソ熊本の3代目の監督に、高木琢也氏が就任することが報道されました。いや、“ビッグネーム”ですね。素直に驚いたというのが第一印象です。

われわれ世代からすれば、オフトが率いた時代の日本代表でセンターFWを張り、「アジアの大砲」と称されたプレーヤー。ただ、選手時代の彼を思い起こすと、「大事なところで決めきれない」「ポストプレーで逆に味方の壁になってる」みたいな、やや歯がゆい印象が残っているのも、実は正直なところです。

ところがその後、指導者になった彼については、ちょっとイメージが違ってきます。S級資格をとったばかりの06年に横浜FCのコーチに就任しますが、シーズン第1戦を終えたとたんに監督の足達氏が電撃的に解任。いきなり監督という大役が回ってくるのですが、なんとそこから破竹の15戦無敗。とうとう横浜FCをリーグ優勝に導き、初のJ1昇格を実現させてしまいました。あの年、熊本はJFLに昇格したばかりで。熊本でキャンプを張っていた同チームとのプレシーズンマッチを大津球技場で行っています。(そのときは1-0で白星を上げていますが…)。そんなシーズン前からの不安定さが足達監督の解任の伏線だったのかも、などという想像もありましたが、それでも「高木ってなかなかやるじゃないか」と、まだどこか遠い世界の話のように思っていたような気がします。

ただ、これもご存知のように翌年、横浜FCは1年でJ2に降格。高木氏もシーズン途中で解任されてしまいました。そして今年は、東京Vの新監督としてわが熊本と相見えることに。この“名門チーム”と公式戦で初めて対戦、とんでもない展開で大逆転勝ちをおさめた第1クールの感動は忘れられませんが、第2クールでは完敗を喫しましたね。10月には成績不振を理由にシーズン途中で東京Vを解雇されていますが、あの頃ヴェルディはクラブの身売り話、存続の危機の真っ最中。いろいろなゴタゴタがあった中での解任劇に見えました。

驚いた次に思ったのは、そうか、彼がいたか、ということでした。北野監督契約満了の発表からこのかた、先日の最終戦のエントリーでも書いたように、とにかく次の監督が誰になるのか。われわれの関心はこの一点にありました。もちろんわれわれも一ファンとして、色んな想像、妄想、憶測を…していました。まず、(われわれのリストに)名前が挙がったのが鳥栖を離れた熱血漢・岸野氏。また柏でヘッドコーチを務める井原氏。さらには辞任表明した甲府の安間氏であったり、藤田と同級生の木山氏であったり。あげくには中央大学、柏のラインでS級を持っているというだけで沢田謙太郎氏、横山雄次氏などを勝手にリストアップしたりと…。今回の人選に関して池谷GMの、どんなコネクションが働いたのか、いずれ種明かしはあるのでしょうが、とにかく、あの高木氏とは思いもつかなかった…。

若手の指導者ではあるものの、横浜FCをJ1昇格に導いたという実績はすでに十分輝かしいものと言えるでしょう。優勝に導いたあのシーズン、どんな戦術を敷いていたのかは、当時カテゴリーが違っていたのであまりよく知りません。そういう意味では、新生ロアッソサッカーをどう導くのかも、全くの未知数です。ただあの当時、その破竹の勢いの“ベース”には、選手と対話し、選手の気持ちを掌握する力に長けているという高い評価と報道があったことを思い出します。青年監督ならではの人身掌握術。兄貴肌なのか、あるいは教育者的側面とも言えるのかも知れません。

そして、これもまた北野監督と同様に比較的若いわがクラブの池谷GM(47)と、かたや方やピッチ上の指揮官・藤田(38)との、ちょうど間に位置するような年齢。熊本の重鎮的存在である藤田にとっても、この高木氏の日本代表キャップ数と、まだ短いながらも確かな指導者としての実績は、互いに信頼するに足るものではないかと。いきなり任された横浜というチームにも、目上の存在のカズという選手がいましたが、そのなかでチームをしっかりと掌握したという実績。ある意味似たように経験豊かなベテランと新卒そこそこの若手が混在するわがチームにあっても、そのマネジメント力が発揮されるのではないでしょうか。

これもまた、3年後のJ1昇格を見据えたわがクラブのひとつの明確な“布石”(報道によれば当初は二年契約とのことですが)であることは間違いないでしょう。もうひとつ付け加えるとすれば、J2の戦い方を熟知していることもちろんですが、昇格したJ1シーズンでは壮絶に負け続けたという実戦経験の持ち主。J2とJ1の確かな違いを、肌で知っているということも大きなものではないでしょうか。

高木氏の監督就任ということで、われわれが考えうるポジティブなところを色々と想像してみました。しかし、まだまだ始まったばかりと思っていた今期のストーブリーグ。その比較的早い段階で、わが熊本が次の指導者を決定できたことは、来期のチームづくりのうえで大きなアドバンテージであることだけは間違いないでしょう。熊日の連載でも指摘されていたように、強化のための予算が潤沢なわけでは決してありませんが、それでもチーム編成がこれから、という段階で、新監督の意向と人脈が可能な限り生かされることもあるだろうし、それは将来に渡っても期待できることなのではないでしょうか。このスケジュールで次の段階に進めたこと。この仕事の価値は小さくないと思います。

とにかく監督が決まってホッとした。そして大いに期待したい。今日最終的に思ったのはそういうことでした。高木氏にすれば“2度目”のJ1昇格へ向けてのチャレンジ。大仕事。それは、われわれ熊本の“夢”と繋がるはずです。新生・熊本の着実な一歩。この人事が、後々そうだと言えるように。われわれも身を引き締めて応援していきたいと思います。
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