おそらくJリーグ史上でも最初で最後になるだろう怒涛の51試合という09年シーズンが終了しました。今年1月、その加入が発表されたときのエントリーで、「年齢からいえば、51試合はもちろん、おそらく90分フル出場も厳しいというのが客観情勢なのかも知れません」などと書いてしまった藤田俊哉も、1試合を除いて全ての試合に出場。常に存在感を示し、熊本のサッカーを変える働きをしてくれました。まったく自らの不明の程には恥じ入るばかりです。

さて表題のとおり、ここで今季のベストゲームを考えてみたいのですが、みなさんにとってはどの試合だったでしょうか。今シーズンも毎試合の観戦記をエントリーさせていただきました。しかし、われわれにとっても“怒涛の51試合”。ミッドウィークの開催増など厳しいスケジュールに息も絶え絶えでしたが、それに対して、われわれもたじろぐほどのたくさんの拍手をいただきました。本当にありがとうございます。

しかし、いつも思うのですが、この拍手。われわれの駄文の出来、不出来とは関係なく、また、最近では勝敗さえもあまり差が無くなってきたような。まさしく“試合内容”に比例する、“選手たちへの拍手”なんだな。というのが実感です。そして、せっかくいただいたものです、今回は(今日現在での)各エントリーへの拍手数でもって、今シーズンのベストゲームを選んでみようと思い立ちました。シーズンを通して積み上げられた“数字”。こうやって結果をお返しして、オフシーズンの楽しみにすることも許していただけるのではと思います。以下ベスト3の試合です。

1位(129拍手)
7月11日(土) 2009 J2リーグ戦 第27節
札幌 0 - 1 熊本 (14:03/札幌厚別/6,376人)
得点者:70' 吉井孝輔(熊本)
言うまでもなく、左SBに入っていた原田拓が、前半39分にして、この日2枚目のイエローで退場になった試合です。その後の50分間、一人少なくなった熊本が一方的に攻め込まれながらも、古巣との対決に奮い立つ河端と、福王の必死の守りで跳ね返し続け、逆に一瞬の好機を見逃さず吉井が虎の子の1点を奪った試合。「(ひとり少なくなって)カウンターに専念すると言いながら、得点を決めた攻撃は、押し上げ、追い越し、5本のパスをタメながら繋げた、見事なパスサッカーでした」(エントリーから)。あのハラハラ、ドキドキ感。そして終わったときの感動は、確かに今でも思い出しますね。

2位(113拍手)
4月29日(水) 2009 J2リーグ戦 第11節
東京V 2 - 4 熊本 (16:03/味スタ/4,540人)
得点者:29' 大黒将志(東京V)、31' 柴崎晃誠(東京V)、38' 藤田俊哉(熊本)、50' 木島良輔(熊本)、53' 中山悟志(熊本)、65' 福王忠世(熊本)
名門ヴェルディとの初顔合わせで、大逆転を演じた試合ですね。開始から果敢に攻め込んだ熊本でしたが、大黒のすごみのあるゴール、柴崎の追加点で、わずか3分の間に2点のビハインド。しかし、下を向きそうになる選手たちを鼓舞したのは、前半終了間際の藤田俊哉のゴール。これが反撃の狼煙となって、後半3点を追加する逆転劇。連戦に出場する藤田を見て、冒頭のような“先入観”を反省していたところでした。「彼は今、プレーヤーとしてチームの勝利に貢献することはもちろん、あらゆる場面を通じて自らの経験を伝え、また自らの取り組む姿勢を範として示し、若いプレーヤーの成長を促し、チームの成長に力を尽くしている。何よりチームに自信をもたらした。J2のどのチームと対戦しても、少なくともわれわれファンのレベルでは全く気後れすることがなくなったなあというのが率直な実感ではないでしょうか。」エントリーでは、そう記しています。“名門”をねじ伏せた試合。指揮していたのは来季、わが熊本の監督になる高木琢也氏でした。

3位(85拍手)
9月12日(土) 2009 J2リーグ戦 第39節
熊本 2 - 1 鳥栖 (16:04/熊本/8,671人)
得点者:29' 西弘則(熊本)、62' 高橋義希(鳥栖)、84' 山内祐一(熊本)
3位以降は僅差でしかないのですが、この試合が入りました。第3クールでの鳥栖との九州ダービー。夏場の4連敗にひとつ白星のあと、再びの5連敗。岐阜にわがホームで2-5と、いいところなく敗れ去ったあのときはどん底の状態。バラバラ感が伝わってくるチームを目の当たりにして、KKのスタンドでしばし呆然と立ち尽くしたのを思い出します。そしてその後、アウェー草津戦で0-6と大爆勝し、悪夢を断ち切ったあとがこの試合。実に「大事な」試合でした。(この翌週の試合で徳島に6-0と大敗を喫するものの)よくよく考察すると、守備と攻撃のバランスがようやく保たれ始めたのは、この鳥栖との“痺れる”辛勝戦が起点なのかも知れません。西の得点で先制するものの、後半同点に追いつかれる。しかし最後に山内のゴールで突き放すというドラマチックな展開。山内へのアシスト。木島のDF又抜きパスも見事でしたね。「藤田ひとりが目立つようなサッカーではなくなってきているような。藤田が黒子に徹して、ようやく今季の熊本のチーム全体としての力が成熟してきているような。」と書いているように、第3クールにしてやっとチームとしての成熟度が感じられた。そしてなにより実に2ヶ月半ぶりのホーム勝利。「その間、負けても負けても、皆が通い続けた」その長かったホームでの連敗の苦しい思いが、この勝利により一層の喜びを与えたことは間違いないでしょう。

いや、こうやって書いていると、その時の感動が鮮明に蘇ってきますね。どれもが確かにいい試合でした。

ところで敗戦にも関わらず、拍手数の多かった試合もあります。いわば敗戦のなかでのベストゲームともいえるのでしょうか。それは第1節1-2の草津戦。そして第14節0-1の甲府戦。(いずれも69拍手)。前者は、J2年目を迎えたホーム開幕戦であり。後者は熊本の一員となった宇留野が、古巣・甲府との戦いに臨んだ試合でした。

51試合。大勝もあれば大敗もあり、辛勝もあれば惜敗もある。逆転勝利もあればその逆も…。どれもこれも今思い起こせば、“心に残る”試合だったと言えるかも知れません。心に残る09年シーズンでした。

さて、いただいた拍手数とは別に、われわれ自身で「ベストゲーム」を選ぶとすれば…。これもまた敗戦には違いないのですが、最終節の甲府戦を挙げたいと思います。

12月5日(土) 2009 J2リーグ戦 第51節
甲府 2 - 1 熊本 (12:33/小瀬/13,104人)
得点者:2' 金信泳(甲府)、23' 金信泳(甲府)、28' 小森田友明(熊本)
“インフルエンザ禍”の満身創痍のチーム状態ではありましたが、「がっぷり四つで、最後まで甲府を脅かし」「昨年の最終戦、KKでの広島との戦い。スコアは偶然にも同じ1-2ですが、昨年感じたような、まだまだ埋めようがない落差といった感じではなく、また、それは、先日、水前寺で湘南に勝利したときとも違うさらに“僅差”の感覚を持った」。昇格のかかった試合、強豪相手に“胸を合わせた”戦いぶり、確かな“互角感”。まさしく「今季の到達点を探る」試合にして、今季のその本領を十分に発揮した試合。来季に繋がる試合だったといえるのではないかと思っています。

いかがでしょうか。みなさん自身のベストゲームは51節のなかでどの試合でしたか?
しかし、こうして振り返ってみて改めて感じるのですが、みんなが思う“いい試合”って、大勝とか完勝といった結果だけではなく、不恰好でも、たとえ負け試合でも、選手たちの“心”や“思い”や、そう、“闘う気持ち”が込められた試合なのではなかろうかと。なんだかそれってうちらしいし。みんなこのチームが大好きなんだなと。とても嬉しくなってしまいました。

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