改めて、明けましておめでとうございます。2001年に旧サカくま(サッカー情報熊本)を開設して以来、今年でちょうど10年目になります。相変わらずの長文、駄文ではありますが、よかったらお付き合い下さい。

まず、新年早々ですがこの厳しい経済状況を反映した残念なニュースがありました。ロッソの母体となっていわば“Jへのたすき”を繋いだアルエットの選手、スタッフが中心になってその後立ち上げたヴァンクール熊本が、この春、解散するというニュースでした。財政状況の悪化と、メンバーが試合に揃わないという体制の問題が理由とのこと。県内では長く国体代表の母体でもあったチームだけに、その現実は残念としか言いようがありません。われわれも最近は近所の益城のグラウンドで開催される九州リーグの試合を覗いてみるくらいでしたが、確かに、メンバーのやり繰りも苦心の様子が見え、われわれの知らない選手の名前が連なっていました。しかし、それでも監督は中尾太三郎であり、代表は河野忍であることには変わりはなく…(ちょうど10年前、彼らが率いるNTT熊本がJFL昇格を果たして以来の経緯はここでも何度か触れています)。地域のサッカーに対する彼らの並外れた情熱と献身については、いつか改めてまとめる必要があるでしょう。今後の動向が気になるところです。

また、年末年始は高校選手権、わが県代表ルーテル学院の快進撃に俄然注目が集まりました。初戦突破が目標だった同校が、国立での開幕戦に古豪・帝京を下すと、FW山本の連続ゴールもあり2回戦、3回戦と勝ち進む。とうとうベスト8の一角を占めました。惜しくも準決勝進出は成らなかったのですが、忠実なカバーリングなど組織的な堅守から攻撃に転じるスピード、オートマティズムあふれるパスワーク、そして前線の山本の才能あふれるプレーぶりは、郷土の代表という贔屓目を抜きにしても実にみごとだったと言えるではないでしょうか。それにしても、熊日にも書かれていたとおり今大会は名のある古豪が次々に消え、新進気鋭の学校の躍進が目立ちました。これも優秀な指導者層の広がりと、Jの下部組織やその他クラブチームでの育成年代のレベルアップといった、競技人口の裾野の広がりと同時に、総体としてのレベルアップが進んできた成果のひとつではないかと思いました。

さて、ストーブリーグ真っ只中のロアッソに目を転じれば、南雄太、筑城和人に続いて先日、名古屋から平木良樹選手のレンタル移籍が発表されました。選手補強はまだ道半ばとは思われますが、徐々に新生・高木ロアッソのかたちがうっすらとではありますが見えてきたなという感じがしています。

昨年暮れ「高木琢也氏 新監督就任」というエントリーを書いた後、就任会見やテレビ番組等のインタビューなどマスコミ等での露出が相次ぎましたが、逆に言えば、われわれとしては新監督についての情報は今のところそのあたりにしかありません。そこで、とりあえず今までの発言を“分析”というと大げさですが、少し整理してみようかと思いました。色んな場での発言の断片をつなぎ合わせ、推理してみることで、何とか、今の段階での高木新監督のチーム作りのイメージがちょっとは垣間見えてくるのでないか、そういった妄想でも楽しんでみようかな、などと思ったわけです。

まず、熊本の監督就任を決意させたもの。この点に関してはRKKの年末の特番でのインタビューが一番わかりやすく語られていました。それには次のような3つの理由があると。
1)クラブ(池谷氏)から必要とされていると感じた。何回も話し、熱意に打たれていくうちに、このチーム(この人)のためにという気持ちが自分のなかに沸いてきた。
2)このクラブは歴史も浅いが、ちゃんとした方向を向けばどんどん大きくなっていくだろうという可能性を感じた。現場の選手も鍛えていけばもっともっと大きくなると。
3)(自分の出身である)同じ九州のチームだということ。自分との共通したところ。
そうした3つの理由に加えて高木氏は、「もうひとつ言えるとすれば、遠くになってしまう家族の理解があったこと」だと述べました。「1、2、3揃ったとしても家族の理解がなければここにはこなかった」と。おそらく熊本へは単身赴任ではなかろうかと思われる高木監督。ルーテルが初戦で破った帝京高校のMF高木利弥は、氏の長男だったということを試合後に知りました。

どんなチームにしていきたいかという思いは、監督就任会見でも語られていました。まず触れているのは失点が多いという現状。「(昨季の)82失点というのは減らさなくてはいけない。それがうまく減っていけば、毎年ステップアップするチームができるんじゃないかと思っています」と真っ先に守備面の強化を挙げています。横浜FCでの実績では堅守で鳴らした高木監督。しかしながらそれは「(目指すのは)攻撃の時は本当に攻撃するし、ディフェンスの時もそれができるチーム。要は、相手が点を取りたくても取らせない、守りたくても守れない、そういう臨機応変なサッカーをしていきたいなと思っています」という言葉で補足されるように、単に引いて守るスタイルとは一線を画すもののように感じられます。そのためには「トレーニングでも、攻撃から守備への切り替えを早くするということを意識づけていきたいなと」と述べています。

そしてどのインタビューでも必ずと言っていいほど言われているのが、「最後の15分で点を取るチーム」を目指すということ。その点に関しては就任会見でも、「残り15分というのは、どちらのチームもしんどい時間帯。そこでの頑張りが勝ちに繋がる」という意味のことが述べられている。と同時に「昨季の熊本のこの時間帯での得点はわずか7点。これを少なくとも二桁には持っていきたい」と明確に数値目標化されていました。

ただそれはデータ上のことでは決してないようで、「まずメンタル的な部分というのは変えなくてはいけないのかな」と述べると同時に、「クラブとしても歴史が浅く、J2に上がってそんなに時間が経っているクラブでもない。若い選手が多い。クラブの規模、そういった諸々の状況に対して、ひょっとしたら『負けても仕方ない』というような言い訳をどこかに持っていないか。そうではなくて、ひとつひとつの勝負に対してこだわりを持ってやってほしいし、ゲームに対して貪欲にやってほしい」と述べて、選手の“メンタル面”の重要性を強調しています。更に年明けのNHKのインタビューでは、その点に関して「最後まであきらない。最後まで走るサッカーをやっていきたい。ハードワークして、とにかく最後まであきらめないサッカーをしたい」と加えています。

シーズンの目標はと問われて「真ん中あたり、1桁行ければ」という表現と同時に、「数字にはこだわらないと結果はついてこないだろう」とも言い放った高木監督。一試合一試合の勝負への執着心どころか、練習内にもあるだろう“勝ち負け”にこだわる気持ちがないと「向上」という結果はついてこないのだと選手達に求める(TKU「夜はホンネで」)。と同時に、「熊本県民の皆様に、おもしろいサッカーというか、サッカーというのはこういうものだというのが我々のゲームから知識として芽生えて、今まで以上に、この熊本そして九州でサッカーの文化が根付くように、一生懸命頑張っていきたいと思います」(就任会見)と言うように、長期的な、ある意味マネージャーとしての視野でもこのクラブを捉えているようです。

それは池谷GMが高木監督に関して言及した「サッカーのことや地域のこと、このクラブの生い立ちなどを話す中で、同じ絵を描いていける、『高木琢也に託してもいいな』という気持ちになった」という表現に繋がるし、「このクラブはずっと続いていかなくてはいけないし、地域の中でも勝ち残って全国に発信していけるクラブを目指したいと思っています。その中で彼が必要だと思ったということです」と明言した所以なのだと思います。

「やれること、やれないことも何となくわかっています」。「その中でやれることを、クラブには一生懸命やっていただきました。ほとんど補強に関してですが、その点は非常に感謝しています」と就任会見で発言した高木監督。このオフシーズンの補強活動に関しての言及なのでしょうが、まだ発表されない、われわれの知らないことが待っているようで…。その発表とともに、来るべきシーズンへの始動=練習開始が今か今かと待たれるところです。年末から続く厳しい寒波のなかで、暖かい春を待ち焦がれる思いに似ているような気がしています。

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