3月14日(日) 2010 J2リーグ戦 第2節
東京V 1 - 2 熊本 (13:03/味スタ/5,755人)
得点者:52' 平本一樹(東京V)、59' 松橋章太(熊本)、75' 井畑翔太郎(熊本)

経営母体も変わり、主軸も含めて大量の選手が流出。建て直しの年とも言える東京Vは川勝監督が復帰。このチームを昨年途中まで率いていた高木監督は戦前「個人の情報はあるが、チームの情報はわからない。」と言っていたそうです。

東京V (先発フォーメーション)
 13井上 
 7河野 
16飯尾24高木
10菊岡8柴崎
25平本2福田
14富澤17土屋
 26柴崎 

熊本はなんだか重たい出足に見えました。序盤は開幕戦と同じように、自陣深い位置からつなぐリスクを避け、長いボールを放り込みますが、なかなかボールを落ち着けられず、またセカンドボールを拾えない。前節試合がなかった東京は今日が開幕。満を持してという感じで思い切りよく攻め込んでくる。熊本が自陣に釘付けになる時間帯が続きました。ただ、今日もチームとして守備の意識が高い熊本。相手のアタッキングサードは厳しく対応し、自由にシュートは撃たせない。井畑は今日も前線で身体を張る動き。解説の遠藤氏の「オフトから高木に植え付けられたものが、高木から井畑に受け継がれている」みたいなコメントになるほどと思いつつ前半スコアレスで終了。

それにしても東京。柴崎、菊岡、河野とボールの供給者はいずれもタレント揃い。50分に与えたFK。嫌な時間帯だなと思った瞬間。菊岡からフワッと上げられたクロスに平本の頭が届く。GK南も一瞬躊躇したタイミングときわどいエリアへのボール。東京に先制を許してしまいました。どうも今年はこの「フワッと」に弱いな…、セットプレーも相変わらずだな…。などと思っていましたが、時間とともに徐々に東京の足が止まり始めてくれました。

前半1本もなかったCKが取れ初め、59分ショートコーナーで一旦、DFをズラしたところにクロス。かなり遠目から井畑が競り勝ってのヘッド。ポストの跳ね返りを松橋がきっちりと詰めていました。さすがです。追いつかれた東京も反撃。高い位置でインターセプトされて高木が南と1対1。これを新守護神がビッグセーブで防ぎます。

最初に動いたのは熊本。運動量の落ちた宇留野を山内に代えて右サイドを活性化させる。すると同サイドのスローインを井畑がPエリア内で受ける。DF富澤を背負い、ねじ込みながら体を入れ替えゴールに向き、至近距離から強烈な一打。GKの足に当たったボールはゴールマウスに転がり込みました。こんなシュートシーンはこれまでのロアッソにはなかったように思います。全く泥臭くて、なにより積極性のシュート。周りの誰かにボールを預けることだってできたはず。今季からDFの手の使い方が非常に厳しくジャッジされるようになったとはいえ、この井畑の執拗とまでいえる身体の使い方は今年の武器になるに違いない。嬉しいJリーグ初ゴールでした。

そして今日も残り10分もない時間で藤田の投入。2試合続けての“最後の切り札”となりました。けれど今日の役割は、前節と違ってこの試合をうまくクロージングすること。「勝てる試合をきっちりと勝ちきる」。それは昨シーズンの反省点としてこのオフシーズン、藤田が何度も言っていた言葉。最後の(監督がこだわる残り15分ともとれる)時間帯。そこに監督の意思を伝達するだけでなく、自らが表現できる重要なカード(切り札)なのではないでしょうか。試合後も山内に熱っぽく何かアドバイスしている姿が印象的でした。

追いつく力。そして今節は、逆転して「勝ちきる力」を見せてくれた新生ロアッソ。ただそれは、先制点を奪われたあとでも決して動揺せず、最小失点1で抑える(我慢できる)力だったとも言えるのではないでしょうか。某ラジオ番組で高木監督は「色々なアクシデントもあるから、失点1はどんな試合でも覚悟しておかなければならない。だからいわば失点ゼロは“サッカーの美学”なのだ」という意味のことを話していました。

試合後、振り返ってみると“なんだかある意味印象の薄い試合”だったというのがわれわれの実感でした。チームのファンでなければ、前半の途中以降は見続けることに飽きてしまうようなゲーム内容だったのではないかと思います。けれどもそれは綿密なスカウティングの元に、相手の良いところをひとつひとつ丹念に潰していくサッカーだったから。加えてチームの個々人が“自分”を消して、チームの仕事=自分の仕事に徹していたからではないかと思わされました。ファールがあってボールが止まっても、アピールしたり、ゼスチャーしたりしている余裕も暇もない、すぐに切り替えてポジションを取りに走っていく。選手みんなから指示の声が出ている。90分間、焦れない。ゲームだけに集中している。

「サッカーには攻撃の時間と、守りの時間と、切り替えの時間しかない」と言っていた高木監督。確かに守りへの切り替えは見違えるほど出来てきています。ただ、攻撃に転じるときに雑なところがみえるのは“まだ”致し方ないのでしょう。「本来ならば、できればもっともっと動かして、前からボールを奪うことをやっていきたいのですが、そこが今後のチームの課題として挙がってくると思います。」指揮官の言葉にもそのあたりの途上感が垣間見られる。ただ、勝ち点を積み上げるために“やるべきこと”と“今できること”の優先順位をしっかり決めて戦っているという現実主義者なのも間違いないないようです。

今日はオフ。関東に家族を残してきた藤田、南らにとってはしばしの“戦士の休息”が与えられているのかも知れません。しっかり休んで、そして次の岡山戦に備えてもらいたい。
さて、その岡山戦。千葉、東京Vという古豪、強豪との連戦を終えて(開幕二試合を戦ったばかりです)、まだ負けてない…。先ほど書いたように“あの”東京Vに勝ったのに“なんだかある意味印象の薄い試合”と感じてしまうように、われわれも今チームに対して不思議な気持ちを抱いています。そんな流れの中での対岡山。まさか選手にもわれわれファンにも慢心はありませんが、どんな戦い方をするのか、できるのか。藤田はやっぱり“最後のカード”なのか、等々・・・。新チームの姿(戦い方)が見極められるかもしれない。そういった意味で、なかなかに見どころが深い試合ではないかと期待をしているところです。

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