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4月11日(日) 2010 J2リーグ戦 第6節
熊本 0 - 1 甲府 (13:03/熊本/6,350人)
得点者:29' 養父雄仁(甲府)


90分間を振り返ってみると、本当にあの一瞬だけ。後半の熊本の猛攻を考えると、どっちに勝利が転んでもおかしくはなかった。負け惜しみでもなんでもなく、きっぱりそう言い切れる惜敗でした。

シーズン前にはわれわれも昇格戦線の一画と予想していたあの甲府が、開幕ダッシュに失敗して苦しんでいる。甲府の試合はこれまで、福岡との開幕戦、前節の鳥栖との試合をテレビ観戦したんですが、林健太郎なき後の中盤がなんとも落ち着かなくて、強力な前線3トップと堅いDFラインとの3列のラインが、なんだかちぐはぐでかみ合っていない。そんな印象を受けていました。調子が出ないうちに叩いておきたい。川崎からレンタル中の養父はテクニックもあってやっかいな選手だけど、前節鳥栖戦では焦れた甲府側が後半途中でマラニョンとの交代で引っ込めてしまった。あとは前線への単調なロングボール頼みの展開で自滅。わが熊本も、前半をうまくしのいでいけば、十分にそんな展開に持ち込める。そうなれば必ず相手はミスを犯す。戦術面でも、プレー面でも。素人ながら、そんなイメージを持っていました。

甲府 (先発フォーメーション)
 15パウリーニョ 
11マラニョン9大西
10藤田8養父
 2秋本 
13内山6吉田
4山本5ダニエル
 1荻 

この季節、一週間一週間暖かくなる。曇りのち雨の週間天気予報を吹き飛ばし、雲の合間からもう初夏のような強い陽が差し、気温はグングン上がっていきました。

試合は開始序盤からがっぷり四つ。甲府の藤田がロングシュートでゴールマウスを狙う。西森がDF裏に浮き球を出すと、松橋がヘッドで西に繋ぎますがDFがクリア。今度は甲府がカウンター攻撃。左から切れ込んでのマラニョンのシュートは枠を越える。熊本はGK南からの低いキックをDFが反らしたところに井畑が頭で落とし、松橋が走り込んでGKを交わしますが、シュートは右にそれていきました。

そして何の前触れも予兆もなく前半29分、甲府のスローインから左でマラニョンが一人粘って一度は下げる。今度は右から作り直して右サイド奥、フリーの大西に渡ったと思った瞬間ダイレクトに入れた。人数は足りていたものの、バイタルエリアを大きくしてしまった熊本は、Pエリア中央に入ってきた養父をフリーにしてしまう。ダイレクトでしっかりとボレーで合わせた養父のシュートは勢いよくゴールネットに突き刺さりました。

6千人のファンのどよめきにも似たため息。「あれを決められたら仕方ない・・・」という声。「まだまだこれから」という声。

しかしなんとか前半のうちに追いつきたい熊本だったのですが、その後は選手間の距離に難があるのかセカンドボールが一向に拾えない。パスが寸断される。井畑にはがっちりダニエルが密着していて潰される。先制点を上げた甲府は自信を取り戻したようにバランスを配慮して守る。堅い。これで養父も今日は後半交代で下がることもなくなっただろう。今日の甲府に果たして付け入る隙を見つけられるのだろうか。前半終了時点ではそう思ったものでした。

今思えば、さすがの甲府も、好調と噂される熊本を、きっちりスカウティングしてきたということなのでしょう。いつもならこういった強豪チームに見られるような“油断”が感じられませんでした。わが熊本は好調さ故にスタメンも固定ぎみ、前線の井畑のところで収めて、という戦術も読まれていました。だからこそ今日は後半早めに藤田を投入して、いわば“戦術変更”した。更には右サイド西森を左SBにスウィッチして、そこにまだ“知られていない”平木を置いたのだろうと思いました。

そして交代の意図通り、誰が見てもわかるくらい、藤田が入ったあとの熊本は一変します。ワンタッチパスが増え、中盤での縦への推進力が増す。ゴール前をワン・ツーで崩していく。ちょっと甲府が慌て出す。もう一度、前線に起点を作りたい甲府は、パウリーニョを下げてキム・シンヨン。なんとも嫌な相手が入ります。

藤田が散らすボール。左サイドを松橋がえぐってクロスを上げますがファーに抜ける。ポゼッションは圧倒的に熊本。長短交えて攻撃できることをファンに示す。しかし、甲府は最終ラインで必死に跳ね返す。

70分には決定的場面。藤田が溜めて松橋が中央突破。追いかけるDF二人に挟まれながらもシュートを放ちますが、GK荻にクリアされてしまいました。遠い。今日のゴールは実に遠い。前節の敗戦後、あえて厳しい言葉でチームを鼓舞したGKの荻が、今日は砦のようにゴールマウスに立ちはだかる。こんなに甲府の守備の時間が長いのは、甲府を自陣に貼り付け守らせたのは、熊本にとっても初めてではなかったでしょうか。

ただ、攻守の切り替えの早さは、甲府に一日の長があったのは確かでした。予想外の陽気に疲れが増したのか、熊本は徐々に戻りが遅くなってきているのがわかります。Jリーグ・デビューになった平木でしたが、出場機会がなく試合勘が鈍っていたのか、あるいは彼のプレースタイルなのか、走り込んでほしいスペースに走りこまない。ドリブルで仕掛けない。捌き屋、テクニシャンであることは彷彿とさせましたが、パサーばかりが並んで、ゴールへの迫力を感じさせるフィニッシャーがいない状況にも見えました。

残り15分。渡辺を原田に代えて投入。甲府陣内でのプレーが続く。西森の左からのクロスはファー市村が折り返しますが繋がらない。アディショナルタイム。矢野も上がる。諦めない熊本。残り1分を切っても“何か”起こりそうな期待を感じさせるのが今年の熊本。しかし、前節を思わせるような福王のロングシュートが残念ながらゴールポストの上を通過すると、試合の終わりを告げる主審の長い笛が吹かれました。

守りきった甲府。“あの”甲府がいわばなりふり構わぬ、といった感じで1点を守り抜くことに専念しました。それほどとにかく“結果”が欲しかった。それほど追いつめられていたのかも知れません。不調だった甲府でしたが、今日は前節のような“ミス”は皆無でした。これで熊本が何かきっかけを提供してしまったようにも思われます。

そしてわが熊本。課題は少しフォーカスされてきました。アタッキングサードでのプレー、それもフィニッシュの前のプレー。クロスの精度とか、パスのアイデア、呼応する動き等々…。高木監督が言うように、攻撃の熟成には時間がかかることは確かです。しかし、今日、藤田が長い時間を与えられ、昨年ファンを大いに湧かせたような“パス回しで崩す”熊本のスタイルが今も健在だということも証明してくれました。熊本には硬軟、長短の武器があることを確かめられたのは何よりの収穫でした。

試合終了後、イレブンへの拍手もそこそこに家路を急ぎました。今日の結果に対して、満たされないものが沸々と湧き上がってくるからでした。本当に悔しい。

これまでは“相性が悪い”と言われ、われわれもそう意識するほど、チカラの差を見せつけられ、大量失点に膝を着かされてきた甲府。そんな相手にワンチャンスだけの最少失点。相手を自陣に釘付けにし、シュート数も上回り…と。しかし、さすがのポジティブ・シンキングなわれわれも、この結果をもって“あの”甲府に善戦した、いい試合だったと言う気にはもうなれません。いや、なんだかこれまで以上に悔しい。負けて悔しいのは当たり前。この負けが悔しくなければならない。熊本3年目のJリーグ。何だかサッカーの原点に返ったような気持ちになってきます。おそらく監督、選手と共に、今一心でその悔しさを共有しているのだと。第二クール、絶対にこの借りは返すぞと。

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