わが“ロアッソ”。このW杯中断中、1週間のオフをとったあと、先週から練習を開始していますね。選手たちのブログから察するに、厳しい2部練習の日々を送っているようで。それも午前中の練習はフィジカル中心のメニューらしく、徹底的に身体を“いじめて”いる様子が伝わってきます。更に来週予定されている島原のミニキャンプは、高木監督のコメントによれば、マンネリ化しがちな選手たちの気持ちを“変える”という意図もあるようです。

今季のこれまでのわがチームの成績。シーズン前の走りこみの効果もあるのでしょうが、シーズンインしてからのこういった日々の練習のマネジメントの成果も高いのだろうと思ったりします。ゴールデンウィークの連戦後には、必ずチーム全体のコンディションを落としていたこれまでの2年間と比べると、試合数、試合間隔の違いはあるにせよ、日々の練習の質の高さと量のフィジカル面のマネジメント。そしてメンタル面のケア、それら多面的な要素に対しての準備と対応がしっかりなされているのだろうと。ファンにとって、リーグ戦再開が待ち遠しいのはいうまでもありません。

さて、昨早朝は日本中のサッカーファンが、何度も大きなガッツポーズで拳を突き上げただろうと思います。本田のすごみのある無回転FKの先制点は、一気に眠気を吹き飛ばしてくれましたが、なにより前線で身体を張ってキープするキレキレのプレーは、目を見張るものがありました。最高のパフォーマンスを発揮してくれましたね。

代表はこの大会、試合を追うごとにコンディションが上がっているように見えます。もちろんコンディションにはフィジカルとメンタルの両面があると思うのですが、あの試合ではフィジカルとともに、メンタル面でも相当な高さが感じられましたね。「引き分けでも決勝T進出」という状況で試合を迎えるのは、試合への入り方としては、かえって難しいことだったのではないでしょうか。岡田監督も選手達も、もちろん勝つことしか頭になかったわけですが、デンマークを全く恐れることなく攻め続けた。

岡田監督はかつて母校での講演で「村の祭り酒」という逸話を挙げて、チームのメンタル(集団心理)マネジメントの難しさを説明しています。
「収穫を祈念して、夏祭りをする村があった。祭りでは、お酒が入った大きなたるを、みんなでパーンと割って始める風習があった。ところがある年、貧乏でお酒が買えなくて、みんな集まって『どうしよう、これじゃ祭りは開けねえなあ』と悩んでいた。するとある人が、『みんなが家からちょっとずつお酒を持ってきて、たるに入れたらどうだ?』と提案した。『それはいいアイデアだ』ということで、みんなが持ち寄ってたるがいっぱいになった。『これで夏祭りを迎えられる。良かった』ということで当日にパーンとみんなで割って『乾杯』と言って飲んだら、水だったという話です。みんな、『俺1人ぐらい水を入れても分かんないだろう』と思っていたんです。」

この試合。NHKの実況アナウンサーは、デンマークに1点返されたあとの時間帯、引き分けでも決勝Tに行けるということを、何度も繰り返し言っていました。しかしピッチに立つ選手たちには誰一人も、一瞬もその気持ちはよぎらなかったのではないでしょうか。だからこそ守りきれたし、だからこそ3点目があったのではないでしょうか。

一方、デンマークは序盤こそトマソンを使って日本ゴールを脅かしましたが、早々に日本に修正されると手が打てなくなりました。岡田監督が4-3-3と指示しているシーンが画面に映りましたが、あれはピッチ上から遠藤が「何かやりにくいので、変更していいか?」という問いに対しての応答だったそうですね。ピッチ上のベテランならではの状況判断。このチームは、ベンチやスタッフも含めて今、全体が充実しピークを迎えようとしているように思えます。

デンマークは、“舐めて”いたのではないかとも思います。日本という相手にも、そしてこのW杯という大会にも。日本に対するスカウティングがどの程度だったのかは知る由もありませんが、高地練習をしていなかったという報道をみると、そう思わざるを得ないのです。この大会には舐めていい国などどこにもいないし、大会自体を舐めてはいけない。しっかり準備して最高のコンディション(フィジカルもメンタルも)を整えたものだけが勝利をつかめる大会。それを日本は4度目の出場経験でようやく活かしているのだと思います。経験を活かすということ自体も言うは易く…なんですが。

さあ、決勝トーナメントです。予選Rのこの3試合、日本の先発は固定されていましたが、次のパラグアイ戦はどうするのでしょう。日韓W杯で決勝Tに進んだ迎えたトルコ戦。トルシェ監督は先発を大きくいじってきました。あの当時は色んな評価、批判が飛び交ったことを思い出しますが、今思えば、いじらざるを得ない“コンディション”だったのではないかとも思い直しています。

列強国たちは当然、決勝T進出を見越した時間軸で、チームコンディションの波を考えてきているでしょう。しかし、日本も傍から見れば(マスコミを通じて伝わってくる感触では)、予選3試合のコアメンバーでコンディションが落ちていそうな選手は見受けられない。また一方でファンの心理としては、中村憲剛や内田の活躍するシーンを見てみたいとも思う。中村俊輔のコンディションはどの程度まで来ているのか。

決勝Tを目前にした今、バックアップ陣も含めたチーム全体の総合的なコンディションは、ホームだった日韓大会と比べれば、今回のそれが上回っていることは明らかのように思われます。パラグアイ戦まで中4日のスケジュール。スタッフはパラグアイを必死にスカウティングしているでしょう。恐らくは不眠不休で、あらゆる情報網を駆使して。そして選手たちはコンディションをしっかり管理し、ファンは次の試合に思いをはせ、喧々諤々の予想を展開しています。

われわれの大好きなオシムは、この試合を賞賛したあとにもきっちりと苦言を呈していましたね。それは決して皮肉屋の目線ではなく、チーム戦術を乱すもの、乱すプレーに向けられているものでした。ビデオを観なおしてしっかりこの試合の分析を行っておくべきだ、とも。いつの試合だったでしょうか、わが高木監督が「勝った試合のあとは、悪いところを忘れがちになるが、しっかり修正しなければならない」という意味のことを言っていましたが、まさにあの試合後のコメントを思い出して、ニヤッとしてしまいました。

スカパーでは、解説の関塚さんの話しぶりが静かながらも的確で、ブブゼラの音に邪魔されることなく心地よく耳から入ってきました。同じS級を持っていても、方や民放で叫ぶばかりの誰かさんとは格段の差を感じてしまいます。ついでに言えば、民放はともかくNHKも含めて、今大会の実況の“質”は断然スカパーに軍配を上げたいと思います。更に、今日の熊日では「あれだけ勇気を持ってプレーすれば、日本のサッカーもW杯で通用するんだというのを見せてくれた」と言い、「目標設定も指導者として大事なことで、選手がここで安心することはないだろう」と結んでいる関塚氏。深い戦術眼だけでなく、しっかりした心理マネージャーの資質も持ち合わせているのでしょう。多くの選手から慕われている事実からもそのことが伺い知れます。

たくさんの指導者たちの解説に触れることもできるこの大会。色々な試合を観て、解説に耳を傾けるなかで、わが高木監督もまた、他でもない“スカパー”に呼ばれたひとりであります。こうやって実際に比較して聞いてみたとき、わが監督が呼ばれた訳、その意味。それは”相当に”評価された上でのことなのだと…。そんな勝手な解釈をしながら、われわれはちょっと得意な気分になったりしています。

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