W杯中断期、ここまで代表戦に関して書いて来たので、最後の戦いになってしまったパラグアイ戦についてもやっぱり触れておかなければ示しがつきませんね。

前夜の身内の飲み会で、同僚・先輩から真顔で、「どう予想してるんだ」と尋ねられ、「スコアレスドロー、PK戦で川島に神が舞いおりて、勝つ!」と言い放ちました。スコアレスドローの部分は両チームの置かれたポジションや背負っているものから見て、結構、根拠があったんですが。PK戦は全く当てずっぽうでした。

しかし、実際にゲームが始まって前半を終えたところでは、「これは90分の間に日本が勝つな」というのが実感でした。ポゼッション率はデータ上も相手にありましたが、カウンターが戦術のパラグアイに対して“逆に持たせている”ように思えました。守備は今日もきっちり崩れない。後半1点先に取れば勝利だと…。
けれど。結局、戦前の印象通り、両者リスクを犯さず、手堅く戦った前半の状況は最後まで続き、後半も、延長戦でも決着がつきませんでした。日本にとっては初のベスト8進出を賭けた戦いでしたし、それはパラグアイの方も全く同じ。慎重なうえに我慢を重ねたような120分間の死闘ともいえる時間のなかで、何度か勝利の女神が日本に微笑みかけたように見えたのですが、決着をPK戦にゆだねる段階にまで至ると、「ぷぃ」とどこかに女神が飛んで行ってしまったような気がします。

PK戦の結果は責められない。それはサッカーファンなら誰でも知っていることです。元来PK戦不要論者のオシム氏は、自身の監督時代、PK戦に及ぶとベンチに引っ込んでしまうことで有名でしたが、テレビ観戦のこの試合も、どこかに引っ込んでしまったのでしょうか。ただ試合後、「PK戦は誰かが失敗するまで続くゲーム。失敗者を必ず生み出す残酷なくじ引き。何も恥じることはない」と、不要論者らしく敗者を擁護しました。

「勝たせられなかったのは私の責任。わたしの執着心と執念が足りなかった」と試合後すぐに岡田監督はコメントしました。それは一見、駒野への攻撃や、選手たちへの批判を一身に受け止めようとするようにも見えますが、実は120分間、いえ前後半90分の間に決着をつけられなかった自身の指揮への悔恨の情がそう言わせたのだと思います。その点に関してもオシムは「もっと侍のように勇ましく戦うべきだった」という表現で勝敗の本質を突いていますね。“勇気”が欠けていたようだと。それが采配にも見受けられたと。

泣き崩れる駒野を支えるように歩く松井の目も真っ赤で、胸を締め付けられました。他にも敗戦という現実を前にして涙を流している選手が、この大会においては多かったような。いや、これまでの大会ではいなかったかも知れません。それだけこの敗戦が受け入れがたかったのだろう。悔しかったし、まだこのチームで戦いたかった。そんな気持ちが伝わってきます。

それに対して、「日本代表 感動をありがとう」というマスコミの論調、日本人の風潮に苦言を呈する批評家もいます。確かにこの決勝Tの1回戦の壁をまたしても乗り越えられなかったのは何故なのか、あの90分を振り返り、120分を見直し、そして予選Rも含めての“結果”を分析・整理することは、日本サッカー界にとって非常に重要な作業です。それはまた、本大会以前のアジア予選も含めた長い長い戦いの総括であり、あるいは、5年、10年という経緯でもあって。それはもう“結果”というようなものではなく、大きな流れであったり、様々な局面であったり、ピッチ上のことだけではない組織や体制や…。あの前回大会がうまく総括されなかったように、このまま「残念だった。でもよく頑張った」だけでは日本の進歩はないわけですから。

しかし一方で、この大会の日本代表のサッカーを見て、まず、その堂々とした戦いぶりに目を見張り、決勝T進出を喜び、PK戦にまでもつれた惜敗のシーンを見て、勇気をもらい、「自分も仕事を頑張ろう」「今の生活を頑張ってみよう」と思った人も少なくなかったのではないかと思います。惜しかったけど感動したし、代表というホームチームを、皆が胸を張って応援できた。元気をもらったということも。空港に出迎えたたくさんのファンを見て、「若い人が目を輝かせているのを見るのは大好きなので、それを見たときはジーンときた」と岡田監督に言わしめました。この期に及んでそういった事実を否定したり皮肉ったりすることを、決してわれわれは良しとはしない。

さて、日本代表ファンにとってのW杯は終わりましたが、そのなかからまた少しでも多くのサッカーファンが生まれ、準々決勝以降を観戦する人が増えていくといいなと思います。主将の責務を全うした長谷部はインタビューで、「次は、ほとんどの選手がJリーグでプレーしてるんで、足を運んで盛り上げてもらいたい」とコメントすることを忘れませんでした。前回、中田がそうしたように…。長谷部自身も含め海外でプレーする選手たちが主軸をなすようになった日本代表ですが、そもそも自国にしっかりしたリーグの基盤があり、それが母体になって次々に新しいタレント(才能)が現れないといけない。逆に、極東という地域的なハンデはあっても、海外の優秀なプレーヤーが流入してくるような魅力あるJリーグに成長していかなければならない。

そういう構造からしても、われわれのホームチーム自体がこの日本代表に繋がっている(ある意味支えている)ことを自覚しなければいけないし、このJ2というカテゴリーにもさらに高いレベルの戦いを求め続けなければいけない(私たち自身が)。そして代表戦にも決して負けない感動があることを、まだまだそれを体感したことのない人たちにも知って欲しい。ホームチームを応援する喜びこそ、サッカーを観る楽しみの原点なのだということを、もっともっと叫び続けていかなければいけない。そんなことを思いました。

と、まあ、何やら“サカくま”のサッカーの話しにしては実に偉そうなエントリーになってしましました。でも最後にこれだけは言わせてください。それでもとにかく勝ちたかった。勝って、次はスペインとの戦いで、俊輔のプレーを見たかったなあ。本当に、本当に。この目に、ワンタッチ、ワンタッチを全部焼き付けるようにして。見たかった…。どうしようもなく。悔しいなあ…。

TrackBackURL
→http://sckumamoto.blog79.fc2.com/tb.php/260-a012e105