11月20日(土) 2010 J2リーグ戦 第35節
熊本 2 - 1 岡山 (17:03/熊本/5,193人)
得点者:12' 片山奨典(熊本)、67' ファビオ(熊本)、90'+3 李東明(岡山)


良い面と悪い面の両方が出た、いわば今季を象徴するような試合でしたね。良い面は、試合の入り方もよく、連動したゾーンディフェンスで守備からリズムを作って、まるで蛇が獲物を捕らえるように時間をかけて敵を追い詰めていったこと。悪い面は、相手のミスに付け入ることなくその“程度”に合わせてしまったこと。そして、いわずもがな、試合をうまくクローズできなかったこと。しかし、結果的には逃げ切り勝利で、7位の順位を死守しました。

岡山との戦いは“ミラーゲーム”。それはがっちりとマッチアップする同じシステムや、攻守の切り替えの早さを重要視する同じようなチームスタイルから、高木監督が前回対戦でも使っていた言葉でしたが、われわれも昨年の対戦も含めて、まるで自分達と“擬似対戦”しているようだと書いてきました。(どうでもいいことですが、おまけに松橋と岸田という元神戸の同僚だった両チームのFWは、顔が似ていると前々から思っていたのは余談です。)

熊 本
10松橋 27ファビオ
33片山13大迫
8原田22吉井
19堤24筑城
6福王16矢野
 18南 

岡 山
50白谷 9岸田
14小林10川原
38千明8キム・テヨン
30野田2澤口
4近藤3後藤
 21真子 

前節の反省から、厳しくそして慎重なスタートの熊本。初先発で右SHに入った大迫も、いい感じのプレースキックを見せる。前線ではファビオがターゲットマンになって競り、落としたところに松橋が走りこむ。あるいは連動したプレスのための最初の起点として走り回る。エジソン氏が世界バレーから帰ってきてチームに帯同していることで、ファビオを先発で使える。そんなデリケートな背景も前節思い知らされました。

前線からのプレスに苦しみパスミスの目立つ岡山。中盤での熊本の潰しも早い。12分、中央で片山から受けた松橋が前を向こうとしてDF二人に捕まりますが、DFのクリアミスが走りこんだ片山の前にこぼれます。ゴール正面でのGKとの1対1を落ち着いて決め、早々と熊本が先制しました。

今季2点目の片山。攻守に懸命に走り回るからこそ、そこにこぼれてきたボールと言えました。左サイドでの堤とのコンビネーションも熟成されてきて、片山を追い越して堤が上がる。あるいは堤に自分を使わせる。

ただ岡山も黙ってはいない。19分頃、素早いカウンターから数的有利を作ると下がりきれない熊本DFの裏に白谷が抜ける。右45度から撃たれたシュートは、左ポストが阻み事なきを得ます。続く28分にはスローインを奪われ、またも白谷に右サイドを突破される。南との1対1になりましたが、勇気ある飛び出しでシュートを撃たせませんでした。

粘り強く守って次のチャンスを焦らず待つ。そんな姿が、冒頭言ったように大蛇が獲物にとぐろを巻いて、時間を掛けて息の根を止める様子にも映ったのは思い込み過ぎでしょうか。しかし、じれることなく自分達のサッカーをやり続ける熊本の姿に、そんな“おぞましい”までの凄みと、頼もしいさ、そんな安心感があったのは事実です。

後半開始早々、左サイドを片山が突破して切り返し。利き足の左に持ち変えるとシュート。これは惜しくもポストに嫌われる。今度は中で繋いでファビオが浮き球で松橋に裏を取らせると、松橋がダイレクトで狙いましたがキーパー正面。

そんな惜しい場面が続いたあとの67分、吉井の思い切ったロングシュートでCKを得ると、右CKからの原田のボールはファーの福王のもとに。完全にフリーの福王。瞬間、そのままゴールマウスに突き刺すものと思いましたが、丁寧に中に折り返し流す。そこをファビオが右足アウトサイドで押し込む。ボールはゴール前に何人も林立していた岡山の選手の間を抜けて、熊本の追加点になりました。

岡山は小林を諦め李を入れると、岸田を右サイドに配置。終盤で岡山がゴール前の絶妙な位置でFKのチャンスを得たとき、この小林がピッチに居なかったことに安堵しました。Jでの初対戦となった昨シーズンの第12節。いきなりこの小林にFKを直接決められたことが脳裏をよぎったからです。

残り15分を切って大迫に代えて西を投入。西は、カウンターからファビオと作ろうとした場面がありましたが、ラストパスをカットされました。岡山に押し込まれる時間帯が続き、熊本は自陣に釘付けにされる。残り10分、岡山には難敵・喜山が入る。熊本は松橋に代えてカレン。吉井に代えて渡辺。これによって少しは押し返し、あとは時間をうまく使っていくだけ。そう思っていたロスタイムでした。右サイドを使われ縦に入れられると、そこからパス交換。サイドから李に入り込まれるとシュートを許す。オフサイドをアピールしましたが、1点を献上してしまいます。

あとで見返したスカパー!解説の池ノ上さんが言うとおり、「あとはきっちりと終わらせられるか」ということだけが重要な展開になりました。しかし、残り15分頃からは、岡山の猛烈な圧力を単純に跳ね返すことだけに終始してしまった。そこまでの時間帯で相手を焦らし続けただけに、なんとも悔やまれる失点であり、今季何度も課題としてあったことがここで繰り返されたことがなにより残念。勝利の喜びに水を差し、後味の悪い結果になりました。

余韻が覚めやらぬ試合直後のテレビのインタビューでの高木監督は、まだ目の前で終わったばかりのゲームに対して整理ができていないように映りました。しかし少し時間を置いて迎えた記者会見では、「結果的に勝つ事ができたので良かった」「残り少なくなっていく中で、内容を重視する部分も必要だと思いますけども、プライオリティとしてまず結果を出すということ」と、落ち着いて試合結果を評価しました。

試合前に福岡が勝利して、J1昇格の芽がなくなったことに対する心境をことさら質問する記者たちに対しては、「我々は、いろんな情報を得て“今日のゲームをどうしよう、こうしよう”というチームではないと思っています」「選手達にも特に何も言うこともなく、とにかく岡山を倒すことだけに集中しました」と。そんな指揮官の言葉のなかに、まだ波の多いこのチームが前節の課題は克服したものの、今節もまた新たな課題を残したことなど、リーグ終盤にかけての複雑な心境を垣間見た思いがするのはわれわれだけでしょうか。
「可能性がなくなったとしても相手と戦えないようでは困るし、残り3試合を自分たちのモノにできるかということで、我々の課題や足りないものが見えてくる。そういう意味でも、ラスト3試合は重要なものになると思ってます」。執拗な質問者を諌めるようなこのコメントにこそ、今われわれが置かれている状況の全てが言い表されているように思えます。

“数学上”ともいえた昇格の可能性が、完全に消え去った今節。われわれがこれから期待すべきは、今季積み上げたものをはっきりと確信すること。そして、それを示してくれるのは何より終盤、“有終の美”とも言える勝利を重ねていくことではないでしょうか。実に今節の岡山も含めて、これから残る3試合、大分、北九州、札幌は全て前回引き分けている相手。また順位からしても勝ち点3差の47に11位まで4チームが並びひしめき合う展開。勝ち続けて今シーズンをしっかりと“クローズ”すること。まさしく「勝負に決着をつけ」今季に決着をつける重要な3連戦だと言えます。

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