今年も年の瀬にあたり年末のご挨拶を申し上げます。
などと呑気なことを考えているうちに、西選手の大分への完全移籍が発表され、心中穏やかではない年の暮れになってしまいました。昨年のシーズン途中にも関東の某チームからオファー(もしくは照会)があったと聞いています。Jの新人のなかでは初年度から出場機会を得て活躍した選手のひとりでしたから。今季の契約に関しても、複数年を提示したクラブ側に対して単年度に固執したともいわれる。自身の成長のためにチャンスを伺う姿勢はもともとあったのでしょう。

出場機会を求めたのか、金銭的条件を求めたのか。大分を選んだ理由は色々あるのでしょうが、その決め手になったことは何なのかわれわれにはわかりません。ただ、高木新体制下の今季は流れを変えるスーパーサブ的役割が増え、ベンチスタートを余儀なくされた。またチーム戦術が変化、進化していくなかで彼自身もさらに一皮剥ける必要があったのではないかと。そんなタイミングで示された新たな“縁”なのだと思います。

公式サイトに残された長文のコメントには相当葛藤した様子が浮かび上がります。「地元選手として多くの方に応援してもらい嬉しかったです」と彼自身が言っているように、そのプレースタイルとともに本当に愛された選手でした。それだけに余計に残念さも募りますが、選手移籍はこの世界の常。彼の決断を尊重して、次は“熊本スピリッツ”の選手として活躍を期待したいと、いささか諦めに近い心境で思います。もちろん、熊本と対戦するときは、盛大なブーイングを覚悟しといてもらいたいものですが…。

「薄紙を一枚一枚敷き重ねるような」と書いたのは、一昨年の「年末ご挨拶」でした。そしてそのとき「“永遠に続くものは何もない”」と書き、年明けに高橋泰の福岡移籍が発表されました。昨年は木島を始めとした大量の契約満了者。しかし、新しい選手との出会いもあり、チームは確実な飛躍を果たしました。そして今年も新たな別れ…。

来季はJ参入4年目に入ります。もはや“よちよち歩き”とか“新参者”などと言い訳してはいられない年数になってきました。ただ、われわれはファンとして、どうしても“慣れて”はいけないなと思っていることがあります。それは、ここですでに何度も言いましたが、この時期の選手移籍に関してのファンとしての気持ちの在りよう。契約満了選手に対して「当然だ」とか、オファーを出している選手に対して「いらない」などという、暴言を吐くようなファンにはなりたくないと。選手の人事異動に一喜一憂すること自体は当然ですが、常にわがチームの選手一人一人を愛し、リスペクトする姿勢は忘れないでいたいなと。熊本に来てくれてありがとう。われわれのホームチームの一員なんだという気持ち。それは忘れたくないと。

この厳しい選手市場での交渉戦術。われわれのクラブが提示できる、われわれのクラブの魅力は何なんだろうと改めて思います。さらに、今年は新しい制度下での契約交渉の難しさが顕著になってきているようにも思います。まさに各クラブの強化部門の手腕が試されるこの時期。池谷GMを始めとしたチーム統括本部スタッフの奮闘にこれからも期待しています。われらの戦友、首藤くんも、多分、夜遅くまで頑張っていることでしょう。しばらくはこのシーズンオフの選手異動を見守りたいと思います。

さて、われわれはと言えば、公私ともに、昨年にも増して激動の1年でした。なにはともあれ皆さんからいただく拍手に励まされ、なんとか1シーズン、欠かすことなくエントリーを書き続けることができました。本当にありがとうございました。

年が明ければ、やがてまた春が来て、新しいシーズンが訪れるでしょう。当たり前のように。そこに1ファンとして、ただただホームチームを応援できること。この喜びは何にも代えがたい、かけがえのないものに思えてなりません。

へだてゆく世々の面影かきくらし 雪とふりぬる年の暮れかな
藤原俊成女(新古今和歌集)

また暮れぬすぐれば夢のここちして 哀れはかなくつもる年かな
藤原定家(拾遺愚草)

旧サイトから数えてサカくま10年目の年の瀬、われわれが愛してやまない西選手の移籍に追い討ちをかけるような雪混じりの冷たい雨…。ちょっと感傷的な気分になってしまいましたが、気を取り直して、年末のご挨拶を申し上げます。どうか皆さん、どうかよいお年をお迎え下さい。

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