3月6日(日) 2011 J2リーグ戦 第1節
熊本 1 - 0 東京V (15:07/熊本/6,611人)
得点者:39' 根占真伍(熊本)


開幕戦。ごった返すKKのコンコース。昨シーズンの最終戦以来3カ月ぶりに再会する顔、顔。互いに挨拶を交わし、今シーズンの話題についつい話し込んでしまいます。ただ、この人と会うのはそれ以上に久しぶり。チーム統括部の首藤君。(もう以前のように“君”付けで呼べないほど立派になってしまったのですが、昔からの仲ということでお許しください。)彼にとっては一番忙しい季節が終わり、ホッと一息ついた開幕。その気の緩みを狙って、オフの裏話しをなんとか聞きだそうとしたんですが、もちろんなかなか口が堅い。しかし一言だけ印象的だったのが「高くなったでしょ?」という言葉。それを実感したのは、試合前のピッチ練習に熊本の選手達が入場してきた瞬間でした。長澤、ファビオ、ソンジン。この3人だけで、相当に平均身長を押し上げている。東京Vに見劣りしないどころか、一目瞭然、圧倒的な優位に立っているのがわかりました。

熊 本
9長沢11宇留野
 27ファビオ 
7片山23根占
 8原田 
26筑城15市村
6福王2ソンジン
 18南 

制空権は完全に熊本にありましたね。前線の長澤のところでも、その下のファビオのところでも。あるいはCKの場面では、そこにソンジンと福王が加わって。アメフトのショットガンフォーメーションよろしく一斉にボールに飛び込む姿は、NHK中継の解説・山本昌邦氏をして「迫力がありますねぇ」と言わしめました。

東京ヴェルディ
25平本27市川
 7河野 
16飯尾10菊岡
 14富澤 
23高橋2福田
20深津17土屋
 26柴崎 

対する東京Ⅴ。直前に故障者が続出したのか、前エントリーで整理した各種メディアの予想フォーメーションは全くあてにならず、富澤をボランチに上げて、熊本と同じ中盤ダイヤモンドを敷いてきました。しかし、このシステム、いかにもの急造感は否めず、出だしから熊本が押し込む場面が続く。長澤、宇留野、ファビオが高い位置で奪って前を向く。あるいは前線からの守備もはまって、ワンボランチの原田も読み通りに動けました。なかでもファビオの存在感が光りましたね。守備に攻撃に、ピッチを縦横に走り回ります。原田のワンボランチを陰で支えたのは彼の無尽蔵の運動量だったのではないでしょうか。

前半途中から東京Vにも元気が出てきて、ちょっと危ないかなとも思う場面もありましたが、その心配を払拭する“いい時間帯”で根占の先制弾。ヘッドでの応酬のあと片山が戻して、中盤から根占が強烈なミドル。ゴール前の宇留野で角度が変わったのもありますが、GK柴崎も見送るしかないシュートでした。熊本にはそこまでも再三のチャンスがありましたが、最後の最後にDF土屋に阻まれていました。その厚い壁・土屋をかわす意味でも、意外性のある攻撃でした。

根占真伍。片山と同じで敵として相対していたころから“好みのプレーヤー”だったんですが、移籍早々、大仕事をやってくれました。いや、得点だけでなく攻守にわたり的確なポシショニングとテクニックに感心させられます。試合前の選手紹介では東京Vのゴール裏からも彼には大きな拍手が。(反面、高木監督には大ブーイングが浴びせられましたが…。(笑))

ヴェルディが後半開始からマラニョンを投入する意図は明確でした。左サイドを抉ってクロスを上げられたときは万事休したかと思いましたが、見せ場はそこまででした。降り続いた雨で濡れたピッチ状態のせいか、あるいは急造のシステムのせいなのかも知れませんが、とにかく今日のヴェルディはミスが目立った。最後の猛攻には少し怖さを感じたものの、熊本の執拗な守備にパスワークを寸断され、最後までヴェルディらしさは見られずじまい。ちょっと拍子抜けしたというのが正直な心境です。

もちろん熊本にも課題は残りました。何度かの決定機を決めきれなかった。試合を決定づける意味の追加点が取れなかった。残り10分で入った仲間が、なんかやってくれそうだったのですが、最後の力を振り絞って同点に持ち込もうとするヴェルディに“消されて”しまいました。しかし、今日はこの開幕戦初白星という結果だけで“大満足”です。しかも、今季からチャレンジしている新しいシステムで、新しいメンバーが躍動しての白星。あの重いピッチ状態で前線から執拗に守備を続け、90分間よく足が止まらなかったなと。昨シーズンからの積み重ねられたものがさらに厚みを増したなと。

新シーズンのロアッソ。見ているわれわれも、正直“高さの麻薬”にはまりそうではあります。これまで、どちらかと言えば小柄でスピード、テクニックがチームカラーだったように感じていた“固定観念”。それが、まったく別次元の高さを手に入れてしまいました。このあたり、実際にゲームを見てはじめての実感。“昇格”という目標に対して、チーム編成の方針が大きく変化し、それに伴って戦術も進化した。そんな印象を持ちました。

もちろん、この“高さ”は高いだけでなくよく走るし、足許もしっかりしている。さらに、今日は出番のなかった大迫や西森。さらに武富、斉藤ら個性的な面々も控えている。われわれファンの側からはプレーの選択肢が大いに増えたということですが、選手間の競争はさらに激しさを増しているのがヒシヒシと伝わってきます。90分間、誰も、ワンプレーも気を抜かない。戦っている相手はもちろん東京Vですが、それだけではないような。恐ろしく攻守の切り替えが早いんですが、そのワンプレーが“見られている”“評価されている”というような緊張感が漲っています。いやいや、まだまだスタートです。これからまだまだ良くなっていく。面白くなっていく。そんなワクワク感が止まりません。

最後になりましたが、試合前に行われた「ロアッソ熊本をJ1へ」県民運動推進本部本部長・永野光哉氏への追悼セレモニー。雨のなか共に黙祷を捧げていただいたヴェルディの選手、スタッフ、サポーターの皆さんに感謝を申し上げます。また、昨年の署名活動への協力に感謝するヴェルディサポからの「ロアッソ熊本」コールにも胸を打たれました。ひとつ、ひとつ。ピッチ上で戦うことだけではないこんなことの積み重ね。クラブの歴史としてわれわれの胸の中にしっかりと刻んでいきたいと思います。

華やいだ開幕にしては、生憎の天気。それでも6千人を超えるファンが詰め掛けました。凍えるような寒さのなかで、スタジアム中の気持ちを凝縮したようなゲーム。昇格を狙うシーズンに相応しいスタートではなかったかと。冷たい雨の中、走り回っておられたスタッフ、ボランティアの方々。大変ご苦労さまでした。今シーズンもよろしくお願いいたします。

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