6月29日(水) 2011 J2リーグ戦 第2節
京都 0 - 1 熊本 (19:04/西京極/4,015人)
得点者:59' ファビオ(熊本)


熊本と京都。暑さ、寒さの気候は良く似た街。19時からのナイトゲームというのに気温は32度と報告されて。今季ひとつの楽しみであった京都との初対戦。本来は3月13日に行われるはずであった第2節が、東日本大震災以降の中断で延期され、この蒸し暑いミッドウィークの夜に変則的に押し込まれて中三日の連戦に。選手の体力消耗が心配されました。

学生時代を京都で送ったわれわれの一人は、所属していた草サッカーチームで天皇杯の県予選に挑み、京都紫光クラブ(もちろんトップチームではなかった)と戦ったことが寂しい選手経歴のなかの唯一の自慢でした。しかも所属チームの名前も「赤」に由縁があったりして。個人的にこの初めての対戦を心待ちにしていた。「あの京都紫光から発展したサンガといよいよわがホームチームが対戦する日が来た」のだなどと、勝手に感慨にひたってしまいました。

当時から京都紫光は育成に定評があり、京都の子ども達にとって、京都紫光の下部組織、育成チームに所属しているということは、それはそれはステータスでした。その育成の伝統が、今の京都サンガにも受け継がれている。久保、駒井、伊藤。3人とも京都の下部組織上がり(久保に至っては2種登録の17歳)。チーム事情とはいえ全て10代を配置した今日の京都の3トップはしかし、Jの公式戦で全く見劣りしないどころか、何度も熊本ゴールを脅かしました。

京 都
31久保
22駒井25伊藤
19内藤
15中村18加藤
4秋本
3森下2酒井
6染谷
1水谷

熊 本
9長沢11宇留野
 14武富 
25西森23根占
 5エジミウソン 
8原田15市村
6福王16矢野
 18南 

富山に少し似ている」(スカパー!)と戦前、高木監督が評していたように、京都のシステムは3-3-3―1から派生した3-4-3。しかし試合が始まって見えてきた戦術は、まさしく甲府時代に大木監督が敷いていた「クローズ」。ボールサイドに何人もが集まり、狭い局面でショートパスを繋いでいきます。

熊本は前線からの相手プレッシングに押されると同時に、中盤でも数的有利を作られて後手後手に回る。潰し合いの時間帯を経て、完全に京都がペースを掴むと、久保が持ち込んで右足でふわりとクロス。ゴール前の駒井のヘッドはバー直撃で事なきを得る。再び久保がバイタルから狙う。南がパンチングで逃れる。左から運ばれ久保がエリア・イン。南を交わしてシュートするも枠を外れる。今度は伊藤のスルーパスに久保が右から打つもサイドネット。

あれだけ支配されて、撃たれても、しかし、不思議にそれほどのヒヤヒヤ感はなかったのが正直な気持ちです。とにかく我慢、我慢。攻め込まれること自体にはリスクがある。しかし、そのリスクをうまくコントロールしているような印象。GK南の好セーブも、このリズムあってのものだと…。

試合後、「京都のパスワークの中に、なかなかついて行けず」と表現した指揮官。開幕戦以来の先発となった宇留野も、キャプテンマークを巻いた長沢にもボールが収まる場面のない前半でした。後半開始から宇留野に代えて、ベンチに温存していたファビオを投入。前線に高さを加え「2ターゲット」にすることで「だいぶ収まるようになって、そこから少しリズムが変ってきた」(高木監督)のは、テレビのこちら側でも感じられました。

そして迎えた59分。左からのCK。ニアに低く蹴られた西森のキックボール。京都DFのクリアは高くバウンド。ゴールを背にしていたファビオが、「ここぞ!」とばかりに豪快にオーバーヘッド。GKも為す術もなくゴールネットに突き刺さります。ファンが待ちに待ったファビオの今季初ゴールは、その日のスカパー!アフターゲームショーのベストゴールにも選ばれるスーパーゴールになりました。

熊本は武富に代えて片山を入れると、エジミウソンと西森のダブルボランチにして4-4-1-1。長沢が相手DFとの小競り合いで、この日2枚目のイエローを貰い退場すると、更に4-4-1に。やるべきことがハッキリした熊本は、2列のブロックでスペースを埋めると、がっちりと守備を固めました。その陣形を3-4-3の京都の“矛”が突くも、固い防御に跳ね返される。唯一危なかったのは65分、内藤がカットインして放った速いシュート。南の背後にカバーに入った(何故そこに入っていたのかも不思議なほどなのですが)福王がヘッドではね除け、胸をなで下ろしました。値千金のプレーでした。

「いつもいい内容で勝てるわけではないし、こういう押し込まれても我慢してもぎとった勝ちはこのチームには今までなかった勝ち方なのでチームとして成長している証拠だと思います。」(南のブログより)

1-0での逃げ切りという試合は何度もありましたが、今日の試合のような勝ち方は初めてのような気がします。噛み合わず、不調でも、意思統一ができて、やれることを我慢して続け、やられながらもゲーム全体をコントロールし、逃げに逃げてつかんだ勝ち点3。“こんな勝ち方”ができた。それができたこと自体が、大きな進歩ではなかろうかと。

シーズン序盤から苦戦が続いているようだった京都は、しかしやはり底力を感じさせる強敵でした。大幅な若返りが成功したら、これは相当怖いチームになるぞと。育成年代の台頭。17歳の久保の将来性…。11月の再戦。今度のホーム戦が楽しみです。

さて、上位陣が安定して勝ち星を加えた感のある今節。“昇格圏”というのはめったに負けないことだなとも言えるようです。そこに食らい付いた熊本の勝ち点3。大きな価値があります。次節は中二日で鳥栖との九州ダービー。前節も書きましたが「次の戦いはすでに始まっています」。

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