7月9日(土) 2011 J2リーグ戦 第20節
千葉 1 - 1 熊本 (19:03/フクアリ/9,646人)
得点者:5' 長沢駿(熊本)、9' 竹内彬(千葉)

昇格候補の最右翼・首位の千葉に対して、勝ち点3を譲らず1に止めた。あのフクアリのアウェーの地で勝ち点1をもぎ取った試合。戦術もパフォーマンスも拍手に値するものがありました。そして、この結果が必ずやシーズン最後に“効いて”くるのだと信じたい。そんな価値あるドローゲームでした。

熊本と同時に関東も梅雨明け宣言をしたこの日のナイトゲーム。29度という気温に、スカパー!の実況アナは、幾度も「この暑さが」と表現していましたが、湿度を見れば56%。熊本と比べるべくもない好環境に思えました。

千 葉
 8オーロイ 
 11米倉 
9深井10林
20伊藤7佐藤
4青木13山口
5マークミリガン3竹内
 1岡本 

熊 本
27ファビオ 9長沢
7片山14武富
5エジミウソン23根占
8原田15市村
6福王16矢野
 18南 

前線に長沢が復帰。試合が動いたのは思いのほか早かった。右コーナーから弧を描いて放たれた原田のキック。マークに付いていたオーロイの前、一瞬早く飛び込んだ長沢が頭で反らすとゴールに突き刺さる。ここのところずっと試合の入り方が良いと感じてはいましたが、開始5分での先制弾で、フクアリの千葉サポーターを慌てさせます。

高木監督が千葉対策として、後半に千葉サポーター側のゴールに向かって攻める時の千葉の迫力やスタジアムの盛り上がりを警戒してか、千葉が第2節で対戦した湘南と同様に前半キックオフ時のエンドをホーム側にした(J's GOAL)といいます。細かいけれど小さくはない配慮。結果的にはそれも大いに奏功したのだと思いました。

しかし4分後には千葉も同点に追いすがる。中央で与えたFK。林の強烈な無回転シュートを弾くしかなかった南。それをDF竹内に詰められて押し込まれました。FKの瞬間、千葉は3人の選手がゴールに向かって走り詰めていた。林のぶれ球から拾って押し込む。千葉のこのデザインされたセットプレーは警戒すべきでした。

順序こそ逆でしたが、長沢と竹内。前回対戦と全く同じプレーヤーが点を決める。その後は全く互角の展開。ポゼッションで千葉に圧倒されるかと危惧していましたが、さにあらず。早いパス回しでボールを保持するのは熊本。千葉に奪わせない。奪っても回すだけで速攻を仕掛けない千葉。ただひとつ、前半終了間際のカウンターから深井の思い切りの良いミドルは南がなんとかセーブ。深井らしいプレー。彼にフリーで撃たせてはいけない。集中力を要する相手でした。

前半の戦い。解説者は、(気候条件などもあって)千葉はまだ“行って”ない、“抑えて”いる。との見方を示していました。ドワイト監督の「後半、もっとアグレッシブにいこう」というハーフタイムコメントが伝えられると、やはりそうだったのだと。しかし試合後の監督コメント、選手コメントを見れば、そうではなかったようにもまた感じる。見ているわれわれは、やはり、前回対戦のような千葉の出方だったような。意図的に行ってないのでもなく、抑えているわけでもなく。微妙に「行きにくさ」を感じていたのではないかと。それほど熊本がオーガナイズされていたと言えるのではないでしょうか。

いつも感じるのですが、テレビ画面で見るとこのスタジアムはカメラ位置、カメラワークに迫力があって、ゲームのスピード感が伝わってくる。本来根占は中央に絞りぎみなので気づきませんでしたが、この日はいつもと違って中盤はボックス型だったらしい。武富が右サイドだったのでしょうか。前回対戦時、「次はドワイト監督もしっかりスカウティングしてくるだろう」と書きましたが、そのスカウティングの裏をかく狙いがあったのか。さらに前線での長沢、ファビオという2枚の高さに威圧されている様子も見える。強豪・千葉に一歩も譲らずがっちりはまった互角の勝負は、「勝利」の期待感も含めて見ているわれわれをワクワクさせました。

しかし、後半、出だしの片山のプレーと退場劇が、この試合全体の流れや性格を根本から変えてしまいました。うまく後半のゲームに入れなかったのか。あるいはサイドからの攻撃は徹底して潰すという戦術理解に忠実にいった結果なのか。全く解せない立て続けのファールプレーだったのですが…。まあ、それはともかくとして、熊本は10人になった。しかも後半6分。残り時間40分もある状況でした。

ここで熊本は京都戦でも見せた4-4-1のシフトに。ファビオを迷いなく左サイドハーフに下げます。ここで選手交代が必要でなかったこともよかった、そんなファビオのユーティリティーがあったこともチーム力だろうと思いました。そして徹底して守る。すべてクリアする。中途半端につないで攻めることはしない。確実につなげる場面だけ押し上げる。セットプレーをとれればその得点機会だけをうかがう。じつに分かりやすい。カウンターもあまり意識しない、フリーランニングもないから体力も温存できる。そんなこともあったかもしれません。

「結論で言うと、結果的には勝点1でしたが、それが我々にとってはOKなのか。それとも、もちろんサッカーにはアクシデントは付き物ですけども、ひょっとしたら10人でも点が取れたんじゃないかという、そういうことを考えれば(勝点)1で本当によかったのかな(?)と」高木監督。

10人という条件を瞬時に受け入れて、ゲームに向かう姿勢を全員で共有しながら軌道修正するということ。解説者も「熊本は4-4-1でうまくラインを作っている。なかなかはいっていくのは難しい」と述べ、 J's GOALレポーターも「(熊本の)目の前の2ラインは綺麗で見事だった」と書いていました。

テレビを見ているわれわれでもいい加減にしたら、と思うくらいだったので、選手は一層そう思ったことでしょう。監督の戦術批判ともとれる青木良太のコメント「相手が10人になってからは、相手がゴール前を固めてきていたので、ミドルシュートを打つとか工夫が必要だったと思う。ただ、ドワイト監督からサイドからボールを入れろという指示があったので、サイドからの攻撃に偏ってしまった…」と。前回対戦のときにも感じたことですが、千葉というチーム、監督の戦術的な統率が相当強いんだなと。

確かに終盤は“集中砲火”とも言える千葉の猛攻にさらされました。しかしなんだか不思議と点を取られる気がしない。ゴール前のオーロイにどんどん入れてくる。確かにその高さは脅威だけど、クロスの中央では福王、矢野が跳ね返す。そんな千葉の“当たり前”のような攻撃に助かっている。こぼれるところには必ずエジミウソン。深井や林はクロス供給者となって、ゴールから遠い。数的不利を利用されて“崩される”ことこそ脅威なのに、崩されていない。残り5分でのソンジンと西森の投入は最終的な“仕上げ”でした。5バックにして、オーロイにはソンジンがマークに付く。福王はスイーパー役に回ります。

最後まで仕留め切れなかった千葉。翌日の熊日によれば「試合終了のホイッスルと同時に約1万人の千葉サポーターが静まり返った」のだと。ある意味“四面楚歌”といえるアウェー・フクアリ。しかしたった“一面”だけど、その力が今日は非常に大きかった。前半、長沢のゴールを呼び寄せ、そして後半の猛攻を跳ね返し続けた南を後ろから支えたのは、叫び続け、跳び続けた赤いゴール裏サポーターの“後押し”だったんだと思いました。


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