7月31日(日) 2011 J2リーグ戦 第23節
湘南 1 - 0 熊本 (19:03/平塚/7,751人)
得点者:51' 高山薫(湘南)


「内容に関しては正直、負けるには惜しいなあというゲームをやってくれた」。
指揮官の試合後のコメントは、今季初の連敗に肩を落とすわれわれの気持ちとは少し違って、全体的に冷静なものでした。「今日のゲームに関しては、そんなに劣っているとかどうしようもできないというゲームではなかった。たぶん細かいところ」との総括。おそらく前節の大敗から一週間、どう切り替えて、どう課題をとらえてくるかが最も重要だったこの試合、「切り替えて選手たちはプレーしてくれた」という評価もあったためでしょうか。いやいやインタビューに対して話すことが全て真意だとは限らない。高木監督の胸中には、もっと別の思いがあったのでは? それを悟られないために意図的な話をしたのでは? と考えるのはわれわれの深読みでしょうか。

それにしても湘南は引いてきましたね。一昨年とは全く違うチームになっていた。あの湘南が引いてカウンターとは…。それもこれも、前々節千葉に金星を上げたものの、それを挟んで大分や東京V、徳島、鳥取に3点、4点を奪われる大敗が続いていたからか。この“大波”から這い上がろうとするように、あの湘南が古豪の“プライド”をかなぐり捨てて、引いて守りから入った。とにかく勝ち点を取るために。しかしその裏側には、知将・反町監督が見た熊本の“弱点”も計算にあったのかも知れません。

湘 南
23高山 17佐々木
8坂本14菊池
15ハン グギョン6永木
4山口5臼井
26遠藤3大井
 21西部 

熊 本
9長沢10松橋
 14武富 
25西森22吉井
 5エジミウソン 
8原田15市村
6福王16矢野
 18南 

全然想定していなかった」高木監督は(もちろん選手たちも)、しかし湘南の“その手”に乗ることを選びました。ボールを保持する側に立つこと。そのうえで点を奪うこと。何故ならそれは現在熊本が突きつけられている“課題”そのものだったからではないでしょうか。そして結論から言えば、課題の克服にはならなかった。まんまと反町・湘南の罠(ゲームプラン)にはまるようにショートカウンターで先制されると、がっちり守られたまま追いつくことも叶わなかった。まるで以前の熊本が湘南に対して敷いていた戦術そのものではないか。そんなことを思わせる試合でした。

「ボールを保持しているのは熊本だが、好機を作ったのは湘南」。前半の印象を聞かれたこの日のスカパー!解説の倉田氏(元FC岐阜監督)の言葉が、試合全体を物語っていました。出場停止の根占の代わりに吉井がダブルボランチの一画に入るものと思われたのですが、開始早々から熊本のシステムはエジミウソンのワンボランチ。そして武富がトップの下を張るダイヤモンド型の中盤。これもまた攻撃的な布陣であることを示していたのですが、いかんせん前を向けない。足元ばかりのパスは、次の相手を探しているうちに潰され、「そこで縦に」という動き出しもない。とにかくボールを動かそうとDFラインで回して、最終的には長いボールを選びますが、サイドにもスペースがないために競り負けてしまいます。保持はしている。しかし崩し切れない。いや言ってしまえば、崩そうとしていない。崩そうとするアクションを狙われてカウンターに繋がるのを極度に畏れている。勝負しない。ボールを下げる。戦う気持はどこへ…。そんな風にも見えました。

もうひとつ心配されたのは、このところ感じる“エジミウソン依存症”とでも言っていいような症状。もともと、守備の要として、ワンボランチあるいはサイドバックが上がったときにDFラインに入るエジミウソンへの守備の負担が大きかったのは事実です。もちろん期待以上のスキルを発揮してくれている。だからこそでしょうが、選手の深層心理のなかにエジミウソンへの依存心が知らず知らずのうちに芽生えてしまってはいないかと。当然、攻撃に際しても中盤の底はかならずパスが通過するポジションであるのは間違いがない。しかし、それ以上に“攻撃の判断”までもエジミウソン一人に依存してはいないだろうかと。

それにしても、何でもない局面で、守備陣形に大きな穴が空く。失点の場面も、決してカウンターと呼べるほど対応が遅れたわけでもなく、人数が足りなかったせいでもない。いとも“簡単にかわされる”、“ミスが重なる”。そういった印象。まるで選手たちの足がすくんでしまっているような。何がそうさせるのか…。

大敗の次の試合。選手起用にしても、変えてのぞむ、変えないでいく。両方あったと思います。高木監督が悩みに悩み、そして出した結論です。しかし、そこにはきっと迷いもあったのではないかと。さらにそのうえで相手はスカウティングとは違ったスタイルでくることがある。“変数”がいっぱいある。それがサッカー。

“何も得るもののない試合だった”とは、敗戦後のインタビューでよく語られるフレーズです。冒頭、高木監督のインタビューを深読みしてしまいましたが、ある意味そんな風にも見えた試合だったと思います。しかし、監督がそれを言って、そう評価しても、それこそ何も得るものはない。ここは、難しい局面。監督は選手のパフォーマンスを評価し、次に繋げる方向でリードした、とも見えます。このところの敗因に占める選手のメンタルの比重を思って。いや、実は、監督自身にも迷いがあるのかも。それを絶対に悟られないために…とも。

どうも心理面の悪循環を心配してしまいます。であるならばいっそのことシンプルに考えることも必要なのではと。帰るところに帰って。もう一度、今季の熊本のサッカーの出発点から組み立て直してはと。まだ、一度も好調の“波”には乗っていない熊本が、初めて直面する不調の“波”。次節、岡山も相当に心して掛からなければいけない難敵。ここがまさに踏ん張りどころに違いありません。

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