8月6日(土) 2011 J2リーグ戦 第3節
岡山 4 - 0 熊本 (19:03/カンスタ/5,455人)
得点者:46' 竹田忠嗣(岡山)、70' 久木田紳吾(岡山)、73' チアゴ(岡山)、90'+3 ストヤノフ(岡山)

スカパーの解説者が言うように、「シュートが枠にいくかどうか、それが入ったかどうか」と言ってしまえば、確かにごもっともではあります。しかし、熊本のシュートは十分に崩し切れていないから枠にいかない。ゴールが遠い。われわれはそう思います。いつものようにボールが保持できていた前半。そして、これもまたいつものように崩しきれず。岡山にしてもカウンターはあるもののミスも多い。「互いに前半はゼロで凌ぐのが狙い」と解説者は言いますが、とんでもない。熊本は前半のうちに先制点が欲しかったはず。ただ、「相手が5バックのときに前掛かりになるな」という高木監督の戦前の指示(スカパーから)が効きすぎているのか、攻めているにしても、どうも“重心”が後ろにあるようなチームバランスを感じます。

急逝した松田直樹選手を偲んでスタジアムには半旗が掲げられ、キックオフ前には追悼セレモニーが行われた今節。トピックスは、G大阪からレンタルされたオリンピック代表候補のDF菅沼のいきなりの先発。そしてこれもまた先日加入が発表されたばかりの韓国人FWソン・イニョンはベンチスタート。連敗中とはいえ、熊本にとってフレッシュなニュース。この二人がどんなプレーをするか。それはこの試合のもうひとつの楽しみなテーマでした。

岡 山
 10チアゴ 
22臼井45石原
14小林2澤口
8千明18竹田
23植田4近藤
 5ストヤノフ 
 21真子 

熊 本
9長沢11宇留野
 14武富 
7片山23根占
 5エジミウソン 
8原田15市村
2チョ・ソンジン28菅沼
 18南 

前半、お互いが引いてしまうような。守りを固めてしまうと有効な攻撃が繰り出せない。熊本で言えば、真ん中でエジミウソンにボールが預けられて、原田にまわって、出しどころが見つからずに、下げる。の繰り返し。相手のゴールマウスがテレビ画面に入ってこない。ここ数試合ずっと。対する岡山には大きなサイドチェンジで崩したいという意図は見える。右サイドから左の小林へ。しかし出し手と受け手の間で再三のミスが重なり、脅かすまではいかない(ただ警戒する市村がなかなか上がれない状況は作っていましたが)。こんな前半を総括して高木監督はハーフタイムに「相手のペースになっている」と叱咤しました。さらに「相手が下がった時は攻めて行かないと」とも。

これは言葉尻だけをとらえるとするなら、戦前の「前掛りに…」という指示との関係で選手は当惑するだろうコメントだろうと思いました。(あくまでわれわれは公表された情報から判断するしかすべがないので、それが真実なのか、真意はどこにあるのかまでは斟酌できかねるのですが)。そして、対する景山監督は「チャンスの際は勇気を持って大胆な攻撃を行ないシュートまで持って行くこと」と。この言葉に従うように、岡山がゲームプランを達成する後半になりました。

「前からそんなにプレッシャーがこなかったんで、余裕を持ってしまったところがあったんだと思います」。試合後の菅沼のコメントは状況をよく把握していると思います。後半開始早々、右サイド(熊本の左サイド)に大きなボールを送る岡山。そのファーストディフェンスが非常に曖昧。繋がれて縦に入れられると、菅沼を含めたDFラインが大きく下げられた。そこにクロス。菅沼のゴールマウスぎりぎりのクリアは小さくて、そこを岡山・竹田に詰められました。まるでまだ目を覚ましていないような後半の時間帯で、熊本がビハインドの状況に陥り、そしてこの先制されたこと自体が、そのあとの展開を決定づけてしまいました。失点の場面はどれもマークが付ききれていない。ある意味で初歩的なミス。対応が後手に回っているツケだともいえるでしょう。

0-4という結果。しかし、この際、大量失点というのはあまり関係ないように思います。監督が言うように「先制されて、リスクを背負わなければいけなかったですし、常に有利な一手は岡山にあったと思うので、常にそういう展開になるのは、今日のゲームを考えれば当然なのかなと」ということ。今のチームの状況を考えると、そういった悪循環がより大きく出てしまう。それだけのことでしょう。

残念だったのは、むしろ攻撃面。「『ボールを運ぶ』というのは、ボールを取った瞬間に、前に出ていく選手がいないということ、入ってもサポートにいく選手がいないということ。これでは攻撃につながらないし、得点にもつながらないし」と指揮官が嘆くように。久しぶりの先発の宇留野は、しかし、その存在感を十分に発揮していたと思います。このところの熊本にないダイアゴナルな動き出しなどで、ボールを引き出し、結果再三のCKのチャンスを作っていた。しかし、全体的な戦局のなかで、後半ファビオと交代せざるを得なかった。戦術的変換。確かにファビオを入れてからの熊本のサッカーも醍醐味はありました。しかし、宇留野を失ったことも大きく影響したのではないでしょうか。

DFラインを2人入れ替えるというのは、相当な判断だったと思います。菅沼は試合勘から遠ざかっていたはずですが、その能力の片鱗は十分に魅せてくれました。しかし、失点に関してはその前の流れはあるにしても、CBの責任は逃れられないものがあるでしょう。ソンジンはチアゴに対する手当てが一番だったのか。そしてソン・イニョンを使うためにもピッチに必要だったのではないでしょうか。言葉の問題として。

指揮官がその二人に対して「非常によかった」と、想像以上の高評価を口にしているのには“意図”が感じられると思います。「チームで競争していく中で二人を選んだという感じ」と言うように、層が薄かったDF陣のなかで安住していられない競争環境をどうしても作りたい。そんな意図が見え隠れしています。ここしばらく、このポジション争いは“見所”だと思います。

「我々は同じ絵を描けていないということも個人とチームっていうことを含めて、大きな差を感じたゲームでした。そういう意味では自分の指導力不足も思います」。同じ絵が描けていないから、ダイレクトプレーが少ない。個々のプレーの精度というより、お互いの“絵が”一緒でないから、プレーが噛み合うことが少ない。それはプレーヤーにとって“迷い”という最も厄介な病気につながっているような。

問題は守備なのか、攻撃なのか。いや、結局のところそれはメンタルに行き着くのではないかというのが、われわれの推論です。選手の足がすくんでいるように感じるのはこのところずっと。どのプレーも中途半端に見えます。FC東京戦での戦いからという見方も多いのですが、われわれはその前の2万5千人動員のホーム戦から始まっているのではないかとも思っているのです。勝てないけれど、負けてもいないという流れだったこの頃。ホーム2万5千人の前でゲーム。ミスを極度に恐れた試合運び。チームは、守りにバランスが傾いて、メンタルまでもが守りに(リスク回避に)いってしまって、体が動かなくなってしまっているのではと。

出口は何か。何がきっかけでブレイクスルーするのか。ちょうど今日の岡山が1点を得たあと、自信溢れるプレースタイルにチーム全体がガラリと変わったように…。少なくとも、もっともっと“走る”こと。相手がミスばかりするから「大丈夫なんだ」と合わせてしまわないように。そんな意識改革のためには、菅沼ももちろんですが、可能性を見せたソン・イニョン、そして仲間といった若いメンバーの奮起に期待したいところです。そして、しばらく無風状態だった主力メンバーに投げ入れられた新戦力。高いレベルでのチーム内での競争は、当たり前ですが、低迷脱出のための一番の策かもしれません。


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