8月27日(土) 2011 J2リーグ戦 第26節
東京V 5 - 2 熊本 (18:03/国立/4,602人)
得点者:12' マラニョン(東京V)、37' マラニョン(東京V)、43' 小林祐希(東京V)、62' ソンイニョン(熊本)、78' 河野広貴(東京V)、85' 根占真伍(熊本)、90'+3 市川雅彦(東京V)


東京ヴェルディ
11マラニョン 19阿部
13井上7河野
5佐伯21小林
37中谷18森
23高橋17土屋
 26柴崎 
後半36分 井上 平 → 飯尾 一慶
後半42分 阿部 拓馬 → 巻 誠一郎
後半45分+2 河野 広貴 → 市川 雅彦


熊 本
9長沢17斉藤
 14武富 
23根占22吉井
 5エジミウソン 
8原田15市村
2チョ ソンジン28菅沼
 18南 
前半38分 吉井 孝輔 → 廣井 友信
ハーフタイム 齊藤 和樹 → ソン イニョン
後半26分 長沢 駿 → 田中 達也


何と書き出していいのか、正直困っています。「散々でしたね」と書くべきなのか。言ってしまえばそうなんでしょうが、どうも今のわれわれの心境とは完全にはフィットしないような気がします。

局面から言えば、5失点のうち最後の失点を除けば、全てDFのミスでした。1点目は市村が、何故に左SBが前線でというような中谷の猛烈なプレスにあわてて出した横パス。これを菅沼が受け損ねたところを、死角から狙っていたマラニョンに奪われた。2点目も、DF2人に対して前線2人のプレスに、菅沼のトラップをマラニョンに奪われたときに雌雄が決している。3点目は、最終列に下がっていたエジミウソンからのパスミス。そして最も残念だったのは、1点返して流れをつかもうかとしていたときの4失点目。スローインのバウンドしたボールに、途中から入った廣井が見事に“かぶって”しまった。目を覆いたくなりました。

今日の熊本は、いつもより以上に攻撃的でした。両SBの位置を高く上げ、そのカバーのため二人のCBの間に臨機応変でエジミウソンが下がる。これまでなら点がどうしても欲しいという時間帯に見せていたパワープレイぎみのシフトですが、今日は出だしからそうしている。それほど先制点にこだわっていたのでしょうし、確かに前線では武富が何度か裏を取り、久々の先発となった斉藤も、落ち着いてボールに絡んでいきました。

確かにそのために守備ラインが薄くなった。最初から守備陣に負担を掛けすぎたのだと。その綻びをヴェルディに突かれた。そう思いました。戦前「守備からリズムを作る」(スカパー)と指揮官は言っていたはずなのに、どうして? これではまるで2年前のようではないかとも。リーグのなかでも上位の得点数、攻撃力を誇るヴェルディに対して、これは“撃ち合い”に持ち込もうとしたということなのかと。それは戦術的なミスとも言えるのではないかと。

しかし、それぞれの局面はDFのミスではあっても、それは攻撃に転じたときのミスでした。「少し前の選手の動きが止まった時に、どうしても横パス、しかも奪われてはいけないエリアで横パスをしてしまった」「オフの選手の動きがもっとあれば、ボールホルダーもボールを蹴ったかもしれない」(J’s goal)。ディフェンダーのありえないミスではあるものの、それは前にいる選手の“動き”に実は責任があった。高木監督は、試合後すぐの会見で、これはチーム全体のミスであることを指摘し、得点を決めた根占も「前半の失点も自分のミスから」と認めていました。

菅沼の一発レッドは、判定として正直厳しすぎると思いました。そして、このまま試合が壊れてしまうことが残念だと。いいパフォーマンスを見せていた斉藤も、ゲームプラン崩壊の犠牲になって、後半から交代を余儀なくされてしまいました。

まさに散々でしたが、この試合の一筋の光明は、代わって入ったイニョンの初ゴール。そして強化指定選手になったばかりの大学生・田中達也のスキルを見られたことでしたね。イニョンについては、前節の強烈なボレーシュートを例に上げるまでもなく、とてつもない運動能力を持っていると感じさせます。長い手足で飛ぶように走り回る姿は、まるで中央アジアの草原から連れてきた野生馬の様。ちょうど1年前、ファビオを褐色の馬になぞらえたように、熊本は2頭目の駿馬を手に入れました。そういえばイニョンは顔立ちも馬面ですよね(笑)。

後半17分、攻め上がった土屋のシュートをセーブした南が、素早く前線に送る。長沢がヘッドで反らし、イニョンがDFラインを破るとダイレクトで決めました。溜飲が下がるとはこのことでしょう。

田中達也もいい。久々に熊本に強引なドリブルという攻撃の“起点”をもたらしましたね。ヴェルディのディフェンス陣が、手を出すしか止められなかった。何かを起こす予感がします。もっと長く見ていたかった。

ヴェルディというチームのDNAは南米気質で、ムラがある代わりに、乗せたら止められない。そんな印象があります。もちろんマラニョン個人は、元々その代表格。これまでの対戦(甲府時代)では、彼をイライラさせることで潰してきた。そんなチームと、マラニョンを早い時間に大いに気分よくさせてしまった。そこも敗因ではありました。

それでも、それでもです。0-3から、ひとり少ない状態で2点をとったこと。ここは結構、小さくはない。高木監督は、「後半はイケイケドンドンにしろ、ある程度高い位置、特にサイドの選手を高く出していく中で指示を伝えたことに関しては、非常にそれを遂行してくれた」と評価しています。われわれもこの“イケイケ”のモチベーションが、もう一歩、これまでの熊本に足りなかったもののひとつだと思っていました。残念ながらその勢いに4点目の失点が水を差した感もありますが…。0-1だろうが0-5だろうが、失うのは勝ち点3のみ。引き分けだって勝ち点2を失うわけで。しかし、あのままゼロだったら本当に救いようがなかった。散々な敗戦ですが、そこは評価できる点だったのではと思います。

闘う気持ちは十分に見えたと。

「まずは精神面から立て直した方がいいと思います」との監督コメントでした。こんな流れになってしまって、単純にゲームから課題を見つけて、これを修正して、というようなものだけではないけれど…。しかし、一気に精神面と言うことで、思考停止してしまうようではいけないだろうと思います。ミスからの失点であること。それはチーム全体のミスであること。そこからの自滅であることをまず受け止めないといけない。

ただ、監督はすでにミスの原因を探り、前に向こうとしている。スカウティングされ、研究され、厳しくマークされたなかで、さてどうするのか。これからどう積み上げを図っていくのか。このカテゴリーで上を目指していくという本当の戦いが、まさしくこの逆境という形の試練となっている。われわれファンは、応援することしかできません。確かにがっくりするけれど、われわれも下を向いている場合じゃない。なんのこれくらい。まだ絶望の底に足が着いたわけでもなんでもない。

合流間もない岡山戦からDFの要を任され、大量失点の流れにはまってしまった菅沼も、一度外から落ち着いて試合を眺めるいい機会になるのでは。そしてその菅沼を欠くDFラインの構成がどうなるのか、それがどんな結果をもたらすのか。われわれの興味は、既に次の戦いに向かおうとしています。

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