9月4日(日) 2011 J2リーグ戦 第4節
熊本 1 - 1 湘南 (19:04/熊本/4,238人)
得点者:27' 永木亮太(湘南)、90'+4 原田拓(熊本)


4分間のアディショナルタイムも残り1分というところ。試合終了直前に追いつかれた湘南。終了のホイッスルを聞いて座り込む相手GK・西部を清水の元同僚・長沢が助け起こします。湘南の選手たちが受けたダメージの大きさが想像できます。前回対戦から勝利がなく、さらにここで熊本を下せば、順位が入れ替わるという戦いだっただけに。

両者とも“FK”から得点を取り合い痛み分けという結果は、小川主審が笛を吹く試合の象徴的な内容だったろうと思います。今日も、まるでビデオを何度も一時停止するような笛の数で試合を止め、その判定に関して(どちらかといえば熊本の)選手たちをナーバスにさせました。しかし、「ヘッドダウンせずに点を取りに行く、前向きな姿勢を90分、点を取られた後も続けた結果がこういう流れになった」と高木監督が評価するように、選手たちの諦めない気持ちが最後の最後にようやく同点弾に結びつきました。

連敗中の熊本。高木監督が、前節の敗戦後、「精神的な立て直しが必要」と語ったほど最悪のチーム状態。月が変わって9月。台風の影響もあるものの、めっきり秋風を感じるスタジアムに、われわれの気持ちも“切り替わり”たいという一心。子ども連れが減って、ちょっと閑散感のあるスタンドでしたが、いつもどおり定位置に陣取る。お互い名前こそ知らないけれど、いつもの見覚えのある顔、顔が周りを埋めはじめます。

熊 本
9長沢 27ファビオ
13大迫14武富
5エジミウソン22吉井
8原田15市村
6福王4廣井
 18南 
後半10分 ファビオ → ソン イニョン
後半20分 エジミウソン → 根占 真伍
後半31分  武富 孝介 → 田中 達也


湘 南
 31ファン スンミン 
14菊池10アジエル
8坂本6永木
 15ハン グギョン 
4山口5臼井
26遠藤3大井
 21西部 
後半6分 ファン スンミン → 佐々木 竜太
後半39分 アジエル → 高山 薫


熊本は福王、廣井のCB。エジミウソンと吉井のダブルボランチに変更してきた。アジエルを含めた湘南の3トップへの対策。そして大量失点の続く守備組織の立て直しが今節のテーマ。立ち上がりは悪くない。東京V戦でイージーなミスを連発し、自滅した反省か。気持が前に向いているのが感じられます。福王のハッキリとしたプレー。そして最後尾から繰り出す攻撃的ロングパスは健在。中盤陣もボールへの執着心を見せます

「相手のセットプレーには注意したい」(スカパー!)と言っていたのも高木監督。18分頃、アジエルのFKにニアの坂本がフリーでヘッド。これは南がキャッチ。逆に22分頃には大迫がトリックプレーでFK。長沢の頭には合わず。しかし、これがこの日の得点シーンの予兆だったのかもしれません。

アグレッシブなのはいいにしても、ちょっと危険なエリアでのファウルが熊本側に多い。不用意と言われても仕方ないような。決定的に破られているわけでもないのに、大量失点の残像がそうさせてしまうのか。この主審の今日のジャッジ基準を早く頭に入れてほしい。誰もがいつかやられるぞと心配したように、結局、このファウルからのFKで失点してしまいます。

主審の壁までの距離の歩測に納得がいかないエジミウソンが、ボールまで計り直すように歩み寄ってイエローを示される。ざわつく場内。アジエルが囮になって、永木が蹴ったFK。直線的にゴールに突き刺さる見事なキック。ニアサイドを壁に任せて、右寄りに位置していた南。見送るしかありませんでした。

内容は熊本。そのなかでのセットプレーからの一撃。そうも言えました。時間はまだまだたっぷりあると。けれど、愚直なくらいロングボールを送り続ける攻撃面では、どうしても“高さ”頼みに偏っているように見えてしまう。相手も完全に対応していて、なかなかセカンドが拾えない状況が続くと、それが“うまくいってない”ことの原因のように映ってしまう。前半はともかく、後半もずっとそんな状況が続くと、ファンの気持ちにモヤモヤしたものが充満していきます。

しかし、敵将・反町監督からは「前に大きな選手を並べて、向こうの2トップは走力もありますし、ヘディングの力もあるので、理にかなった攻撃かなというふうに思いました」(J’s goal)とも見えている。高木監督からは、「少し長いボールが多かったりする中で、もう少し動かしてサイド、もしくは長いボールを入れる時でも、形を作った中で入れるということがもっと出来れば、セカンドボールを取れたり高さを上手く使える」と注文がつきました。

「問題点は我々が2点目を取れなかったと、それに尽きる」と反町監督が言うように、湘南は中盤でつないで、大きくボールを動かして、ミスも少ないものの、これも慣れてしまうと、対応ができるもの。タテに切り裂いてくる迫力には乏しいような(アジエルは例外でしたがが…)、そんな印象も受けました。

そんななかで「後半は相手もリトリートしてきて、崩すというよりも蹴ってセカンドボールを拾うということを考えていた」と言うのは廣井。反町監督の意図とは逆に、湘南は1点の重みに耐えかねて、明らかに引き気味になっていきます。前線からのプレッシャーもダウン。確かに、前半、あれだけ飛ばしてくれば、どこかでスローダウンするというのは必然ではあったのでしょうが…。

相手が引けば、高さも、パワーもあるツートップ。イニョンを投入した後半はまさしく、ずっとパワープレーをしているような感覚に陥りそうでした。ただ、目に見えて大迫の運動量が落ちてくる。田中達也が準備するも、直前で武富が足を攣ってしまい大迫は残す。その大迫もまた最後には足を攣る。カードを一枚貰っていたエジミウソンも根占と途中交代。しかしエジミウソンも前半から、フィールド全てに顔を出すほど走り回っていた。今日は全ての選手に最初から“飛ばして”いくことが求められていたに違いありません。

幾度かあった決定機。そのたびに、すわ「同点か」と前の席の男性グループが立ち上がりかける。こちらも見逃さないためには、立ち上がったり座ったりの繰り返し。アディショナルタイムに入って、久しぶりに腕時計をストップウォッチ・モードにセットしてみた。4分。長いようで、短いような時間。GK西部からのキックを自陣で跳ね返すと、前線にすばやく送る。イニョンがそらして田中。そこに猛然と走りこんできたのは吉井。そのスピードに、たじろぐようにファールを犯した。“気迫”に押されたと言っても過言ではないかも知れません。そして、間接FKから原田の今季初得点。絶対に決めなければいけない痺れる場面で、決めてくれました。

反町監督が「最終的には力づくで1点もぎ取られたというゲームだった」と総括したように、2点目を取りに来る湘南の意図を上回る圧力、迫力が熊本にあったということでしょう。「向こうの交代選手のパワーというのが、かなりアップだった」とも言わしめた。

ただし、引き分けは引き分け。湘南の手のひらから勝ち点2を払いのけ、勝ち点1をもぎとったことを、手放しで「良し」とすべきか…。翌日の熊日の見出しは「3連敗を免れる」としていますが、われわれは最近、サッカーのリーグ戦での「引き分け」に対して、ややネガティブに考えています。勝ってはじめて連敗は止まると。引き分けを“負けていない”というポジティブ評価にして、課題を曖昧にしてきたツケがこの苦境を呼んだのではなかろうかと。三角形は黒で塗るべきではないだろうかと…。

それでも、スコアレスや追いついた引き分け、追いつかれた引き分け。同じ引き分けで結果は勝ち点1でも内容は大きく違うという意見に異論はありません。ただ、一番共感を覚えたのは、「次に勝つことで今日の引き分けが生きてくると思う」と前を向いた武富の言葉でした。

ほぼ後半のすべての時間帯を攻め続け、精魂尽き果て、がっくりと膝を着いた選手たち。最後に追いついたこの結果には胸を張れ。今日の結果は、次の試合に絶対つながる…。そんな気持ちで、スタンドに挨拶にきた彼らに拍手を送るわれわれの耳元に、「さぁ、9月は負け無しだ!」。前の席のグループからそんな元気な声も聞こえてきました。


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