9月11日(日) 2011 J2リーグ戦 第27節
岐阜 1 - 1 熊本 (19:04/長良川/3,145人)
得点者:50' 嶋田正吾(岐阜)、62' 武富孝介(熊本)

展開が良くないですね。このところずっと。もちろんそれは自分たちが招いていることではあるんですが。先制されて追いかける展開ばかり。振り返ってみたらワンサイドゲームの敗戦も含めて、実に7月17日の富山戦から8試合連続で先制点を許しています。もともと1点先取してしぶとく守り抜くのが身上のチーム。(それに加え「サッカーにはアクシデントでの1失点はあり得る」と指揮官が常々折り込むのならば、複数得点を取らなければ勝てないというのが宿命なのですが)どうしてもビハインドから追いかけるとなると、守りから入るチーム性格上、追いつくのが精一杯。(追いつくことが出来るようになったと見るべきなのか)。もちろん相手次第のことですが、ここにわがチームの現状を測るひとつの尺度があるのかも知れません。

エジミウソン不在の試合でした。前日の熊日の予想フォーメーションには入っていただけに、ベンチにも入っていないのが驚きでしたが、スカパー!実況の情報によると、前々日に体調不良を訴えたとか。かつて「エジミウソン依存症」と書いたわれわれにとっては、そこは(彼がいないことでどうなるのか)が注目点でしたが、ダブルボランチの一画に原田を上げ、基本原田が守備からボールの散らし役、吉井は運動量活かして前線に顔を出す。左SBにはこれまた運動量と守備への貢献度が高い筑城が頑張り、いいバランスで機能していました。

もう一点の注目はCBの選手起用。出場停止明けで菅沼が帰ってくるのか。その相方はソンジンなのか。しかし答えは前節と同じく福王と廣井。現状での真ん中2枚の正直なチョイスだったろうと。疑問の余地のないところでした。

岐 阜
16西川 14嶋田
27押谷35地主園
20三田23橋本
7菅2野田明弘
17野垣内4田中
 1野田恭平 
後半23分 地主園 秀美 → ブルーノ
後半36分 西川 優大 → 佐藤 洸一
後半43分 ブルーノ → 阪本 一仁


熊 本
9長沢 17斎藤
13大迫14武富
8原田22吉井
24筑城15市村
6福王4廣井
 18南 
後半13分 齊藤 和樹 → ソン イニョン
後半27分 長沢 駿 → ファビオ
後半37分 武富 孝介 → 宇留野 純


同期対決。これまで3勝3敗3引分と、まったく五分の対戦成績。確かに今季は最下位に沈んではいるものの、われわれからすれば、決して“相性”がいいとは言いがたい相手。油断などあろうはずもない。しかし岐阜は、立ち上がりからイージーなミスが目立ち、圧力も掛けてこない。これが現状の順位に甘んじる所以なのか。ボールが持てる熊本は、ほとんど敵陣で支配できる。ただ反面、その相手のミスに付け込む迫力や、スピードが出てこないのも事実。敵陣に居るはずなのに“ゴールは遠かった”と言わざるを得ない展開でした。

われわれが感じたことは、監督、選手も一致していたようです。
「点を取れるときに取っていれば、ゲームオーバーになる試合だった。その表現が近いと思う。ゲームを支配しながらも点は取られる。我々にとっては少しもったいない試合運びだった」と総括したのは高木監督。大迫は「前半立ち上がりは岐阜のほうがミスをしてくれた。そこで決められるようにしないといけない」と。同じく筑城も「前半のいい時間帯に1点が入っていれば、流れは変わったと思う」と。

“決定力”などという曖昧なことばは使いたくないと日頃から思っていますが、こと前半に関していえば、決定機さえ作れていない。前半のシュート数4本が如実にそれを表していると思います。ただ、CKに関していえば前半でも9本、試合全体では14本も得ている。それはこの試合、敵PA近くに鋭く攻め込んでいることの証しなのですが、このセットプレーという“決定機”が全く活かされなかった。ゴールを脅かすことが皆無だった。この問題は大きいと思います。

こんな試合展開は、ときおり訪れる敵のセットプレーやカウンターが妙に怖い。失点の場面は後半早々、岐阜サイドでの展開。ピンボールのように敵味方に跳ね返るボールが押谷に収まると、すかさず前線ひとりの嶋田に絶妙のスルーパス。前掛かりになっていたバックラインのギャップをみごとに突かれる。ベストの動きだしとパスとシュートがきれいにつながってしまった。油断、そして予測が足りなかったといえばそれまでなんですが…。

「190cmの相手に対し、うちは174cm、178cmのハンディがある。1人がしっかり競って自由にさせず、こぼれをカバーリング、ピックアップを我慢しながら続けて、相手の攻撃のリズムを遮断しようとした。そこから相手が前がかりになっているので、そこを突こうと想定して、今日は臨みました」。敵将・木村監督のプランどおり、我慢していた岐阜に先制点を許し、2点取らなければ勝てないという展開をまた招いてしまいます。

追いかける熊本はイニョンを投入。ただ、岐阜のカウンターの残像があるのか、前節のようなパワープレーにはなかなか行けない。同点に追いついたのは後半17分、市村からのクロスがファーに抜ける。大迫がこれを拾ってイニョンに預ける。イニョンがエリア外から意表を突いた強烈シュート。GK野田が弾いたボールを、詰めていた武富が押し込んだ。ようやく訪れた武富の初ゴール。前節同様、献身的に動き回っていた武富の努力が報われた。そして全員で繋いだゴールでした。

それにしてもソン・イニョン。並はずれた運動能力とヴェルディ戦でも書きましたが、それに加えて、局面における突き抜けた対応力。相手も予測不能な意外性のあるプレー。それでいて、長沢にちょこんと出した別のシーンのように細かい動きもあり、段々周囲と息が合ってきたような。期待が膨らみます。

追いついた時間は前節より早かったものの、その後、岐阜は前線にブルーノを入れて巻き返す。最終的には解説者がノーガードの打ち合いと表現したような、オールコートを使った攻撃の応酬。前節のこともあり、アディショナルタイム4分まで諦めず勝利を信じましたが、岐阜も最後まで走り続ける。どちらかというとこの最後の4分間は岐阜のものにも見えました。ホーム2連敗中の岐阜としては、この試合なんしても勝ちたかった。そして、勝てると思った試合だったのでしょう。相手にそう思わせてしまったことも、熊本の失敗でした。

全体がよく俯瞰できないテレビ観戦でしたが、解説者のコメントに考えさせられたことがひとつありました。夏場になっての熊本の停滞をアナウンサーに問われていわく、「高さのある前線にロングボールを当てていく、セカンドを拾っていくという熊本の戦術は、縦にも早いので運動量がどうしても要求される。選手の消耗も激しい戦い方」。多分そういったニュアンスだったと思います。

今日も決してセカンドが拾えているとは言えない。いや、このところずっと拾えていないと言っていいでしょう。攻撃の、あるいはゲームのリズム、主導権を握れているわけではない。ボールを支配していても、ゲームを支配していたとは言えない内容だったのだと思えました。

もともと前線に向けたハイボールは、敵味方フィフティフィフティ。パスの距離が長くなりロングボールになればなるほど、その五分五分度合いが高まるのは必然。今日も長沢が競り勝ったボールは、相手ボランチの足元に収まるシーンが多かった。奪われて、今度は奪い返すために守備をする。そしてマイボールを前線に送り続ける繰り返し。身体的疲労もあるでしょうが、精神的疲労も募ります。確かに高さは相手に対しても脅威であり、競り続けるDFにとっても体力を消耗させる。セカンドを拾う相手にしても同じ。しかしこれは、拾いにいく味方にとっても同じ。運動量を求めるしかない。五分五分の状況を上回るために要求される運動量は(高さで競る選手を含めて)果てしなく厳しい。「高さ」という戦術の厳しさがそこにあると。いや、そもそも「高さ」という戦術があるのかと。

「少し長いボールが多かったりする中で、もう少し動かしてサイド、もしくは長いボールを入れる時でも、形を作った中で入れるということがもっと出来れば、セカンドボールを取れたり高さを上手く使える」。前節、高木監督が要求したこの言葉が、すでにその答えを示していたのだなと思いました。セカンドを拾う意味でも、それはあったのだと。“高さ”との距離が遠すぎるからフィフティフィフティどころか相手に有利になってしまう。ならば近づけばいい。あるいは近づく時間をタメることができれば…。極端に言えば、長澤もファビオもスローインからの競り合いでは全く負けていないように。「高さ」が戦術なのではなく、「高さを活かすこと」が戦術なのだと。

だとしたら、どうなんでしょう。ここにきて高さこそが武器だということがはっきりしているのなら。そして相手もそこの対応をしてきているのなら。それを上回るようにもっともっと高さを“活かせ”ばいい。相手が嫌がることをもっともっと追求すればいいと思います。

そしてもうひとつ望みたいのは、意外性のあるプレー。今節のイニョンのミドルがしかり。前節の同点弾を生んだファール奪取のプレーは、吉井の果敢な意表を突く飛び出しから生まれました。当たり前のプレーでは通用しない。予測され、必ず対応されるのが、このカテゴリーのスキル。ゴールは常に偶然ではなく、この意外性からしか生まれない。

特にアタッキングサードにおいての、意外性のあるプレー。意表を突いたプレー。相手のイメージを上回るプレー。それは相手を欺くような。この位置で、そんな体勢で。なぜ?ともいうような…。それを可能にするのは、技術なのか。精度なのか。果たしてフィジカルなのか。もちろんそれは個人技だけでなく、連携という意味でも…。

このところ90分間の出場を果たしている大迫が、「相手はマンツーマンで見ているので、僕が仕掛ければサイドバックが空く。そこはうまく使えたけど、フィニッシュが甘かった」と言うように、しばらく封じ込められていた感のある熊本の両サイドがここ数試合は攻撃にからんで、今節は大いに期待を持たせる展開ではありました。対面の武富には初ゴールという結果が伴った。この二人の成長も熊本の鍵を握っている。

冒頭書いて改めて気づかされた8試合続くビハインドの展開。実は、このわがチームの不調は、FC東京戦の大敗からではではなく、その前の試合、あの微妙な雰囲気の大観衆の富山戦から始まっていたのではないかと疑っていたわれわれです。しかし同時に、あの富山戦では、なんとか追いついて帳尻を合わせた。ここに「チームの現状を測るひとつの尺度があるのかも知れない」とすれば、あの不調が始まった時点まで状態が戻ってきた。2点目をとられないで、追いつけるようになった。ポジティブに考えれば、そう捉え直すこともできる。そう思いませんか。

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