10月19日(水) 2011 J2リーグ戦 第6節
熊本 0 - 1 栃木 (19:04/熊本/3,189人)
得点者:9' 水沼宏太(栃木)


こんなに点を取るって難しいことだったのか。そんな印象を受けたゲームでした。チャンスも作れている。ゴール前まで運べている。しかし何とも攻撃が“薄い”。決定力という曖昧な概念よりも、決定機をどれだけ作れるかという確率論の視点に立つわれわれからすれば、それは“崩しきれていない”からというしかない。PAに入るか入らないかの位置から、崩しきらないうちにフィニッシュしている。それは「積極的に打った」と言える一方、「持ち込んだ後のアイデアがない」あるいは「焦って打った」「打たされた」とも言える。バレーボールでいえば、パスワークで振り切れなかった敵の3枚ブロックに、それでも果敢に打つスパイク。アメフトでいえば、DFを振り切れていないレシーバーに対して、それでも投げるロングパスのようで。もちろん、それでも決めてしまう個人の技量というのも必要なのでしょうけれど…。

10位の熊本と6位の栃木。しかしその勝ち点差はわずかに2点。この試合、一発で順位が入れ替わる状況でした。

キャプテン南の試合前日のブログ。「栃木は現在8試合勝ちがないらしいので、逆に明日は間違いなく難しい試合になる」と言っていたとおり。「前半からとばして先手をとれるかどうか?そこがゲームを大きく左右するキーポイントになる」と。「相手に“今日はイケるんじゃないか?”と思わせない事がすごく大事」。そう一番恐れていたことが、その通りになってしまいました。

熊 本
 9長沢 
7片山13大迫
14武富27ファビオ
5エジミウソン
24筑城15市村
4廣井28菅沼
18南
後半15分 長沢 駿 → ソン イニョン
後半28分 大迫 希 → 宇留野 純
後半39分 市村 篤司 → 西森 正明


栃 木
9リカルド ロボ 18チェ クンシク
11河原14水沼
10高木13本橋
24那須川16宇佐美
5落合23渡部
 21武田 
後半22分 河原 和寿 → 杉本 真
後半30分 崔 根植 → サビア
後半45分 本橋 卓巳 → 赤井 秀行

開始9分。熊本が得たFKを大迫が蹴る。ファーサイドの廣井のヘッドでの折り返しはGK武田の手の内に。そのまま武田がパントキックのように前線にフィードする。一人が反らして、前線に走りこんだには水沼。うまくトラップして筑城を切り離すとシュート。南が触ったものの勢いは衰えず、ゴールネットを揺らします。「絶対に止めなきゃいけないボールだった。完全に自分のミスです」と南が翌日のブログで悔やんでいるように、早い段階であってはならない失点。しかし、彼だけの責任ではなく、「エアポケットみたいなところ」(栃木・松田監督)をうまく突かれたチーム全体の失点でした。

武富の「前半がもったいなかった。相手もアウェイで勢いを持ってきて、そこでひるんだというか、ちょっと消極的になってしまった」というように、8試合勝利の無い、後がない栃木の開始早々からの猛ダッシュ。細心の注意をもってリスクを潰していくべき時間帯だったのですが…。愛媛戦の引き分けという内容を“整理”していなかったのか。あの「良かった時間帯」のイメージをまだ引きずり、「今日は勝てるだろう」という慢心が潜んではいなかったでしょうか。

高木監督は「ひと言で言えば、今日のゲームはセカンドボールの勝敗如何で流れが変わるような展開で、1stハーフは腰の抜けたようなプレーが多かった」と。そして、絶対に与えてはならない先制点を与えてしまった。今の熊本、1点先制されると、それを跳ね返すには、スタメン自体をいじらないと難しいような空気さえ流れます。重い。早々とイニョンがウォームアップを始めていました。

前半終盤には、左サイドで片山、武富のパス交換から、片山がえぐってクロス。DFのクリアを拾った武富が至近距離から打ちますが、GKに阻まれる。後半中頃にも、ショートコーナーから片山が入れたグラウンダーのクロスがポストに当たって、跳ね返りがイニョンの身体に当たりましたが枠の外。決定的な瞬間は幾度かありました。しかし、ゴールネットは揺らせない。

栃木の球際のアグレッシブさは、90分間通して続いている。ボールを奪ったら、シンプルに且つ速く繋いでくる。わずか1点では、「今日はいける」という確信はなかったはずですが、何故かこちら側からは妙に落ちついて見える。何か、むき出しではなく静かな闘志という感じ。それが、「今日は絶対に勝ちたい」という気持ちの強さだったのでしょう。

しかし、スカパーの放送で解説の池之上氏が言うほどには押されておらず、いったん押し込まれた流れを押し返すところまでもっていったのではなかったでしょうか。サイドで押し込んで、相手が下がり始めると、熊本の高さが生きてくる。高木監督も、先のコメントに続けて、「ただ、そこでやめずに、後半はボールを奪うという事からスタートして、ある程度相手の陣内でプレーする事ができた」と。慌てることなく、栃木の追加点への圧力を受けとめながら、凌いで凌いで、少しずつ押し返すリズムを作っていった。栃木側も重心が少しずつ後ろにかかっていったため、結局2点目を奪えなかった。

もちろん、先制されて、逆転どころか結局は同点にも追いつけなかった。熊本からすればそれが事実であり結果です。ゲーム自体は互いに攻守の切り替えが非常に速く、体をぶつけ合い激しい闘志を前面に出したゲームでしたが、お互いにまたミスも多かった。この季節のナイトゲーム。ミッドウィークに駆けつけたスタンドのファンの冷え込む身体を、白熱の温度で温めるには至りませんでした。

何より、筑城のコメントを借りるまでもなく「逆転できるようにならないといけないなと思います。早い時間に失点して、焦りは無かったけど、逆に0-1になって、『今回こそは』という気持ちはあった」というように。しかし、その1点が遠い。本当に遠い。

一方で、井芹さんがJ’s goalのプレビューで書いていた“総力戦”(われわれも同意見でしたが)というなかで、逆に戦力の薄さを認めざるを得ないことも残念でした。根占をケガで欠き、ここでまた原田を膝の怪我で欠くという状況。長沢は、前節の愛媛戦の解説者・大西氏のアドバイスが聞こえたのか(笑)、今日は胸トラップでマイボールにする形が多かったのは評価できます(千葉のオーロイのプレーで怖かったのは、あの“モール”を作るようなプレーだった)。しかし、疲れているのか、あるいはポストプレーに徹しているかのように、どうも消極的で動きに生彩を欠く。迫力に欠ける印象でした。久しぶりにベンチに入り、途中から出場した宇留野も西森も、うまく試合に入っていけませんでした。

栃木では、大津高出身の落合が10試合ぶりにCBの一画に入り、15試合ぶりのボランチ本橋とともに、大きな壁となって立ちはだかり、先制点を決めた水沼は、無尽蔵の運動量で、90分間攻守に走り回っていました。(試合後のインタビューの爽やかさに、親父殿と違って好印象を受けてしまったのは余談です(笑))。

果たして、スタメンというファーストチョイスがその時その時のベストチョイスになっているのかどうか。チーム全体が納得して、というか、落ち着いてゲームに入れていないような。ベンチにもベンチのベストメンバーが入っているのか。何か、どこかに心配事をかかえたままのような。ないものねだりをしても仕方はないのですが…。われわれのような一ファンは、そうやってヤキモキするしかありません。

もう日曜日には次の試合がやってきます。直近5戦負けなしの水戸。それでなくても相性がいいとは思えない相手。前回対戦も「負けなくてよかった」と言えるような内容の引き分けでした。相当、心しなければやられる。このままではまずい。今、われわれはそういう心境です。

TrackBackURL
→http://sckumamoto.blog79.fc2.com/tb.php/331-14b3ab27