11月12日(土) 2011 J2リーグ戦 第35節
北九州 2 - 0 熊本 (14:04/本城/5,307人)
得点者:76' 林祐征(北九州)、90' 林祐征(北九州)


試合終了を告げるホイッスルは、同時に、熊本にとってJ1昇格への可能性が完全に消え去った今シーズンの“終戦”を教える笛でした。ただ、身体から全ての力が抜けるようなこの喪失感は、単に数字上残っていたといえる昇格可能性が消えたことより、この目の前の“完敗”から感じられるものでした。

北九州
4長野9大島
 21安田 
29金17木村
 5桑原 
22多田13関
8小森田26宮本
 31佐藤 
後半24分 大島 康明 → レオナルド
後半24分 長野 聡 → 林 祐征
後半36分 安田 晃大 → 冨士 祐樹


熊 本
13大迫27ファビオ
 14武富 
23根占25西森
 8原田 
24筑城15市村
4廣井28菅沼
 18南 
後半22分 西森 正明 → 仲間 隼斗
後半33分 武富 孝介 → ソン イニョン
後半40分 根占 真伍 → チョ ソンジン

バトルオブ九州と銘打たれたダービー。われわれは残念ながらテレビ観戦でしたが、熊本から5台のバスで駆けつけたファンが「ホームの雰囲気」(スカパー実況)で後押ししていました。ダービーにふさわしく、お互いに非常にアグレッシブで、激しいぶつかり合い。ナイスゲーム。後半30分までは…。そして残り15分での勝負という図式は、絵に描いたような今季の北九州のサッカーでした。

見事な交代カードの活躍。池元、福井、森村という主力を3人も欠きながらのベンチの層の厚さと言えるのか。「90分間の中で彼ら3人がいなかったことを思い出しませんでした」。采配的中の三浦監督にここまで言わせるのは 自らの戦力への信頼なのか、目の前の試合への集中なのか。

熊本も決して悪くない入り方でした。京都戦で前半30分しかもたなかった“時間帯”の反省から、うまくペース配分しているのだろうとも思えました。後半早々のPKという“アクシデント”には、南がビッグセーブで防いでみせる。しかし、熊本の見せ場らしいシーンは、この場面と、前半終了間際、ファビオがDF3人を抜いてGKと1対1に持ち込んだシーンぐらいか。ポゼッションを持ちながらも、いつスイッチが入るのか、どこでスイッチを入れるのか。今か今かと眺めるしかなかった。その時は…とうとう最後まで来ませんでした。

もちろん今の勢い、順位。そしてモチベーションの差があるのでしょうが。ピッチ上の感覚としては、高木監督が「我々以上に北九州さんほうがアグレッシブに来て…、完全に、間合いを含めてですが、威圧感という部分で受けてしまった…」、あるいは南が「五分五分のボールでも取れないというのはきつい。北九州の選手は球際がすごく強かったし、その辺で負けているシーンも多かった」と言うように、北九州にはDF宮本の気迫、ボランチ桑原の運動量、MF木村の狡猾なパスワークを始めとして、チーム全員に断固とした“勢い”があった。それで西森が「くさびを入れられるのに下げたりしてしまった場面もあった」と正直に吐露するように、気持ちで“受け”に回ってしまったと言えるのでしょう。

「後手を踏んでしまった。メンタル的にもたたきのめされたようなゲームだったと思います」という高木監督。「シュートを打つというのはたとえば意識をしていればシュートに行こう、ゴールに向かっていこうと思えば、意識から技術、スキルになるので。本当に意識さえあったのか」とまで言い、選手の姿勢に苛立ちを隠しませんでした。

中盤でゴールを奪い、キープし、回しているのに、ゴールに行けない。行かない。前線の3人だけに攻撃は任されて、3人目の動きもなければサポートもない。消極性ともとれる足の止まり方・・・。
逆に北九州は“速い”。決して熊本も数的に不利な状況ではないのに、その対応を上回る速さ。判断の速さというより、これはプレーについての戦術意識の統一。同じ絵が描けているがゆえの迷いのなさとも言えるのでしょうか。まさに1点目のピンポイントのアーリークロスは、プロと言えども滅多に出るようなプレーではない。前に行く、ゴールに向かう意識。林は「関君ならこうくるだろうと思って、体が覚えているかのように走っていけました」と言い、アシストの関は「(林とは)練習中から合わせているし、決めてくれると思って上げて、決めてくれました」と。ここが“今の”北九州と熊本との違いであり、戦術と練習が積み重ねられた成果が現れているのかと。

「とにかく何一ついいことはなかったなというゲームでした」と言ってしまう指揮官の気持ちもわからないではない。決してこんな台詞を口にしない男だっただけに。「ゴールを目指すというところが全くなかったというのは非常に腹立たしい気持ちです」と言うように、結果ではなく、“行かない”もどかしさ。“闘う”というサッカーの原点からの怒り。

われわれファンも気持ちが折れそうになるシーズン終盤の3連敗。しかし、南の「チームがここから上に上がって行くには、まだまだやることがあると思います」というコメントは、「選手が本当にどこまで立ち直れるかというのは選手一人一人がしっかり自立する部分に直面していると思う」という指揮官の言葉への、主将としての返答のようでもあり。これこそが今日、本城のゴール裏を真っ赤に埋め尽くしたファンに対するメッセージでしょう。これから最後の3試合、それを見せて欲しい。ずっとずっと熊本のサッカーは続いていくんだから。

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