12月3日(土) 2011 J2リーグ戦 第38節
鳥栖 2 - 2 熊本 (12:33/ベアスタ/22,532人)
得点者:19' 大迫希(熊本)、56' 早坂良太(鳥栖)、70' 矢野大輔(熊本)、76' 木谷公亮(鳥栖)

Jリーグ最終節。そしてJFLも最終盤、地域決勝大会も。今シーズンも日本中のピッチの上で、それぞれのファンの思い出に残るゲームが繰り広げられました。しかし、今日のこの鳥栖スタジアム。2万人を超えるサッカーを愛する人たちが集い、つくりあげた、これほど感動的な空間は他になかったのではないかと思います。

1999年のJ2創設時所属10チームから最後のJ1昇格。幾度ものクラブ存亡の危機を繋ぎとめ、乗り越えてのこの日。それはもう小説よりもはるかに奇なる激動のドラマ。

すべては結果論かもしれませんが。絶望的な現実にも、挫けず、諦めず、絶対に諦めず、耐えて、耐えて、夢をつないだ、すべての鳥栖のファン、関係者の方々に、敬意と祝福と共感と。そして最後までチームを切り捨てなかったJリーグへの感謝も忘れずに。

大好きなサッカーが、勝ち負けだけでなく、歴史や、地域や、人生や、そんなものもひっくるめた深い感動をもたらしてくれることを、また今日も勉強させてもらいました。

さて試合はというと…。
「今日はサッカーにならなかったというか、お互いに気合いが入っていて、ガチャガチャやっている感じだった」(武富)、「やっている僕たちも楽しくて、見ている人も楽しんでもらえたと思うし、気持ちのこもった試合ができたと思う」(大迫)と振り返るように、お互いが気合の赴くままに激しくぶつかり合ったメモリアルゲーム。

高木監督も「とにかく勝つため」「この雰囲気の中で戦うには少し変えて、危機感を選手たちに持たせるというのが狙い」「とにかく勝つ事が全ての3-4-3だった」と語るように、絶対に勝ちたいという執念をこめた布陣で臨んだ。

鳥 栖
 9豊田 
 22池田 
10金25早坂
6岡本14藤田
3磯崎15丹羽
2木谷20呂
 1赤星 
後半15分 丹羽 竜平 → 田中 輝和
後半27分 早坂 良太 → 國吉 貴博
後半36分 池田 圭 → 岡田 翔平


熊 本
 9長沢 
13大迫14武富
7片山15市村
8原田5エジミウソン
16矢野24筑城
 28菅沼 
 18南 
後半24分 武富 孝介 → 齊藤 和樹
後半34分 大迫 希 → ファビオ
後半41分 エジミウソン → 吉井 孝輔


「J1を決めた鳥栖と対戦しての、プレーの質の差などについては?」との問いに対しては「その質問に対しては、僕は答える事はありません。我々は全力を尽くして頑張って、その結果がドローだったので、特に言う事はありません」とかわしたが、見ているわれわれがはっきりと感じる差。昇格する大先輩・鳥栖が教えてくれたのは、すべてにわたっての、“少しづつの”差。結果としての大きな差。とても引き分けたなどと胸を張れるような内容では決してなかった。今日の舞台設定を織り込んで、相当なメンタルで準備して臨んで、最初から飛ばしに飛ばして。そして先制、追加点を奪っても、“持続”できないという課題はいかんともしがたく、追いつかれるのは時間の問題とも言えました。まぎれもなく今のチームのキーマンといえる大迫や武富が疲れを見せたときに、それに代えて活性化できるタレントがいない。逃げ切ることはなんとか出来ても、追いつきひっくり返すような展開はまだまだ。今シーズン、そんな試合が少なかったことが、そんなわがチームの今を物語っているように思います。

試合が終わって、昇格を喜ぶスタジアムの鳥栖サポーターが映し出されても、前節書いたような「自分たちのことのようにもらい泣きしてしまう」という気持ちには何故かなれませんでした。実質的には前節で昇格を決めていたということ。最後の試合を勝利で飾れなかったこと。そんな鳥栖側にある、少しばかりのモヤモヤ感が伝染したのかも知れない。ところが意外にもそんな気分を一転させたのは熊本のゴール裏に掲げられたシンプルな3枚の白い横断幕に書かれた言葉でした。

サガン鳥栖を愛する全ての人へ
堅忍不抜の努力に敬意を表します
追いつき追い越すまでJ1にいてね❤

不意打ちでした。こみあげてくるものを、自分たちのサポーターから貰うとは思っていませんでした。鳥栖のゴール裏もスタンディングオベーションでこのメッセージを受け止め、多くの人が涙を流していました。

相手をリスペクトする気持ちは当然ですが、彼らの経てきた苦難の歳月への“思いやり”が全て込められた言葉。彼我の“差”を受け止めて、それでもともに戦えたことを感謝するような…。

この夜、Twitter上ではこの横断幕を掲げた赤いゴール裏の写真が、感動の“つぶやき”とともに何度も何度もRTされ、とうとう「ロアッソサポ」というワードが、ホットワードに上がりました。

Jリーグの根っこのところにある本当の素晴らしさ。それをこうやって示してくれたうちのサポーターが誇らしくもあり。今年はあの東日本大震災に見舞われた年でもあっただけに。温かい余韻にしみじみと浸りながら、2011シーズン最終戦をやっと終えることができました。

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