3月4日(日) 2012 J2リーグ戦 第1節
福岡 2 - 1 熊本 (15:05/レベスタ/7,379人)
得点者:21' 坂田大輔(福岡)、25' 城後寿(福岡)、56' 武富孝介(熊本)

アウェーながら、しょっぱなからバトルオブ九州となった開幕戦は、J1降格組の福岡に一日の長ありという感じで黒星を喫しました。1300人もの赤いサポーターが現地に駆けつけ、冷たい雨のなか、ホーム福岡に負けない“声”を送るその音量は、残念ながらこの日はテレビ観戦となったわれわれに、さながら冬眠の虫に春を告げる「啓蟄」を思い起こさせました。起きろ!さあ、サッカーシーズンの到来だと。

コイントスでエンドのチェンジを求める藤本主税。新主将としての初めてのその仕事は、しかしいつもどおりの高木采配でもありました。がっぷり四つに組んだ感じの序盤。左SBの片山がえぐってマイナスのクロスに吉井が走りこむ。右サイドからファビオが入れるとそこにも吉井。前線に人数をかけたいい形の攻撃。しかし今季福岡に新加入の坂田が前を向くと怖い。短いパス回しからミスをすると福岡の反転が早い。手薄な反対サイドで一気にアタッキングサードまで持ち込まれる。

福 岡
11高橋 15坂田
19成岡10城後
8鈴木7末吉
2キム ミンジェ4和田
27堤6山口
 1神山 
後半22分 堤 俊輔 → 小原 章吾
後半32分 末吉 隼也 → 岡田 隆


熊 本
 27ファビオ 
14武富11藤本
10養父22吉井
 8原田 
7片山25西森
4廣井3高橋
 18南 
後半16分 西森 正明 → 白谷 建人
後半26分 吉井 孝輔 → 福王 忠世
後半33分 武富 孝介 → 大迫 希


この日がJリーグデビューとなったCBの高橋祐太郎が、一枚イエローをもらったすぐあとのことでした。キム・ミンジェのクロスを祐太郎が防ぎますが、目の前にこぼれてきたボールを坂田が迷わずダイレクトで一閃。アウトに掛かった強烈なシュートは南の手をかすめ、ポストに当たるとゴールに吸い込まれました。「とにかくゴールという結果を常に追求してやっていきたい」(J’s goal)と言っていたという坂田。敵ながらその技量の高さを褒めるしかないゴールでした。

ただ、時間的にも5分もたたないうちでの連続失点はいただけなかった。福岡の厳しいプレスに後手を踏み始めると、最終ラインからのパスミスをすかさず奪われ回される。再びキム・ミンジェが鋭いクロスを上げると、二列目から飛び込んできた城後に高い打点のヘディングを決められてしまいました。

この一戦にあたり指揮官は、選手たちにあの屈辱的な一昨年のシーズンの6対1の福岡戦のビデオを見せて、奮起を促したと伝えられます。しかし今日も、試合序盤の短時間での2失点は、あの大量失点の予感さえ漂わせ始めました。短く繋いでいく戦術が、高い位置からプレスをかける福岡の圧力に気後れしたかのように、ミスを連発している。いかにも取られ方、取られ所が悪い。頼みの藤本主税でさえ、気迫がどこか空回りしているような。「プロ17年目なのに緊張した。それがみんなに伝染したのかな」(熊日)と。

回しても回させられているような。そんなもどかしい前半の熊本に対して、スカパー解説者の吉村寿洋氏は「あと一点取られるようなら、どこかで戦術を変える必要がある」と言い、同じ頃NHKでは山本昌邦氏が、「どんなスタイルのサッカーを目指すのか、これまで練習してきたことをぶれずに一年間やり通すのかが試される。それが開幕戦」とコメントしました。多くの不安を抱かせながらも、わがチームは一途に後者の道を選ぶ。それが後半になって奏功し始めます。

藤本と養父から絡んで武富や片山を走らせる。養父の広い視野から徐々に絶妙のパスが出始める。56分、右サイドでつないで武富からファビオにパス。奥まで運ぶとグラウンダーのクロス。藤本がニアにDFを引っ張ると、そこに武富が走りこんでいる。左足に当てるように押し込んで1点。

福岡の足が止まってきたとみるや指揮官は前線に白谷を送りこみます。原田を一列下げて3バックにして攻撃に厚みを与える。疲れの見える武富に代えて大迫。防戦一方の様相の福岡。しかし追撃もあと一歩及ばない。最後の最後に“感じ合わない”といった連携の未熟さが見えます。ロスタイムはうまく時間を使われて、福岡に逃げ切りを許してしまいました。

「負けて良かったということは、間違いなく我々の世界ではないのですが、リーグ戦という長いスパンで考えた時に、ゲームの中で修正が出来たのは非常に良かった」(J’s goal)。試合後、高木監督はそう述懐しています。その修正点とは「もっとボールを動かすということ」だったと言います。

返す返すも前半の出来、あの連続失点が試合運びとしては最悪でした。それは開幕戦独特の雰囲気からくる気負いも作用したのでしょう。あのバタバタした時間帯をもう少しうまく持ちこたえ、乗り越えていけるようにならなくては…。とは言っても、誰が見てもわかるように、今年の熊本は昨シーズンとは違う、今年の戦術で戦うこと、貫き通すことをこの開幕戦で示してくれたのではないかと思います。42試合の長丁場を戦っていく確かなベースを感じることはできたと思います。落しはしましたが、2012シーズン開幕の一戦。勝ち点3は失ったものの、得るものも確かにあったゲームでした。

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