3月17日(土) 2012 J2リーグ戦 第3節
京都 2 - 0 熊本 (13:04/西京極/2,901人)
得点者:32' 宮吉拓実(京都)、60' 中山博貴(京都)

試合が終わった瞬間の気分は、翌日の熊日が言うとおり「点差以上の完敗」という感じでした。同じくパスサッカーを追及するスタイルでは、あくまで「京都が上だった」と。しかし、よくよく振り返ってみると、ちょっと違った印象が浮かび上がってきました。負け惜しみともちょっと違うような・・・。

高木監督の「京都さんに対して、我々は10回やったら、多分1回勝てれば、今の我々の実力では一回勝てればいいかな、という位のチーム力の差と個人の差が非常にあったと」(J's goal)というコメントは、敗軍の将としては潔く、そう言ってしまいがちです。全体的に力の差があって、どうしようもなかったみたいな評価ですが、果たしてそうかなと思ったりもします。

京 都
13宮吉 31久保
15中山10工藤
23中村7チョン ウヨン
6ファン テヨン8安藤
3染谷4秋本
 1水谷 
後半19分 中村 充孝 → 内藤 洋平
後半29分 チョン ウヨン → 倉貫 一毅
後半37分 宮吉 拓実 → 長沢 駿


熊 本
 9チェ クンシク 
14武富11藤本
7片山22吉井
8原田10養父
4廣井5矢野
 6福王 
 18南 
前半26分 武富 孝介 → 大迫 希
後半17分 崔 根植 → 白谷 建人
後半31分 吉井 孝輔 → 五領 淳樹


誰の目から見ても、熊本はこれまでの2節と比較して、試合の入り方は良かった。序盤は可能性を感じさせる試合運びでした。しかし、32分に京都のCKをクリアしたあと、この日デビュー戦だという左SBのファン・テヨンが跳ね返して預けたボールを、そのまま追い越して要求する。そして左サイドから迷わず低くて速いクロス。中央の宮吉に点で合わせて先制点を奪います。

さらに追加点は後半15分。CBの福王の小さなクリアが高い位置で奪われて、右につながれ安藤がクロスを上げる。飛び込んできた中山に、右足ボレーで豪快に突き刺されました。

確かにミスがらみではある。それを見逃さない京都のうまさとも言えるでしょう。しかし、サッカーの、J2というカテゴリーでは、力の差がそのまま試合結果に直結することのほうが珍しいと常々思っているわれわれからすれば、京都のあの2得点は、まさにあれだけのパス、シュートは、本番のゲーム中にそうそう見られるものではない、奇跡の連続とも言える代物でした。それより何より、今日の京都を褒めるべきはその守備でしょう。前線から中盤から。そして決してアタッキング・サードに入らせない守備。熊本のパスの出し手が、養父や藤本や原田だとわかって潰しにかかる守備。その点では、戦前高木監督が京都に関して「守備は”個”に頼っている印象もある」とスカウティングしていたのは、ちょっと誤りではなかったのかと悔やまれます。

一体、養父の言うように「こっちがやりたいことをトライ出来なかったというのが一番、今悔しい」。「今日に関してはやってきたことを出来なかったので、やっぱりそれではシュートの本数も少なくなるのも当たり前だと思うので、やはり練習で積み重ねてきたことを試合でやれば、またいい試合ができると思います」という、彼の目からみた落ち着いた振り返りが、この試合を一番言い表しているのではないかと。

ただ、これはもう見ていて明らかだったのは、同じく養父の言う「相手のプレスが良かったというのがありますし、ちょっと後手後手になったのかなと思います」という局面に関して。京都は、プレスというより強く激しくボディコンタクトすることを意識した、笛がなるかどうかギリギリのところで勝負していた。チャージの質が高かった。熊本の判断を遅らせ、プレーの精度を奪っていた。それが熊本の選手の積極性を失わせ、プレーを躊躇させた。いわゆる”ビビらせた”のではないでしょうか。3バックがあそこまで下がってしまうのでは、サイドを使われても仕様がない。前節までの2試合では、ハーフタイムの修正が機能した熊本だったのですが、この日は京都の大木監督の「もっとやれる」「怖がらずに前に出ていこう」、この言葉こそ、本当は熊本に必要な指示だったのではないかと。終盤で滅多打ちにあった印象から、「完敗」と思い勝ちですが、実は試合運びからすれば、勝敗は紙一重ではなかったかと。途中でくじけた。ビビってしまった。「京都は強い」と思ってしまった。その瞬間、負けが決まってしまった。養父のコメントは、それを指摘しているようにも聞こえます。

もうひとつ、武富の前半での負傷交代が、思った以上に熊本に大きなダメージを与えたのではないかと。どうも、武富がピッチサイドで傷んでいる時間帯から、大迫に交代したあたり。崔根植の「結果的なものだけみれば、全然出来なかったですけど、前半は熊本がやりたいプレーをできたかなと思いました」というコメントと合わせて、このあたりがこの試合のターニングポイントだったように思います。武富は今のチームの攻撃の要であり、ゲームプランの柱となる存在。彼の離脱は、シーズン序盤の熊本にとって、大きな痛手とならなければいいのですが・・・。

「判断の部分が悪いというのがあったので、そういう個人的なミスというか、そういうところを直せばすぐに修正できると思うので、次の試合は絶対に勝ちたい」。中二日で迎える町田戦に対して、”すぐに修正できる”と断言する養父のコメントは頼もしいものがあります。”パスサッカー”を標榜する相手に負けたからといって、今季目指している自分たちのサッカーに自信を失ったり、それを曲げる必要はまったくないと思います。

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