4月8日(日) 2012 J2リーグ戦 第7節
栃木 2 - 0 熊本 (13:03/栃木グ/2,999人)
得点者:15' 棗佑喜(栃木)、83' 當間建文(栃木)


試合後の記者会見で、「今日は後味の悪い試合だったのか」という質問も出たようですが、まあ判定については色々とあるにせよ、わがチームの戦いぶりはと言うところでは、むしろ清々しさ(と言ったら誤解されるかもしれませんが)さえ感じるものでした。高木監督自身も「ネガティブな面ばかりがあったわけではなくポジティブな面もあったことを、僕はそこを重要視したいと思う」と述べたように…。

栃 木
22棗 8廣瀬
28菊岡10高木
14菅25小野寺
24ユ デヒョン17山形
29チャ ヨンファン6當間
 21武田 
後半22分 廣瀬 浩二 → サビア
後半29分 小野寺 達也 → パウリーニョ

熊 本
 9チェ クンシク 
14武富19五領
7片山13大迫
8原田10養父
4廣井5矢野
 22吉井 
 18南 
ハーフタイム 大迫 希 → 高橋 祐太郎
後半24分 五領 淳樹 → 白谷 建人
後半40分 武富 孝介 → 筑城 和人


互いに持ち味を出し合う序盤。互角の展開といえましたが、先に失点したのは熊本。菊岡に前を向かせると左サイドに走るユ・デヒョンに出される。大迫が追ったもののサイド奥から折り返されると、棗がニアで合わせてゴールイン。吉井も廣井も詰めていたのですが・・・。

さらに25分には、右サイドでの攻防。クンシクが當間への危険行為で一発レッドカードが示されて退場。

前半のあの時間帯、1点ビハインドで退場者を出してのアウェーの戦い。やれることも限られて、前半の残り時間は、とにかく失点を凌ぐので精いっぱい。時間が長く感じる試合になる。誰もがそう思ったはずです。

しかし後半に入ると。確かに序盤は一方的に栃木に攻め込まれますが。DF高橋をFWに入れた熊本。前線のターゲッを得ると、セカンドボールを支配し始めて、徐々に攻撃を形づくる。数的不利をまったく感じさせないばかりか、ポゼッションでも圧倒し、押し込み、決定機をつくる。DF高橋をピッチ上に送りこんだ意味は、守りぬくことではなく、攻撃に転じることでした。

「相手がひとり多いのにブロックを作り、こっちに余裕を持ってボールを持たせたのでチャンスを作れたところもある」(熊本・原田)という見方もありましたが、「後半は相手が蹴り始めて、それを跳ね返してセカンドボールを拾えたけど、そこからのパスが適当になってしまった。ミスが多く、そこから2次攻撃を受けてしまった」(栃木・菊岡)。そう相手は感じていました。確かに栃木は早く2点目を取って熊本の息の根を止めようと、攻め急ぐあまり、かえって”稚攻”に陥った。栃木の弱点があらわになりました。

思えば、前半クンシクの退場からのピッチサイド。戦術ボードを見つめて考え込む高木監督が映し出された。そのときピッチレポーターの佐藤悠介氏は言う。「熊本の戦い方はハッキリしたといえる」と。それはもちろん「守ってカウンター」しかないという意味でした。確かにポゼッションは栃木に分がある。しかし指揮官をはじめ熊本は、たじろいではいなかった。むしろ何も変わらないと。ひとりの少なさを感じさせずにポゼッションを目指しました。それが今年目指す熊本のサッカーでしたから。

高橋の前線起用も奇策を感じさせない落ち着きがありました。十分にターゲットになっていたし、相手DFに対してもとても粘り強かった。周囲との連携もよく機能していた。中盤陣は出足よくセカンドを拾うと、アタッキングサードでは人数をかけてパスを回し、ゴールに迫っていきました。

スカパー!の栃木側の中継はいつも楽しませてもらえます。解説の水沼氏と佐藤氏の二人が調子よく栃木を褒め称えているかと思えば、(それがフラグのように)一転、熊本が攻勢を強めると、手のひらを返したように苦言を呈し始める。今日もそんな苦笑する場面が見られました。同点に追いつくのも時間の問題に感じられた。

しかし、そこで敵将・松田監督が打った一手に熊本は完全に封じ込まれます。中盤の支配力の弱さ、特にボランチのところの活性化に、怪我から復帰したばかりのパウリーニョを起用した。昨夏、パウリーニョを欠いてから大失速した栃木。その存在は誰もが知るところでした。長い長いリハビリ期間からの生還。キャプテンマークを巻かれて走りだすパウリーニョ。迎える選手たち。万来の拍手・・・。パフォーマンスはまだ完全ではないかも知れない。しかし、栃木のイレブンを落ち着かせ、鼓舞させるには、それで十分でした。「してやられた」。テレビの前で地団駄を踏みました(笑)。一転して流れが変わりました。

「勝てた試合だったのに・・・」。

翌日、憤慨が収まらない同僚の言葉がありました。それは10人で戦うことを余儀なくされた不可解なジャッジに向けられたものではなく、その前の失点の場面、あるいは自分たちでつかんだはずの時間帯で、しかし詰めの甘さ、選手の勇気のなさを嘆いていました。いろいろな見方がある試合になりましたが、敗戦という事実だけを突きつけられました。アウェーではまだ勝ち星がない。その事実を。

監督は「ひとつ反省しないといけないのはセットプレーから失点したこと。そこは反省すべきだと思う」と言う。しかし、「苦いコーヒーだけを飲み続けたわけではない。甘いカプチーノもあった」とも。
それはきっと、佐藤悠介氏が定石どおりだったらと予言した”戦い方”ではないことができた、あのピッチサイドで首を傾げながら考え抜いた”攻撃的奇策”に、一時とはいえ選手たちが順応した手ごたえを意味しているのではないでしょうか。

借金を返済する機会を棒に振って、まだ負け越しの状態が続きます。さらにFWはひとり出場停止となり、先発陣の危機的状況も伝わってくる。しかし、そんな厳しいなかでも、今シーズン、なぜか次の試合を観たい、早く週末にならないかな、という気持ちが一層沸く…。わがホームチームだからというこれまでの気持ちともちょっと違う。今はまだそれをうまく説明できませんが。

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