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2012.04.29
岡山戦。評価分かれる試合
4月27日(金) 2012 J2リーグ戦 第10節
熊本 0 - 0 岡山 (19:03/熊本/3,198人)
翌日の熊日朝刊は「価値あるドロー」と評価する見出しをとり、「マイナス」から「ゼロ地点にまで回復してきた」と表現。高木監督は「あくまでも結果に満足しているわけではない」という条件つきで「これまで課題だった部分を照らし合わせると、いいゲームをしてくれた」と振り返る。しかし、GK南は「いい内容の試合ができても、こういう試合で勝ちきれるようにならないといけない。こういう試合で勝ちきれるともっと上を狙えると思うので、そういうもどかしさはあります」と言う。見ているほうも、やっているほうも評価の分かれる難しいゲームでした。
前節から4人も変更した熊本の先発システムは、シャドーにFWの白谷と斉藤を置く布陣。3バックの中心には再び吉井。右には筑城を持ってきました。一方の岡山は5試合負けなし。得点源の川又をベンチに置いて、中野のワントップでスタートしてきた。システムは3-4-3と全く同じ。目の前の選手とマッチアップします。
後半22分 白谷 建人 → 市村 篤司
後半29分 原田 拓 → 大迫 希
ハーフタイム 岡崎 和也 → 関戸 健二
後半15分 中野 裕太 → 川又 堅碁
後半37分 田所 諒 → 石原 崇兆
前半のシュート数9(熊本)対3(岡山)という数字が物語るように、立ち上がりから熊本のペースでした。右CKからのこぼれ球をクンシクがシュート。これはバーに嫌われる。斉藤が左の白谷にはたいて、白谷のクロスに入っていくが惜しくもゴール左に外れる。CKから岡山の強烈ヘッドを南の反応でクリアするスーパープレイもありましたが、セカンドもうまく手中にしていたし、守っても筑城が「前と中盤の選手がよく動いて限定してくれたので、プレスもはっきり行けた」と言うように、明らかにポゼッションは熊本にありました。あとは、アタッキングサードでの最後の崩し、ゴール前に行く人数という”勇気”…。
この試合何と言っても特筆すべきは吉井の活躍でしたね。くさびのパスはコースを読んで、必ず飛び込んで潰す。サイドに侵入してきた敵に対しても追い込んでいるのは吉井。スイーパーの役割も吉井。得意の運動量と読みで、岡山に仕事をさせません。前節の勝ち点1は南がもたらしたものと書きましたが、今節は吉井の働きのおかげかも知れません。
しかし、徐々に岡山も今季の好調さ示し始めます。後半開始から岡崎に代えて関戸を入れ、修正を図ってくると、俄然ボールは岡山側へ。藏川が「慌てすぎてるというか、もうちょっと落ち着いてもいいのかなという部分はあります」と振り返るとおり、攻め急ぎともとれるボール回し。さらに岡山が中野に代えて川又を入れると、前線に迫力が加わった。仙石(岡山)が、「勝てた試合だった」と言うような、岡山の時間帯に突入しました。
岡山にはかつての”新参チーム”によく見られるような、試合中の浮き足立ち方が微塵も見られなくなりましたね。逆に、次第しだいに自分たちの時間帯に持っていく自信のようなものを手に入れている。なんだか知らない間に、愛媛のようなチームに近づいているような気がしました。
熊本が、そんな悪い流れを断ち切ったのは、DF市村のシャドーでの起用という”奇策”でした。ゴールに近いところでクロスを上げる。エリア内、アーリークロスをぴたりと止めた斉藤が右に走りこんだ市村にはたくと、市村がえぐりなおしてクロスを上げる。好機を演出します。
次は原田に代えて大迫。畳み掛けるような交代カード。しかし、何度かチャンスはあったものの、終盤、球際の強さが失われ、前線へも人数を掛けて上がれなくなった熊本は、どうしてもゴールを奪えず引き分けに甘んじることとなってしまいました。カードを一枚残し、明らかに疲れの見えるクンシクを使い続けた。ベンチにはクンシクに代わって前線を張れるのは、DF兼務の高橋しか残っていませんでした。
結果だけを知る人にとっては、勝てはしなかったという事実しか残らないものの、試合の評価としては、GWの連戦の緒戦。互いに”勝ち”にこだわるなかで「集中力」の途切れない、密度の濃い試合を観せてくれたのではないかと。熊日によれば「選手は誰も満足していなかった」し、殊勲の吉井は「これが最低限のゲーム」とも表現している。「ゼロ地点」まで回復してきていると信じて、この連戦の先を見守っていきたいと思います。決して選手層の厚いとはいえないわがチームでもありますから。
最後に。うちの試合の笛を吹くのは初めてだったでしょうか、プロフェッショナル・レフリーの吉田氏。選手の落ち着かせ方、アドバンテージの取り方、ファールの流し方、判断の確かさ…。選手も、ファンのわれわれも試合にしっかり集中できたのは、実はこの卓越したジャッジによるところも大きかったのではないかと。改めて審判の存在の大きさを思った試合でした。
熊本 0 - 0 岡山 (19:03/熊本/3,198人)
翌日の熊日朝刊は「価値あるドロー」と評価する見出しをとり、「マイナス」から「ゼロ地点にまで回復してきた」と表現。高木監督は「あくまでも結果に満足しているわけではない」という条件つきで「これまで課題だった部分を照らし合わせると、いいゲームをしてくれた」と振り返る。しかし、GK南は「いい内容の試合ができても、こういう試合で勝ちきれるようにならないといけない。こういう試合で勝ちきれるともっと上を狙えると思うので、そういうもどかしさはあります」と言う。見ているほうも、やっているほうも評価の分かれる難しいゲームでした。
前節から4人も変更した熊本の先発システムは、シャドーにFWの白谷と斉藤を置く布陣。3バックの中心には再び吉井。右には筑城を持ってきました。一方の岡山は5試合負けなし。得点源の川又をベンチに置いて、中野のワントップでスタートしてきた。システムは3-4-3と全く同じ。目の前の選手とマッチアップします。
熊 本
9チェ クンシク | |||
20白谷 | 17斉藤 | ||
7片山 | 38藏川 | ||
8原田 | 10養父 | ||
4廣井 | 24筑城 | ||
22吉井 | |||
18南 |
後半29分 原田 拓 → 大迫 希
岡 山
19中野 | |||
28岡崎 | 7金 | ||
25田所 | 2澤口 | ||
8千明 | 14仙石 | ||
5植田 | 3後藤 | ||
14竹田 | |||
1中林 |
後半15分 中野 裕太 → 川又 堅碁
後半37分 田所 諒 → 石原 崇兆
前半のシュート数9(熊本)対3(岡山)という数字が物語るように、立ち上がりから熊本のペースでした。右CKからのこぼれ球をクンシクがシュート。これはバーに嫌われる。斉藤が左の白谷にはたいて、白谷のクロスに入っていくが惜しくもゴール左に外れる。CKから岡山の強烈ヘッドを南の反応でクリアするスーパープレイもありましたが、セカンドもうまく手中にしていたし、守っても筑城が「前と中盤の選手がよく動いて限定してくれたので、プレスもはっきり行けた」と言うように、明らかにポゼッションは熊本にありました。あとは、アタッキングサードでの最後の崩し、ゴール前に行く人数という”勇気”…。
この試合何と言っても特筆すべきは吉井の活躍でしたね。くさびのパスはコースを読んで、必ず飛び込んで潰す。サイドに侵入してきた敵に対しても追い込んでいるのは吉井。スイーパーの役割も吉井。得意の運動量と読みで、岡山に仕事をさせません。前節の勝ち点1は南がもたらしたものと書きましたが、今節は吉井の働きのおかげかも知れません。
しかし、徐々に岡山も今季の好調さ示し始めます。後半開始から岡崎に代えて関戸を入れ、修正を図ってくると、俄然ボールは岡山側へ。藏川が「慌てすぎてるというか、もうちょっと落ち着いてもいいのかなという部分はあります」と振り返るとおり、攻め急ぎともとれるボール回し。さらに岡山が中野に代えて川又を入れると、前線に迫力が加わった。仙石(岡山)が、「勝てた試合だった」と言うような、岡山の時間帯に突入しました。
岡山にはかつての”新参チーム”によく見られるような、試合中の浮き足立ち方が微塵も見られなくなりましたね。逆に、次第しだいに自分たちの時間帯に持っていく自信のようなものを手に入れている。なんだか知らない間に、愛媛のようなチームに近づいているような気がしました。
熊本が、そんな悪い流れを断ち切ったのは、DF市村のシャドーでの起用という”奇策”でした。ゴールに近いところでクロスを上げる。エリア内、アーリークロスをぴたりと止めた斉藤が右に走りこんだ市村にはたくと、市村がえぐりなおしてクロスを上げる。好機を演出します。
次は原田に代えて大迫。畳み掛けるような交代カード。しかし、何度かチャンスはあったものの、終盤、球際の強さが失われ、前線へも人数を掛けて上がれなくなった熊本は、どうしてもゴールを奪えず引き分けに甘んじることとなってしまいました。カードを一枚残し、明らかに疲れの見えるクンシクを使い続けた。ベンチにはクンシクに代わって前線を張れるのは、DF兼務の高橋しか残っていませんでした。
結果だけを知る人にとっては、勝てはしなかったという事実しか残らないものの、試合の評価としては、GWの連戦の緒戦。互いに”勝ち”にこだわるなかで「集中力」の途切れない、密度の濃い試合を観せてくれたのではないかと。熊日によれば「選手は誰も満足していなかった」し、殊勲の吉井は「これが最低限のゲーム」とも表現している。「ゼロ地点」まで回復してきていると信じて、この連戦の先を見守っていきたいと思います。決して選手層の厚いとはいえないわがチームでもありますから。
最後に。うちの試合の笛を吹くのは初めてだったでしょうか、プロフェッショナル・レフリーの吉田氏。選手の落ち着かせ方、アドバンテージの取り方、ファールの流し方、判断の確かさ…。選手も、ファンのわれわれも試合にしっかり集中できたのは、実はこの卓越したジャッジによるところも大きかったのではないかと。改めて審判の存在の大きさを思った試合でした。
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