4月30日(月) 2012 J2リーグ戦 第11節
大分 0 - 0 熊本 (13:06/大銀ド/12,595人)


終了の笛を聞くのといっしょに、ふーっと大きく息をつく。ダービーマッチ。 バトルオブ九州。90分間、息もつかせない攻防でした。

前節、京都に2-1と競り勝っている大分は現在5位。前々節は3-2で富山を下し、FW高松の復帰とともに”得点力”を増していることがなにより脅威でした。またしても3-4-3という同システムのチーム。ミラーゲームが予想される試合。しかし、熊本がサイドでの狭い攻防に持っていこうとするのに対して、大分はピッチ全体を広く使おうとする意図。両者マッチアップというより、ちょっと違ったサッカーになりました。

バトルオブ九州と銘打ったダービーマッチ。今季は福岡戦に次ぐ第2戦。隣県ともあって、熊本からもバス6台のファンが大分入りして…。レベスタでの福岡戦でも実感するのですが、ゴール裏に集結した”赤い群集”の色は、青との対比もあって実に美しい。さらにこの日の雨天のせいで、屋根が閉められた大銀ドーム。両チームサポーターのチャントがドーム全体にこだまして、九州対決という「負けられない」独特の雰囲気を盛り上げる。試合の前からドキドキさせます。

大 分
 13高松 
20森島24木島
18イ ドンミョン9三平
32宮沢28為田
17石神4作田
 3阪田 
 1清水 
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後半20分 高松 大樹 → 村井 慎二
後半33分 木島 悠 → 西 弘則
後半40分 為田 大貴 → 小手川 宏基


熊 本
 9チェ クンシク 
17齊藤19五領
7片山15市村
8原田38藏川
4廣井24筑城
 22吉井 
 18南 
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後半28分 チェ クンシク → 白谷 建人
後半41分 齊藤 和樹 → 高橋 祐太郎
後半44分 五領 淳樹 → 山崎 侑輝


今日もうまく試合に入った熊本。高い位置でのプレス。球際の厳しさ。大分を圧倒してペースを握らせない。前節途中からトップ下シャドーに入った市村は、今日はWBに先発で入り、ボランチは原田と藏川。3試合ぶりの先発となった五領も気合がみなぎっているのがわかる。このあたりは、選手層が薄いなかでも高木監督、うまく配置してきたなと感心させる。それにしてもなんとも言えない不安は、この試合、体調不良で養父を欠く事態に。

「明らかに試合の立ち上がりから熊本の方がアグレッシブに走り、良かった。いい意味に捉えるなら、そこで失点しなかったのが唯一良かった点」。大分・田坂監督がそう捕らえるとおり、前半は大分にほとんどと言っていいほど仕事をさせませんでした。唯一、37分の左遠目からのFK。三平のヘッドがゴール左角を狙う。これを南が横っ飛びのビッグプレーでクリア。その後も、石神から三平へのセットプレーのホットラインは要注意ではありました。

大分は前述のとおり、ピッチを広く使いたかったのではないでしょうか。選手間が妙に遠い。ひょっとして熊本のサイドへの追い込みが、大分の選手間の距離を遠ざけたのかも知れませんが。

戦前、両チームスタメンを見た印象では、大分の森島と高松という高さに対して、廣井はともかく、吉井や筑城をよく当ててきたなと思ったのですが、前節から続くこの3バックで、完全にこの2人を封じ込めていました。それは、原田と藏川という、その前の2人のポジショニング、働きにも寄るところが大きかったと思われます。

後半に入っても熊本の絶好機は続きました。52分、大分・作田から奪った五領が前線にパス。片山がスペースに走りこんでキーパーと1対1。しかし、このシュートをGK清水が片手一本ではじく。63分には、五領が縦に入れると斉藤から右を追い越してきた藏川へ。すかさずクロスを入れる。中央に飛び込んできたクンシクが合わせたものの、惜しくもゴール左にそれていきます。

最初はその気合いが“空回り”している感もあった五領でしたが、時間が経つほどに、ボールを触るほどに、思い切りやアイデアが加わって良くなってきました。攻撃の起点にはまず五領。「もっと行けー!」。そう叫んでしまいそうです。

大分は高松を下げて、村井をボランチに、為田を一列上げたあたりからペースを掴み始めました。村井のキープ力。2人、3人に囲まれても交わす。バイタルでワンツー。もらいなおしてシュートを打つ。「ボールを持つと仕掛けられ、シュートも打たれた」(高木監督)。後半20分という時間帯もあって、流れを大きく変える働きでした。

熊本・高木監督は、クンシクに代えて白谷。斉藤に代えて高橋を前線で投入。そして最後には山崎を投入します。先日強化指定選手と発表があったばかりの鹿屋体育大学在籍の選手の大胆な起用。連戦の最中、総力戦のなかでは、面白い起用。何かを変えようという意図があったのでしょう。山崎は、けっして物怖じせず、試合にスムーズに入っていきました。

しかしながら、またしてもスコアレスドロー。2連敗のあと、3連続引き分け。その間、5試合連続で無得点が続く。

高松が復帰し、レンタル延長となった三平は現在チームのトップスコアラー。石神、村井の獲得。そして為田といったユース上がりの逸材。なんだかんだ言っても、大分はずいぶん着実な補強をしている。5位という現在の順位にいるのも頷ける。その大分に、しかも連勝で登り調子だったその攻撃陣に、まったくと言っていいほど仕事をさせなかったことには自信を持っていい。この3-4-3システムでの組織的守備は形になってきていると思います。

高木監督は、「いま我々に必要なことは点を取ることも大事だが、このようなゲームを続けていくこと。今日のような試合を続けていけば得点は取れると思うし、確信している」と言います。多くは語っていませんが・・・。

開始早々の15分で点を取れれば言うことがなかったのですが。しかし、その後も自分たちの”時間帯”を作れるようにはなった。その時間帯を長く保てるようにはなってきている。ただ足りないのは、自分たちの時間帯での決定力。それは、今が点の取り時なのだというチーム全体の統一感ではないでしょうか。

藏川が「攻撃のとき守備に力を注いでいる分、迫力が足りなかった」と言うように。それは、局面的に言えば、クロスを上げるまでは行くけれど、中に人数が足りない。あるいは、アタッキングサードまでは迫るけれど、最後の崩しがない。ということになるのですが、要するに攻撃に厚み、いや”凄み”がない。

スカパー!解説者の増田氏も言う。「バイタルから先で、もっと崩すイメージ。アイデア、あるいはイマジネーションが出てくると・・・」と。彼が在籍した、かつての鹿島がそうだったように。ここぞという時には必ず点を決めきれる力があった。「今が点を取る時」という時間帯でのチーム全体の意思の統一は、ある程度リスクを掛けても全体の緊張感から守備に綻びはきたさない。それがチーム攻撃の”凄み”ではないかと思うのです。

「前からいい守備ができているので、成果が出てきていると思う」「前を向いていい戦いができているので、粘り強くやっていくしかない」。そう言う廣井をはじめとして、各選手も手ごたえを感じているコメントを残している。

それはそれとしても、しかし、偶然を待つサッカーでは勝機はない。いくつかの好機のなかで”偶然”ではなく、”必然”的に点を決められるチームに。また中二日の過密日程の最中ですが、わがチームのそんな成長を見たい。それが今のファンの心理ではないかと・・・。それがまた次の試合への楽しみなのだと思います。

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