5月6日(日) 2012 J2リーグ戦 第13節
徳島 1 - 1 熊本 (13:04/鳴門大塚/4,027人)
得点者:54' 市村篤司(熊本)、80' 津田知宏(徳島)


ようやく。ようやく得点シーンを見ることができました。長く続いた無得点の時間。やっと、ほっとした。しかし、試合自体は同点に追いつかれ、結果は痛み分けに終わりました。

”鳴門の風”は曲者でした。今日もピッチボード看板が立てられないほどの強風、その風下でスタートした前半の熊本。しかし、ある意味でその風をうまく利用して主導権を握ったのだといえます。裏へ、サイドへ、深いスペースをついて逆風へ向け大きなボールを入れる。それが徳島のDFラインを見誤らせる。

徳 島
22ジオゴ 19キム ジョンミン
18宮崎10鈴木
4エリゼウ27花井
6西嶋3橋内
2三木33福元
 21オ スンフン 
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後半15分 キム ジョンミン → 津田 知宏
後半24分 三木 隆司 → 濱田 武
後半37分 ジオゴ → 徳重 隆明


熊 本
 9チェ クンシク 
17斉藤19五領
38藏川15市村
8原田10養父
4廣井24筑城
 22吉井 
 18南 
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前半12分 南 雄太 → 岩丸 史也
後半32分 養父 雄仁 → 西森 正明
後半35分 五領 淳樹 → 大迫 希

熊本のシステムは変わらず3-4-3。出場停止の片山のところにはユーティリティ溢れる藏川が入る。ダブルボランチの一角に原田が復帰。

この数試合と同じように熊本の入り方がいい。9分、右CKがファーに抜けたところを原田が拾って再び低いボールで入れる。エリア内でスクランブル。こぼれたボールに廣井が反応。左に広げて打とうとするがDFが2人入る。徳島の素早い反応に阻まれる。32分には、五領が左サイドえぐってクロスを入れると、斉藤が中央で頭に当てるがボールは高く上がって右に流れる。ファーに入り込んだ市村が、そんな難しいボールをダイレクトボレー。GKがたまらずはじくが、こぼれたところに詰める選手がいない。惜しい。

一方の徳島、これまでのような”怖さ”が全く感じられない。攻撃が散発と言うべきか、人の厚みがないというべきか。小林監督が「あまりにも質が低すぎた」という点がここにあるのか、昨年の徳島とは様変わり。とにかくミスをしてくれる。ミスとは見えない精度の低いパスも。今日も出足のよい熊本の前線から始まる組織的なプレスの成果もあるにせよ、中盤から上、前線には全く収まらない。これが前節松本戦の勝利まで10試合勝ちがなかったという、徳島らしからぬ今季の低迷の原因なのかどうか。

そんな徳島の状況の悪さに大いに助けられはしたものの、今日の熊本、むやみにいかない。前に縦に、シンプルに攻める。少ないタッチ数でスピーディに運び、思いっきりミドルを打つ。打つ。ゴールを狙う姿勢はいつも以上でした。

後半に入って若干、徳島の修正が奏功する。小林監督が”鳴門の風”の特徴を熟知したのか、定説とは違って「組み立てるには風下の方がいい」(スカパー!)と言ったように、前半の熊本のように風下になった徳島がゲームを支配するようになります。

バイタルで拾って、徳島がパス回しを続ける。熊本が何とか奪っても、また奪い返される。スルーパスにジオゴが抜けて、ゴール左45度から完璧なシュート。しかし、ボールはポストに当たり事なきを得る。

その一瞬の反転攻勢でした。GK岩丸から左の原田に素早くフィード。原田が大きなサイドチェンジでゴール前に送ると、駆け上がっていた市村はすでにPA内。DF一人を左に切り交わすと、左足で冷静にカーブを掛けた。ボールはゴール左ポストに当たりネットに吸い込まれる。実に、実に7試合ぶりのゴール。市村にとっても今季初ゴール。雄叫びを上げる市村。それに集まるチームメイトの誰もが、長い苦境を打開したこの”一発”の重要性を知って、手荒い祝福を市村に容赦なく浴びせました。

しかし、熊本が不運だったのは、GK岩丸が「あの時間帯、疲れてきている状況で津田選手が入ってきたことはDF陣にとってはすごく嫌な交代でした」と正直に証言するとおり、9節以降怪我で戦列を離れていたFW津田が、この試合から復帰。そして、この大事な時間帯で投入されたことでした。足が止まりかけていた熊本に対して津田の投入は、確かにきつかった。前線に収まり始める徳島の攻撃に、熊本の守備が、ある意味いつものように後手に回り始める。

養父に代えて西森。藏川をボランチに回して、西森は左WBに。なんとか活性化を図ろうとする熊本でしたが、勢いは徳島に。波状攻撃のなか、ボランチの花井が拾うと縦に入れる。津田がみごとに反応して裏に。岩丸が飛び込みますが、それを交わした津田。身体のどこかに当ててでも、というような体勢でゴールに流し込みます。

熊本は五領に代えて大迫を投入。前半早々に痛んだGK南の交代というアクシデントで交代カードを一枚消費していた熊本にとっては、これが最後の切り札でした。それに対して、徳島はジオゴに代えて、どうも熊本には相性のよくない徳重の投入。

不思議なもので、先制点を取ったあとの熊本も勢いがありましたが、同点にしたあとの徳島も足が止まらない。熊本は徳島の攻勢を跳ね返すのがやっとという印象で、なんとか勝ち点1を持ち帰ったのでした。

「勝ち切れなかったことが非常に残念なゲーム」と、高木監督は試合後語りました。そして、勝ちきれなかった原因は徳島の交代カードによって、試合の流れを持っていかれてしまったことだと。具体的には「濱田選手が入って花井選手と組んだのですが、彼ら二人は非常にスキルが高いものがある」「最後も1本花井選手が本来の持ち味を出しましたが、それも多分津田選手が入ってきたからだ」と言う。

南のアクシデントで、熊本の交代カードが2枚しかなかったことはもちろんですが、リードしていた状況での西森は、当然ながら流れを守りにいったもの。同点にされてからのカードは1枚しか残っていない。そして大迫の投入。よくやったが、及ばなかった。結局は「そこをどうしても閉めなければいけないということになった」が「切るカードが2枚しかない中では、守備的にやるか攻撃的にやるかというのではなくて、現状に合わせてやるしかありませんでした」というのが実際なのでしょう。

徳島・小林監督は出来の悪かった前半を評して、「どうしても勝たなくてはいけないという想いがあり個人でのプレーになってしまう。やり過ぎている選手もいるし、時にはうまくいくけどそれはチームとしてどうなのかということもありました」と言う。しかし、後半打開したのも津田の突破力、そこへの花井のホットラインといった個の力ではなかったかと。チームとしてのミスを嘆きつつも、結果的には”個人”の技量でなんとか同点にした試合だったように思えます。チームとしては、全く機能していなかった徳島。しかし、数少ない決定機を担える。そんな個人がベンチにいるというのも徳島というチームの今なのでしょう。

対して熊本。チームとしての攻撃の内容は良くなっているといえます。しかし逆に、ここぞという”個”の力は、相変わらず頼りない。チームの力での1点。個人の力での1点。果たしてどちらがいいことなのだと思うべきなのか…。同点劇というゲームの中で見えた両チームの課題が、両監督のコメントに滲み出ているように感じます。

高木監督は、もはや常套句のように聞こえるコメントを繰り返す。「勝ち切れないゲームや勝てないゲームが続きますが、内容的には決して悲観するようなものでもないし、続けることが一番重要かなと思っています」と。確かにそう思います。現有戦力という現実のなかで、確かに成長している。そう信じるしかないと思います。

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