5月20日(日) 2012 J2リーグ戦 第15節
千葉 4 - 0 熊本 (16:03/フクアリ/10,584人)
得点者:10' 藤田祥史(千葉)、19' 伊藤大介(千葉)、21' 田中佑昌(千葉)、48' 田中佑昌(千葉)


3年前の8月。当時木山氏が監督をしていた対水戸の敗戦のエントリーで書いていた『「ポゼッション」と「カウンター」は対立図式ではない』という彼の持論。新たに今季から指揮をとり始めた千葉というチームで、そのさらなる具現化をまざまざと見せつけられたような気がします。しかも3-4-3システムの高木・熊本サッカーを崩すのはこういう方法で、という“お手本”のようなゴールシーン。2点目、3点目はまさしくそのように映りました。

コイントスでいつものようにエンドチェンジを要求した熊本でしたが、テレビ画面越しに見ても超アウェイの千葉側ゴール裏を背にして、本当に大丈夫だろうかという心配になりました。精神面を別にしても、実際問題としてGK岩丸の指示が、あの騒然とした敵側サポーターの声のなかで、しっかりDFラインに届くのかなと。

「後半戦を自チームのDFラインを目の前にして指揮したい」というのが、高木監督のモットーですが、それは前半を0-0で折り返す、あるいはあわよくば先制点を取るというゲームプランのうえでのことだろうし、その意味ではあの“敵側”のエンドで果たして0に抑えきれるのだろうかと。

千葉戦

試合序盤は、それは杞憂だったかなと感じさせる入り方でした。熊本は、解説の永井良和氏が予想していたように引いて守りを固めるではなく、アグレッシブに攻めに出る。その意外性にしばらく千葉はたじろいだものの、その流れを一気に逆転させたのは藤田の先制点でした。熊本右サイドの密集地から武田が低く上げたクロス。ニアで一瞬にして福王と入れ替わった藤田が左足で角度を変える。全くもって藤田らしい得意のプレー。ナイフのように切れ味のするどいそのゴールに、うろたえたのは熊本の方でした。

そして指揮官が試合後に言ったように「完全に後手を踏んだような前半」。われわれから見ても“ビビって”いたような前半。のまれてしまった前半。これはもうサッカー以前の問題もあったのかなと。

「相手の(サポーターの)ブーイングがある時にボールをすぐに蹴ってしまう。リスタートで相手のサポーターがブーイングした時にすぐ蹴ってしまう。そういうのはたぶんやっぱり経験値(の問題で)、これから経験してそういう状況でも冷静に『ブーイングするんだったらブーイングしてくれよ』ぐらいのものを持っていかないと(いけない)」。指揮官が率直にそういうふうに言ってしまうのも、それはそれで情けないことなんですが。

そして冒頭表現したように崩しの“お手本”のような追加点。熊本の前からのチェイシングをうまく剥ぐと、ぽっかりと空いたバイタルエリアを自由自在に使ってボランチの伊藤がミドルで決めた2点目。その視野の広さを一番警戒していた選手、兵働に左サイドに振られ、3バックのスライドが追いつかなかった3点目。気持ちを切り替えて1点ずつ返していこうとしていた後半の矢先に、ミスから高い位置でうばわれて反転された4点目。

どれもこれも唸るしかない失点シーンだったのですが、それよりなにより千葉の切り替えの速さには驚かされた。選手個々の力量は昨年も一昨年もあったのですが、木山監督が更に新たに植え付けたのがそれなのだとハッキリとわかりました。

相手のことばかり褒めてしまっていますが、それくらい打ちのめされたのですから“力負け”と言っていいでしょう。唯一の救いは、大量失点のなか“切れず”に果敢に向かい合ったこと、スタイルを変えずビルドアップして後半シュートシーンを量産できたことか。しかしそれでも、ゴールが割れなかったという事実には変わりはないのですが…。後半から前線に投入された高橋が言うように「(後半に攻め込んだ場面は)千葉はスコアが4-0になって心理的に隙ができたから、ああいう展開になったと思います」という選手自身にも冷静な見方がある。

甲府、千葉、山形と続くこの3試合は、今の熊本にとって相当に厳しい戦いになることは覚悟していました。そして、その2試合目となる今日のゲームは、その通りの厳しい結果を突きつけられたということですね。

さて、このブログを長く読んでいただいている人からすれば、わがチームがJに上がってこのかた、シーズン中にわれわれが順位を気にし、それに一喜一憂することはあまりなかったことをよくご存知だと思います。昇格年度は、どれだけ通用するのかしか眼中になかったし、それ以降も積み上げたものを確認できればよかった。しかし、今季は違う。

まだまだ短いJリーグの歴史ではあるけれど、今年は転換点になるシーズンと言えます。それはご承知のとおり降格制度が加わったこと。もちろんJFLの1位、2位がJへの参入条件を満たすチームかどうかによって状況は異なりますが、22位の自動降格、21位の入れ替え戦が今季のレギュレーションだということ。

やはり勝ち点を積み上げないと…。1つでも積み上げなければ…。気が早い話かもしれませんが42試合のリーグ戦も、第15節。ちょうど中盤に差し掛かるというところです。各チーム、これから先は戦い方も違ったものに変わってくるのではないかとも想像できる。このリーグで生き残るというひとつのことのために・・・。

J1からJ2への降格とはわけが違う。あるいはJFLから降格したあの年の思いを二度と思い出したくない。それはチームの存続にも直結しかねない一大事。そんなリアリティをしっかりと心に刻みながら、われわれも腹を据えて闘わねばならない。それほど大事なホームチーム。そんな思いがあります。

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