7月1日(日) 2012 J2リーグ戦 第22節
熊本 1 - 0 千葉 (19:03/熊本/4,326人)
得点者:85' 武富孝介(熊本)


5月20日の0-4の敗戦。その時のエントリーを読み返してみると、アウェーの雰囲気にのまれ、先制を許し、後手を踏んだ。偶然に負けたわけではないことを“力負け”と表現していました。 あれから1カ月ちょっと。チームはその間の6試合を3勝2分1敗。結果も内容も悪くないゲームを続けてきています。前半戦最後の試合となった前節は、富山に今季アウェーで初勝利を挙げ、後半戦へ向けて“整理できた”状態だったのかなと。

選手も監督も、おそらくは相当の決意をもって臨むに違いない。色んな意味で今日のこの試合はあの敗戦とセットで見ていくべきだろう。そう思いながら(実はわれわれはチキンの気持でドキドキしながら)この試合を迎えました。

このところの長雨、そして時折り激しく降る雨。相当にスリッピーなピッチコンディション。ちょっと体重をかけ損なっただけでバランスを崩してしまう。試合を通じて転倒する選手が続出。また、上から見ると鏡のようなKKのピッチといえども、実際には相当に水が滞留しているのか。とにかくリスクを避けるプレー、事故を起こさないようなプレーが求められる。

これは相手も同様。いやむしろ、この“重(おも)馬場”の芝の状態や断続的に降った大粒の雨は、アウェーチームのほうがより大きなハンデになったのではないでしょうか。前回敗戦の大きな要因だった“アウェー感”でしたが、今日は天も味方につけてのホームゲームと言えました。

千葉20120701

「負けゲームだったと思います。今年22試合目にして、一番ひどい内容のゲームでした。原因を考えても、良かったことを探すのが難しいので、冷静にいろんなことを考えないといけないのかなと思います」。試合後の木山監督のコメントは「時にはカウンターもあったし、前線で奪われた時の守備も非常に速かった。そういう意味ではある程度、納得したゲームができたんじゃないか」と語った前回とはまったく対照的なものでした。

試合開始早々こそ、素早いパス回しで熊本のバイタルを脅かしましたが、次第に落ち着きを取り戻した熊本の守備網につかまり始める。この日、熊本が敷いた布陣は開幕戦以来の4-4-2。あとでスカパーの録画で吉井が怪我をしたことを知ったのですが、それが4バックにした理由ではなかった。「ジェフに対してはサイドハーフとサイドバックに初戦でかなりやられたので、このゾーンをしっかり潰していくというのが大きなテーマでありました」と、指揮官がその戦術を語るように、神経質なまでにここを“潰して”いった熊本。このゾーンをケアするために守備が逆算されているような感じで、選手たちからは“絶対にバランスを崩さないぞ”という決意さえ伝わってくるような。

「我々がこのゲームで勝つには、絶対に先に失点してはいけないというのが自分の中にもありました」と言う高木監督。拮抗した展開の前半残り5分。よく“ポカンと意識が空いた”ような感じで失点していた時間帯もしのぎ切る。後半立ち上がり、押し込んできた千葉の米倉にネットを揺らされますが、戻りオフサイドの判定で事なきを得ます。

どちらが先にカードを切るのか。それが後半の最大の興味でした。「正直、前半の出来だと苦しいので後半の頭からという思いもあった」と言う木山監督が、60分になって堪らず深井を入れてくる。下がった田中に勝るとも劣らず、嫌な選手でした。

対して、「0-0というスコアで後半に入る中で、今日のゲームでは僕から見てなかなかいじるところがなかった」と言うのは高木監督。「1つ待ちたかったのは、深井選手が入って来た時にどういうアクセントになるのか、攻撃のリズムや動きが変化するのか観察したかった。」「深井選手が入ったことによる変化も見ることができたので、あとは(齊藤)和樹の疲れもあって、そこで(高橋)祐太郎を入れた」のだと。ベンチワークも白熱を帯びます。

ただ、この重いピッチでオープンな展開を続けていた両者とも、徐々に足が止まってきた感がありました。そんななかで与えた千葉のゴールから45度のFK。ファーの山口の頭が捉える。これはゴール枠を外れたものの、千葉の粘り強さ、一発の怖さを感じさせるには十分。もやもやと嫌な雰囲気が漂い始めます。

そのとき俄かにゴール裏が歌い始めました。それまでより力強く。一層声高く。選手たちを鼓舞する“熊本”の歌(チャント)を。スタジアム全体にその思いが伝播し、手拍子がこだまします。

決勝点は85分。斎藤に代わって入った高橋が、高い位置でボールを奪い、相手を背中でブロックしながら正確なスルーパスを通した。武富がGKとの1対1を冷静に決める。絶妙の時間帯。絶妙のゴール。もう、いつまでもマフラーを回しておきたい。

こうして書くと、まるで守り一辺倒の熊本がワンチャンスをものにしたように見えますが、実はそうではありません。千葉の好機と同じ数だけ熊本も決定機があった。千葉の高いDFラインの裏を、養父のパスが何度も狙っていた。原田の大きなサイドチェンジが千葉を走らせた。千葉の攻撃を単純に跳ね返すだけでなく、繋いでビルドアップしていく。パスコースが増えている。攻撃の“形”が増えている。守備面だけでなく、ひとつひとつのボール、プレーに対するチームとしての集散のスピードが上がっている。それは運動量という“エンジン”をベースにして。

必然的に勝った試合とは言えないけれど、決して偶然に勝ったわけではない。少なくともこの試合だけの結果ではないことははっきりと実感できる。そして得たものは、ビッグクラブ千葉に対する初勝利と、今季初の2連勝という結果。上位といえども臆することなく戦える。そんな自信と経験値でした。

これはまったくの結果論ですが、前回敗戦のエントリーで、「唯一の救いは、大量失点のなか“切れず”に果敢に向かい合ったこと、スタイルを変えずビルドアップして後半シュートシーンを量産できたこと」と書いています。今日の戦いも前回の敗戦とひとつづき。見せつけられた課題を克服するために、ひとつひとつ積み上げてきたもの。次節は前回4月1日の対戦で、ホームで3-0の勝利を挙げた岐阜。まったく逆の状況。相手は相当の研究と意気込みでくるはず。それも後半戦の面白さであり、難しさなのかと。しかし、とりあえず今は、勝ったー!と、勝利の余韻に浸りたいと思います。

TrackBackURL
→http://sckumamoto.blog79.fc2.com/tb.php/366-e238042b