7月8日(日) 2012 J2リーグ戦 第23節
岐阜 0 - 2 熊本 (19:04/長良川/4,023人)
得点者:26' 大迫希(熊本)、37' 武富孝介(熊本)


前回対戦では3-0で勝った相手。われわれも「相当の研究と意気込みでくるはず」と先週予想しましたし、高木監督も「岐阜は非常に調子がいい」と警戒していました。

熊本のシステムは 吉井が復帰して3バックに戻る。ただ、驚いたのはこれまで全試合出場の廣井がいない。ポリバレントな藏川も高橋も、果ては市村もベンチにすら入っていない。故障によるものだと後で知りましたが、折角の連勝で勢いに乗っていたところに水を差すこの事態。しかし試合前、指揮官は選手たちを前に、ネガティブな表現を一切使わず、「新しい組み合わせ、フレッシュな選手、それを存分に生かして欲しいし、期待している」(藤本主税のブログ)と選手たちを鼓舞したようです。

岐阜20120708

試合は予想通り、まず岐阜が前に前に出る展開。序盤の熊本、これをきちんと受ける形で凌ぎます。落ち着いている。シーズン序盤の不振から時間を掛けて守備を立て直してきた行徳監督の岐阜。ここ3試合は無失点。しかし、その高いDFラインの裏のスペースを熊本が狙い始めると徐々に歯車がかみ合わなくなってきます。後半24分あたりでは「相手にペースを渡してしまったような」とスカパーの実況が表現しています。

試合後に「相手が前に来れば背後は空いて来るし、中盤でプレッシャーが掛かれば、近くに繋げなくなる。」「相手が高く来るなら、背後を突くのがセオリー」と高木監督が言うとおり、徹底したシンプルな試合運びの熊本。

原田から右サイド奥へ一気にロングボール。武富がスペースに走りこむと完全にフリー。何のプレッシャーもないなかで狙い澄ましたクロスを上げる。ゴール中央には齋藤に加え、斜めに入ってきていた大迫。「少なくとも高校に入った以降は記憶にない」というヘディングシュートを大迫が決めて先制。これまであまり見たことがない実にシンプルな得点シーンでした。

その後も、岐阜のミスにも乗じたうえで一方的な熊本の攻勢。スカパー解説の大野聖吾氏が、「(岐阜の)ディフェンスラインが(熊本FWの走り出す)いい目印になっている」とまで表現する。

「個人の戦術的な成長も感じる」(熊日)と評価した高木監督。それはもちろん、前掛かりで高い岐阜のDFラインの裏を徹底して狙っていった攻撃ももちろんですが、先制されたとたん一転して下がり始めた岐阜DFのぽっかりと空いたバイタル。今度はそこを有効に使い始めたところ(判断)も含めて言っているのではないかと。個人と言っているが、それは誰と言うことではなく、ピッチ上で臨機応変に戦術を変えた選手たち一人ひとりを”個人”と表現しているのだろうと。いわゆる、チームが同時に同じ絵が描けていたということを指していたのかと思うのです。

その成果は早くも37分に。前線に入るくさびのボールを狙っていた吉井がインターセプトすると左から繋ぐ。バイタルでもらった武富が、林立するDFをかいくぐるように中央にドリブルで持ち込み逆サイドに鋭い角度をつけたシュート。意表を突かれたGK時久が飛びつくものの、ボールはゴールネットを揺らします。武富の個人技も素晴らしい。しかし、奪ったあとの吉井のDFを引き付けながらの爆走、オーバーラップ。左サイドでの細かいつなぎ。まさしく”同じ絵が描けていた”としか言いようがない得点でした。

試合後の敗将・行徳監督は「6月に入って少しずつ勝点が付いてきて、安心したのか、情けない試合をした」と言います。しかし、何といっても今日もうひとつの驚きは、岐阜のスタメンに佐藤洸一の名前がなかったことでもありました。行徳監督は「「恥ずかしい話ですが、佐藤洸一選手が一昨日の練習に遅れてきた。対戦相手のビデオを見て、紅白戦する
日に遅れてきたのが、外した理由」と明かしました。相手監督のマネジメントに何も言うことはありませんが、そこには大きな苦渋の判断がありました。

だからこそなのでしょうか、後半から入った佐藤、いつにも増して粘り強い。さすがの吉井も手を焼きます。「後半は相手が出てくることで、前線にターゲットの選手が入って押し込まれるだろうなと思った。最後までゴールを割らせなかったことが、彼等の頑張り」。指揮官も織り込み済みの展開ではあったものの、そこを実際に完封した守備陣を称えたいと思います。

前から必要以上に追いかけず、完全にブロックを作って受ける体制の熊本。引けば、それまでのバランスは変わる。引けばさらに佐藤を活かしてしまう。そして染矢のスピードにやられる危険な場面が何度も。その対応に、怪我から復帰した藤本主税を当てて西森をボランチに。果ては福王を入れて4バックにしてサイドのスペースを消す。吉井はボランチに上がってユーティリティ性を見せる。まさに、チーム全体が変幻自在。最後は仲間を入れてかき回す。そして勝ち取った完封での3連勝。高木体制では初めての3連勝でした。

「ここまでいい形で守れていた。気の緩みがどこかであったと思う。甲府との試合で無失点だったからこそ、その次のこの試合が重要だった」と悔やむ岐阜のDF関田。その言葉とは対照的に、「“ここは勝たなきゃいけない”といった、プレッシャーのかかったゲームを今まではことごとく落としてきたので、今日の試合できっちり勝ち点3を取れた事に、チームとしての成長を強く感じました」(ブログ)と南は言う。

4月以来の先発出場。前半の猛攻の狼煙を上げた殊勲の大迫は「チームとして3連勝が懸かっていた試合なので、自分が流れを変えないようにと思っていた」と、プレッシャーのあったその心境を語りました。4試合連続得点を続ける武富は、試合後のインタビューで、前節千葉戦の勝利におごることなく「みんなが同じ強い気持ちで(試合に)入ったので、それがよかった」と言う。

選手層が厚くなったなどとは、お世辞にも言えない。けれど、かつてのような“誰かがいないから戦力が落ちた”あるいは“交代カードでシフトダウンした”といったようなことは感じなくなった。逆に薄い選手層、故障者の多い状況を乗り越えて、選手たちにポリバレント性を求めて積み上げてきたものがやっと形になってきたのかと。

「3連勝していることは(気持ちから)捨てて、次の京都戦に向かいたい」と言う武富の心は、すでに次節に向かって切り替わっていました。高木監督が「10回やって1回勝てればいい相手」と表現した前回対戦からどれぐらい力が縮まっているのか。

次節ホームゲームでは再び胸スポンサーの高橋酒造さんから、ミニレプリカユニが無料で配布されるとか。スポンサーもファンもチームスタッフも全員が同じ絵を描いて、強敵・京都を迎え撃つのみ。楽しみな一戦です。

ミニユニ


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