10月21日(日) 2012 J2リーグ戦 第39節
熊本 0 - 1 横浜FC (13:05/水前寺/6,585人)
得点者:45'+1 オウンゴ-ル(横浜FC)

久々の水前寺のゲーム。6500人を超えるスタンド。これまで観客数がなかなか伸びなかった水前寺でしたが、特に今日のゴール裏は立錐の余地がないくらいの入りになりました。そう言えば、8月12日の栃木戦以来、天皇杯岐阜戦も含め、ホームでは7試合負けていない。プレーオフ圏内にとどまる横浜FCに対しても、まったく当然のように、チームは“勝ちにいく”し、ファンは“勝つのを見にきた”というような意識。水前寺でもカモン・ロッソを踊る。そのためにゴール裏に陣取るみたいな。

「熊本のサポーターも、今日は僕らにかなりプレッシャーをかけてきたので、やりづらかった部分はあります」とは、敵将・山口監督の試合後の弁。それだけ”ホームらしく”なってきたということでしょうか。

しかし、ゲームはと言えば、先に取られるとこうなるという見本のような・・・。

横浜20121021

高木監督も「今日のゲームの内容に関しては、横浜FCに対してやりたいことというのは、選手たちも頑張ってくれてある程度できた。それは評価に値するものじゃないかなと思います」と言い、原田選手も「内容的には前節より良かったですけど、結果が出なかったのは残念」と言う。

序盤、主導権を握って試合に入ったのは熊本。「相手の水源(ボランチ)を断つ」と試合前に指揮官が予告していたとおり、中盤でビシビシとボールを奪い、高速のワンタッチでこちらは“水が流れるように”前に前に運びます。原田の惜しいミドル。五領がエンドライン際で粘ってマイナスクロスに養父のシュートはDFにクリアされる。

しかし、ジワジワとセカンドを支配しはじめた横浜もチャンスを作り始めます。両チーム、奪えばタテに速く、鋭い。シーズン終盤特有の、チーム戦術が成熟し、高いレベルで連携しているもの同士の戦い。密度の高い時間が過ぎていくなか、前半のうちに何かが起こる予感はしていました。

失点の場面。熊日も「一瞬の隙」と見出しに取るもように「あそこは僕が簡単に外にクリアするべきだった」と廣井が後悔する。早いリスタートにカイオが走って、廣井が入れ替わられた。その時点で”終わって”いるわけで…。

最後の局面は、シュートコースも絞られていたし、ポストに当たるシュートは、当たる理由がある。幸運でポストに助けられるわけではない。ただ、どこに跳ね返ってくるかは、これはもう神様も預かり知らない。不運と言う前に、”終わっていた”プレーでした。

後半から五領に代えて市村を投入する熊本。対する横浜は八角と森本を入れ、4-1-4-1の布陣に。「横浜FCはリードしていると4-1-4-1という形を取るケースが多かった」と言う高木監督。「僕が横浜FCにいる時に山口監督がアンカーを務める役割をしてました」と言う。その山口監督は今、その同じ役割をベテラン八角に託しました。

市村に徹底的に裏を狙わせる熊本。藤本には大迫が代わり、さらに縦への推進力を求める。養父に代えて仲間。前に起点を設ける。しかし、熊本はアタッキングサードまでやすやすとボールを運ぶものの、そこからがっちりガードを固めた横浜の守備ブロックを崩せない。バイタルまで運んで、そこで明らかに躊躇しているのが伝わってくる。横浜にとっては怖くない。かえってシュートまでやり切れているのは横浜のほうでした。

養父という”アイデア”を失ったツケ。原田はアンカーとしてゴールより遠いところにいました。”人に使われる選手”と”使う選手”。前線に投入されたのは”使われる選手”ばかり。躊躇するのが当然でした。そこで求められたのは武富の才能だったろうと思いました。武富しか、”使われる”ことと”使う”ことを両立できる選手はいませんでしたから・・・。

終了間際まで熊本も攻め続けました。片山のクロスが大外の市村に向かう。しかしDFの前に入れない。今度は市村のアーリークロスに、矢野のスライディングシュート。これは枠を外れる。終了間際には矢野のパワープレー。ロングボールの落としに仲間が走り込む。しかし切り替えしている間にシュートチャンスを失う。主審のホイッスルが鳴るその瞬間まで、スタジアムの赤いサポーター全員が、同点の可能性を信じた。そんな試合でした。

試合終了のホイッスルは、連勝のストップを告げると同時に、熊本の今季のJ1昇格可能性を打ち消す大きな意味を持つものでした。この敗戦をもって、プレーオフの6位以内に入るわずかな可能性を数字上も失ってしまいました。

ただ、試合終了後のピッチに倒れ込んだ選手は、横浜FCのほうが多かったように見えました。単純とはいえ、その数が、この試合に対しての「勝ちたい気持ち」の表れではなかったのかと。プレーオフに是が非でも残りたい横浜の気持ちが、やはり上回っていたのではないか。

後半、熊本の猛攻を死守したGKシュナイダー潤之助はインタビューでこう答えました。「前節ホームの北九州戦の痛い敗戦が糧になった」。「だから、6連勝中で勢いのある熊本に勝つことが、もう一度這い上がれるチャンスだと思った」と。なぜなら自分たちは「最下位から這い上がってきたチームだから」と・・・。

前進のフリューゲルスからのサポーターにとっては、水前寺は”鬼門”だったらしい。いわば初めての勝利なのだとか。長い苦楽を共にするサポーターにとって、この地での勝利は、勝ち点3以上のものがある、J1に繋がる”吉兆”なのかも知れません。

われわれはといえば、負けたけれど、悔しいけれど、しかし情けなくはない。息を飲むようなスピードと連携、そして闘う姿勢がしっかりと感じられた。勝ち点を争うリーグ戦ということでは、何も手にすることはできなかったわけですが、これもサッカー。長いシーズンにはこんな試合もある、などと諦めるゲームではないゲーム。ホームチームのゲームとして、ホームスタジアムに結集して、純粋にサッカーを楽しめた。われわれはそう思う。

そんなシーズンも、残り3試合。

「プレーオフの可能性はなくなったが、残り3試合と天皇杯があるので、身を引き締める思いで戦いたい。」と藤本は言う。

早く終わって欲しいシーズンもあるが、今は、もっと長くこのメンバーのサッカーを観たい。課題もはっきりしている。見ているほうも、選手自身もわかっている。最後のところで、横浜の守備を崩していないし、相手守備陣のイメージを外し切れていない。織り込まれているし、読まれている。相手を混乱させることができなかった。

プレーオフに生き残った横浜FCと、そこに到達できなかった熊本。その差は果たして大きいものだったのか、それとも僅かなものだったのか。 その答えは、この直接対決だけで急いで出されるものではないのかも知れない。それは残り3試合をしっかりと見届けからでも遅くない。そう思いました。

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