10月28日(日) 2012 J2リーグ戦 第40節
鳥取 0 - 1 熊本 (16:03/とりスタ/3,120人)
得点者:51' 藏川洋平(熊本)


J’s GOALの鳥取側の記者もプレビュー記事で、熊本は「現実的に考えれば、モチベーションが難しい状況ではある」と書きました。われわれも、その点では同意。それ(モチベーション)をどうキープして戦えるのかというところが、この試合の一番の注目点でした。

思えば、これまでのシーズンでは、相当に早い段階で昇格圏は絞られてしまっていたわけで。リーグ終盤のこの時期まで、プレーオフ圏と言う名のモチベーションが保たれるこのシステムは、それなりに効果的だったとも言えるでしょう。

自力ということではなく、あくまでも他力の、計算上の可能性ではありましたが、昇格プレーオフ圏への望みが断たれた前節・横浜戦の敗戦。終戦というべきか。支えていたものが無くなった、あるいは、ポッキリと折れてしまった、そんな状態なのか。身も蓋もない言い方をするならば“消化試合”ともいえる。

「残り3つで9ポイントを取る、それがわれわれの最低限度の目標になりました」と高木監督が言う。それは目標とも言えないような目標。それで選手たちのモチベーションが保てるのだろうか。

そこに、この試合に勝てば残留決定という、これ以上ないギリギリの状況で、それでも自力で自らの命運を決められるという鳥取が相手。しかも相手のホーム。少しでも気後れすれば、あっと言う間に持っていかれそうな予感は試合前から感じていました。

鳥取20121028

しかし、そんなわれわれの不安を吹き飛ばすような序盤。中盤を制圧し、セカンドを支配し、主導権を握る熊本。片山、藏川。両SBが高く上がって攻撃に参加する。右藏川からのクロスに大迫がニアでそらすもゴールの左に抜ける。惜しい。藤本からのパスを市村が前で落として、養父のシュートはDFに阻まれる。

ただ、慌てていた鳥取もポジションの修正を図ると、徐々にペースを掴み始める。中央の住田に通されるとDFがクリアしたボールは左にいた小井手の足元に。このシュートはバーに当たって事なきを得ますが、その後も鶴見から小井手が落として住田の決定的なシュート。これは守護神・南の手中に収まりました。

値千金の先制点、そしてこの試合の決勝点は後半6分。熊本のポゼッションから、原田が縦にループで入れる。そこには左から機を見計らった藏川がするすると入り込んでいた。自分の後ろからくるそのパスをダイレクトで振り切る。シュートはネットを突き刺しました。

後半、右SBから右SHの市村とポジションチェンジしていた藏川。指揮官の「もう少し流動的な動きのなかで(サイドだけではなく)中央でボールを受けて相手の懐に入る」という意図によるものでしたが、いずれにせよゴールに近づいた藏川が、その期待どおりに結果を残したのですから指揮官の采配はみごとに奏功しました。

それにしても藏川。確かに原田のパスもピンポイントでしたが、斜めに走り込んだとはいえ、ほとんど真後ろからのボールを、ダイレクトボレー。これまでの藏川のフィニッシュの“実績”を思い浮かべたとき、悪いんですが、あのシュートは正直とても想像できるものではありませんでした(笑)。「1年に1度しかゴールしないと柏の時から言われている(笑)」と南もブログで書いていますが、その一度しかないゴールも、いつもスーパーなゴールなのだと言います。

先制した試合は負けがない熊本。後はしっかりとブロックを敷き、明らかに守備を固めながら、カウンターの一発狙いへ戦術を転換。スカパー!実況の解説者が何度も口にしたように、打てばDFに当たって入ることだってあるというシュートも、鳥取の打たない“パス”に救われる場面が何度も。そして、GK南の安定したセービングにゴールを割られることはありませんでした。

町田との対戦のとき、降格戦線を彷徨う町田のことを”手負いの獅子”と表現しました。この鳥取は、それにも増して「この試合に勝てば自力で残留が決まる」という状況において、荒ぶるような猛獣のようでした。しかも、この試合時間の前に、最下位・町田が岐阜に勝利し、勝ち点差4に迫っていた状況ならなおさら。

その”猛獣”の攻撃をうまくかわしながら、急所を一突きした。その後も荒れ狂う相手をいなしていなして、我慢して。90分戦って、ようやく力尽きたのを見届けた。矛と盾をうまく使い分けた。”我慢のゲーム”。全くそんな試合。

勝ち点というのは、こうやって積み上げるんだというリーグ戦サッカー。モチベーションがどうのこうのと心配する以前に、「大人になったなぁ」としごく感動を覚える内容でした。

「今までのロアッソは負けた試合の後、あっさり連敗してしまったり、良くても点がとれず引き分け止まりだったりするゲームが多かったけれど」と、南はブログで続ける。

「今日は最初からいい入りが出来て内容でも相手を上回れたと思うし、最後押し込まれた場面でもバタバタする事なくみんなが体を張ってしっかりと逃げ切れたのはチームが成長している証だと思う」と。

「前節昇格の可能性がなくなり、相手は残留争い真っ只中のチームでともすればモチベーションで圧倒されかねない試合でしたが」とは南も認めるところ。鳥取側にとっては、熊本には何のモチベーションもないだろう、あるいはモチベーションでは優るだろうと明らかに予想していたのでしょう。スカパー!試合後のヒーローインタビューで、その点を問われた藏川は、「厳しい試合になるのは予想していた」と前置きしながら、「”プロとして”1試合1試合に結果を求めるのは当然」だとキッパリと応えました。

リーグ戦も残り2試合。次節はアウェイ・甲府戦。これまた、昇格という最大の目標を達成してしまったチーム。終盤において、さらに“難しい”ゲームになるだろうことは必至。どう戦うのか。それを見届ける。まだまだ今季の楽しみは終わっていません。


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