3月17日(日) 2013 J2リーグ戦 第3節
松本 1 - 2 熊本 (13:04/松本/12,959人)
得点者:28' 齊藤和樹(熊本)、79' 齊藤和樹(熊本)、90'+3 玉林睦実(松本)


前節のエントリーの最後に、素直なわれわれの見方を書きました。選手個々のコンディションやバランスをもう一度見直してみたらどうだろうと。それは“ブレる”ことや戦術を変更することではないだろうと。行間に隠していた深意は、明らかに原田やファビオを途中投入してからの方がバランスが良かったし、北嶋も途中からのほうが真価を発揮するのではということだったのですが。そのことも衆目の一致するところでもあったと思います。

そんな素人ブログの声など届くはずもないのですが、今節、吉田監督は、先発メンバーを4人も代えてきた。特に縦の3人。矢野の怪我からの復帰。そして原田、ファビオの先発起用。どれも、それぞれの相方(あるいは前後、左右のプレーヤー)との連携、バランスが大きく改善されたように見えた。整理されてきたように思えた。吉田監督にとっても、当然の修正範囲だったのでしょう。

20120317松本

松本にとっては今季のホーム開幕戦。あの美しいアルウィンという専用球場が、緑色のレプリカユニで埋め尽くされ、バックスタンドも熊本側のゴール裏さえもその緑色が飛び跳ねチャントを歌う様は、J1クラスの試合様相と形容しても過言ではないでしょう。2連敗中の熊本。この雰囲気に呑まれなければいいが…。

更には、画面からも伝わってくる現地の強風。これに対して熊本は前半風下を選択する。その理由は藤本主税のブログに詳しいのですが、まるで昨年9月のホーム大分戦を思い起こさせました。前半を我慢することで戦術をシンプルにする。「割り切る」ということ。これが今節も奏功した。ロングボールの着地点を見誤る松本は、セカンドの競り合いでも後手を踏む。徐々にボールが回せるようになった熊本が主導権を握ります。熊本は風を味方につけたとも言えました。

何と言っても出色の出来だったのは「守備」でした。前節は「(数回ですが)」と前置きせざるを得なかった中盤高い位置での守り(インターセプト)がうまくはまっていて。ボールへの寄せも早く、警戒していた松本のカウンター攻撃を“芽”の段階で潰したことが大きかった。

先制の場面は、藤本、ファビオ、藤本、片山の流れから。これまで、詰まったようなぎこちない動きだった片山の、お約束のような見事なトップスピードに乗った追い越しも、そういった“守りへの安心感”の表れではなかったでしょうか。

前節、試合後のインタビューで「クロスの質であったり、ゴール前への入り方、そういうところをもっともっと良くしていかなくてはいけない」と課題を語っていた吉田監督。先制点の片山からの低い弾道のクロス。ゴール前では仲間が齊藤と入れ替わってニアに入る。齊藤はフリーでヘディング弾。後半の追加点も、大迫が右サイドからグラウンダーで入れた早いボールに、ファビオがスルーしてDF2人を連れだしたところに齊藤の右足。いずれの得点も、指揮官の課題に対してひとつの答えを出した形です。

しかし藤本はそれでも満足していない。「もっとビッグチャンスになり得るシーンでも、GKに取られたり、中に人がいなかったりという事が多過ぎた。俺も何回GKに取られたか…」と。(自身のブログより)

その藤本。今節は彼の良さが出た試合でもありました。フリーマンよろしく、相手のマークをはがす縦横無尽なポジショニングから、敵の嫌がるようなスルーパス、あるいは先制点につながったような“溜め”を作るプレー、そして相手のパスカット。松本も捕まえきれない。これも原田と黒木という両ボランチとのバランスがあってのことでしょうが、相当良かっただけに、後半、大迫に代って下げられるとそのバランスを失わないのか多少心配しました。これも中二日の連戦を考慮した采配なのか。それほど重要なプレーヤーなのだということも確信しました。

2点リードでの終盤アディッショナルタイム。完封間近のアウェイ戦。しかし、せっかくのゲーム運びもその閉め方、終わらせ方がいかにも中途半端でしたね。時間の使い方。キープも繋ぎも。あれはその前のプレーで、相手にボールを渡してしまったこと自体が問題。ドタバタした気持はわかるが、松本も足が止まり、攻め手を欠いていた状態。決して押しこまれていたわけではなく…。“放り込めば何かが起きる”的な流れに乗っかってしまいました。開幕鳥取戦のこともある。ここは一度立ち止まって深く反省すべきでしょう。

試合前。この一週間のわれわれの心理状態はと言えば、まったく定まることがなく、落ち着き場所を失っていました。

開幕ホーム連敗で憔悴しきったファン心理とでもいうのでしょうか。松本に対する何とはない苦手意識。そしてもし負けたら、次はガンバだし…。という悲観の連鎖。さらに、反町監督に対する「この監督に“だけ”は負けたくない、負けたらいやだなあ」という好き嫌い問題。試合前日のJ’s Goalの松本側記者が書いた「プレビュー」のはしゃぎっぷりへの苛立ち。それやこれやがごちゃ混ぜになって、ますますどんよりとした気分の深みにはまっていました。

しかし、今節目の前で(テレビ画面越しですが)見たものは、その一週間でまたひとつ課題を修正させたチームの姿でした。そしてその結果として、今季初の勝ち点3を敵地でもぎ取ったイレブン。意気揚々とゴール裏に挨拶に行く選手たちの笑顔。
そして。1万人以上の緑のなかで、90分間必死に声を枯らしてくれた赤いサポーターだけに許されたご褒美。選手たちと踊り、跳ねる「今季初のカモン!ロッソ」でした。

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