3月20日(水) 2013 J2リーグ戦 第4節
熊本 2 - 2 G大阪 (13:03/うまスタ/11,874人)
得点者:21' レアンドロ(G大阪)、39' 武井択也(G大阪)、58' 矢野大輔(熊本)、63' 仲間隼斗(熊本)


朝からの強い雨にもかかわらず、大きな動員が掛かっていたわけでもないのに、開幕戦を上回る入場者。やはりそれは、いくら遠藤、今野の日本代表組が帯同していないとわかっていても、“あの”ガンバ大阪がやって来るという期待の表れだったのでしょうか。われわれの席の周りにも、青でもなければ赤でもないという姿の入場者が目立ちました。

いや、われわれにしてみても初めて公式戦でガンバ大阪と向き合えるのは、嬉しくもあり怖くもあり。こちらが上がっていったのではく、向こうが落ちてきたからとはいえ。

20130320G大阪

試合開始から押し込む熊本のペース。受けに回るガンバのラインが低い。しばらくは様子見なのか。8分、怪我が癒えてこの日、初先発となったSB藏川のアーリークロスに、ゴール前の仲間。これはガンバDFが対応。ファビオの故障で、前線(トップ下)に起用された仲間が最初から飛ばしている。

緩慢さが漂っていたガンバも、徐々にボールを持ち始めます。21分、バイタルで右に左にボールを回して様子を窺うガンバ。家長からのパスなのかシュートなのか。一度倉田に当たりこぼれるものの、それを倉田が素早く拾って裏へ短く出した。そこにレアンドロ。飛び出した南の頭上を越えるシュートで先制点とします。

「広げられて、中が薄くなった時は狭いエリアでも崩す力がある」。試合後に吉田監督は、この1点目をしてそうガンバを評しましたが、熊本にしても人数は揃っているのに、これがガンバの崩しなのかという印象。スペースのないところでもきちんとフォローするプレーヤーが入ってきて3角形ができて正確なショートパスがどんどんつながるのはさすがというところ。

2失点目はPA内でのクリアミスが相手へのプレゼントパスのようになって。そこを見逃さなかった武井の詰め、きっちりと押し込むところもみごと。崩されたわけでもないのに前半だけで2点差。少ない好機をきっちりものにする。「う~む」これがガンバとの差なのかと思いました。

われわれがスタンドから俯瞰して“感じよう”としていたのは、ピッチ上の選手たちの“気持ち”でした。流れのなかでは互角の展開。しかしこの2点という点差に気落ちしてしまうのかどうか。開幕戦敗戦のあと吉田監督が言っていた「苦しい時に我慢してチャンスの時に出て点を取る」という修正点が、いわば今こそ発揮できるのかどうか。J’s Goalのプレビューで井芹記者も書いていました。「ピッチの中に過剰な敬意はいらない。臆することなく、立ち向かうのみだ」と。

後半開始から北嶋の投入。狙い通り。これが奏功します。調子を上げていた大迫の先発でしたが、今日は藤本、藏川という縦横の両フリーマンの動きに、バランスを保つことが仕事になってしまった。そこに仲間を下げて、北嶋がトップに入る。北嶋がくさび役になって、齊藤がサイドから裏を取る。片山のチェイシングから齊藤がドリブルでえぐってクロス。ニアに北嶋。DFに当たってあわやオウンゴールは、ポストに跳ね返された。しかし明らかにガンバDFはマークを絞れなくなってきている。

反撃の狼煙は、プロ生活をガンバでスタートさせた矢野から。ショートコーナーのボールを右サイドから藏川が入れる。中央での齊藤のヘディングは、GK藤ヶ谷に弾かれるものの、ゴール前、高く上がったボールに飛び込んだ。多分、ボールには触っていない。GKにも不当に接触していない。まさに体ごとなだれ込んだ泥臭い得点。でも、われわれから見れば今節のベストゴール。ガンバにすれば2-0というある意味難しいスコア。あの時間帯で1点返したことが、ガンバをセーフティリードの気持ちから追い落とし、追加点を狙いにこさせた。そこでまた熊本にも好機が訪れる。

63分、スローインから繋いだボールを齊藤が入れる。北嶋の胸トラップの落としをPアーク前で振りぬいた仲間。ボールはDFのかかとに当たってコースを変えゴールマウスに吸い込まれる。逆を取られた藤ヶ谷は一歩も動けず。

スタンドからはシュートコースもわからず。ゴールネットが揺れた瞬間、飛び上がってしまいました。そして回した回した。赤いタオルマフラーを。メインもバックもゴール裏も一緒になって。

その後も熊本は、黒木、北嶋が決定機を作りますが決め切れず。ガンバもカウンターから持ち込んでシュート。これは守護神・南が左足一本で防ぐ。押せ押せの熊本に、虎視眈眈とワンチャンスを狙うガンバ。終了の笛が鳴るまで勝敗の行方がまったくわからない展開に、1万人のファンの血液が沸騰したのは間違いありません。

せっかくの動員試合だったにもかかわらず敗戦の開幕戦。ファンの拡大策としては失敗と言えました。しかし、今日のこの試合はそのマイナスをカバーして余りあったのではないでしょうか。ガンバ見たさに訪れたファンも前半に満足し、そして試合が終わってみれば気付かされたに違いない。自分にも“赤い血”が流れていることを。

しかし、勝ち点3を狙っていた監督は、試合後「不満である」とはっきり言い切りました。「まだホームで1度も勝っていないので、応援に来ていただいている方に勝点3をプレゼントしたい」と。

今日も同点に追いついた後も五領、養父と切るカード切るカード全てが攻撃的。追加点を狙えという指示に見える。常に「ラインを下げるな」と選手たちを鼓舞する。一歩も引かない。ただ考えればこれも、全員守備全員攻撃という戦術が徹底されているからこそ。コンパクトにすることが守りにも奏功するからのことではないでしょうか。徐々に吉田サッカーの色が見えてきたように感じます。

選手たちもインタビューやブログで、「勝てた試合だった」「勝ち切れなかったのがまだ弱さ」と口を揃える。翻ってわれわれはどうか。あのガンバ大阪を相手に引き分けた、と満足しているのではないか。 彼我の戦力差は明らかだけれども、戦力スペックで勝敗が決まるわけではないし、与えられた条件のなかで勝っていかなければ明日はないわけで… 。どうだろうか?われわれは。

ゴール裏にも掲げられている弾幕。「スラムダンク」のあの有名な言葉。「あきらめたらそこで試合終了ですよ」という安西先生の台詞が思い浮かびました。逆に言えば、ここで満足してしまえば、試合終了なのかも知れないと。

さて、一戦一戦課題が修正され、良くなってきていることを実感できるこの開幕からの4戦ですが、勝ち点を上げることができたこの2戦に共通していることは、相手があまりプレスを掛けてくるチームではなかったことです。次節対戦するヴェルディはなかなかそうはいかないかも知れません。まだ開幕から勝利がないというチーム状況も、ある意味不気味。かなり走ってくると思います。3節からの先発ボランチ原田、黒木のコンビが、ヴェルディのプレッシングをどう凌ぐのかがポイントになるかも知れない。しかし、もちろん期待して次節を待ちます。チームの更なる進歩と、勝ち点3を見届けるために。

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