4月7日(日) 2013 J2リーグ戦 第7節
横浜FC 0 - 0 熊本 (16:03/ニッパ球/3,086人)


この4試合連続の引き分けを受けて、翌朝の熊日は「ドロー沼」と、いささか使い古された感もある駄洒落見出しをつけました。確かにファンとしてはフラストレーションが溜まる結果が続く。4試合で得た勝ち点は4。失った勝ち点は8。ほとんど3連敗しているのと同じ状態。順位も17位のまま上がらず。そして、この試合は勝ち切れないというよりも、どちらかと言うとやっと引き分けに持ち込めた形。しかし、そうは言いながらも負けてないという安心感も同時にあって、何となくフワフワしたような感覚に包まれていませんか。

列島を襲った春の嵐。横浜・三ツ沢球技場は見るからに猛烈な強風が吹きすさんで、選手のユフォームを激しくなびかせていました。そんな悪コンディション下に、もはや”定番”になったかのように前半風下を選んだのが熊本。

敵将・山口監督が「風上にたったチームがリズムをつかめなかった。見ていて面白いな、と思った」という、評論家っぽいコメントを残していますが、現象面ではまさにその通り。これまでの熊本の経験でも、強風下のゲームでは、風下の場合が攻めやすく守りやすい、というケースは何度も見てきました。しかし、今日はそれが前後半で、全く立場が入れ替わって見えたところが「面白い」ということでもあるのですが…。

20130407横浜FC

前節の山形戦の大敗もあってか、風上に立った横浜は「いきりこんで」(山口監督)しまった。何度も、肩の力を抜けとばかりに指示を送る指揮官。一方で、熊本・吉田監督は、「前半は及第点。風上の後半は課題」とし「ハーフタイムに縦に急ぐな、と指示したが、(勝利への焦りが出て)ゴールへ向かっていってしまった」とふり返る。本来なら味方するはずの追い風が、両者ともにかえってメンタル面で邪魔をしたと言えます。

われわれはスカパー観戦でテレビの前、パソコン(オンデマンド放映)の前に座っていたのですが、その画面を通じて見ても、現地での強風は半端なものではなかったようです。3連敗中の横浜、3試合引き分けの熊本の両チーム選手には、当然「勝利への焦り」もあったのでしょうが、あれだけの風で、セットプレーのボールさえ風で動いてしまうような状況。ボールコントロールは難しく、つなぐサッカーのリスクは想像以上に大きかったのではないでしょうか。特に熊本は、開幕以来全試合で失点を喫しているなかで、チーム全体が失点しないことに大きく傾くのも仕方ないことだったでしょう。

こんなコンディションでは、選手は本能的にリスクを回避するように動くのではないか。風下の方が、リスクマネジマントがやり易かったということもあるのでは。誤解を恐れずに言えば、この試合では「勝ちにいったほうが負ける」、そんなゲームだったとも言えるのではないでしょうか。

後半はスカパー解説者がしつこいくらいに、熊本のラインが低いことを指摘していました。これはもう、今シーズンのチーム戦術としてはありえないことです。守備がゼロに抑えたと言っても、下がって守っただけとも言える。相手は、対熊本戦の定石どおり、黒津に裏を狙わせ、サイドの一対一の勝負で熊本を混乱させていました。ただし今日は、しっかりしたカバーリングがあったことで救われていた。終盤には「守備からやろう!」みたいな藤本の声がピッチから聞こえたというレポートもありました。

守備の意識が非常に強かった。当初は 「前半耐えて、後半勝負」という吉田監督のゲームプランであったのが、結果としては「前半の好機をものにできなかったゲーム。後半は我慢でしのぎ切った」という展開になってしまったというべきでしょうか。

試合の実態と評価は、藤本主税のブログが全て言い表しているような気がします。「コントロールに意識が集中してしまった」という反省の弁。そして「あまり今日の試合は参考にならないけど、良かったのは失点が0ということ」だと。

そのうえで藤本は、自分が「決定機を外した責任は大きい」と悔やみ、同じように北嶋も「批判されるのはしょうがない」と、後半の逸機について触れています。その分、ベテラン僚友のGK南が、スーパーセーブでゴールを死守した。そして個人的にはと前置きしたうえで、「やっと完封出来たことを素直に嬉しく思います」とポジティブに捉える。

助けたり助かったり。そのうえでのチーム。そしてスコアレスドローの結果でした。

モヤモヤと言うよりフワフワと表現した今の感覚。それは選手たちも感じているのかも知れません。「引き分けで得た勝ち点1をポジティブなものにするかネガティブなものにするかどうかは、その後の勝ち負けがとても重要になってくる」「次の長崎戦で勝てれば6試合負けがないという事になり、この勝ち点4が意味をもってくると思う」と南は書きます。

全くそのとおりだと思います。次に勝てば6試合負けなしと言える。もし負けることがあったら5試合勝利なしと言われる。重要なのは引き分けの後の試合。その結果がこの4つの引き分け試合の意味を全く違ったものにしてしまうのだと。

次節の相手は、あの高木監督が率いる新生・長崎。熊本の選手の特徴も熟知する分析家が、どんな策で戦ってくるのか。初モノ(新規参入組)に決していい結果を残していない熊本だけに、正直不安がないわけではありませんが、決して負けるわけにはいかない。そんな決意がファンにもあります。

「この試合でやっと自分のスタンダードまでこれた」。頼もしい北嶋の言葉を信じて、アウェーを赤く染め、「カモンロッソ」を歌いたいと思います。

TrackBackURL
→http://sckumamoto.blog79.fc2.com/tb.php/402-d205fb5e