5月3日(金) 2013 J2リーグ戦 第12節
熊本 3 - 2 水戸 (14:03/うまスタ/6,442人)
得点者:43' 堀米勇輝(熊本)、55' 橋本晃司(水戸)、69' 小澤司(水戸)、70' 養父雄仁(熊本)、78' 矢野大輔(熊本)


「育成型移籍」を試験導入=23歳以下の期間を自由化。
日本サッカー協会は、Jリーグなどの若手選手に公式戦の出場機会を増やすことを目的とした「育成型期限付き 移籍制度」を、2013年度に試験的に導入することを決めた。現行のルールでは、選手の移籍は各シーズン中に2 度ある登録期間中に限って認められているが、23歳以下の日本人選手で下位リーグに期限付き移籍する場合に ついては、終盤戦を除いて自由に移ることを認める。これにより、例えばJ1チームで控えの若手選手がシーズ ン中、J2や日本フットボールリーグ、地域リーグのチームに移籍して出場機会を求めることが可能になる。2 013年2月1日時点で満23歳以下の日本国籍を持つ選手が対象で、下部リーグ(J1からJ2、J2からJ FLなど)への期限付き移籍に限られる。また、従来からあるリーグ戦の3分の2を消化した後の移籍はでき ない規定が優先される。14年度以降も制度を続けるか否かは、実績や効果を検証した上で13年10月末までに決 めるとしている。(時事通信社=時事ドットコムから)


この移籍システム、新制度はまるで、われわれの指揮官、吉田監督のためにあるようなものと言ったら失礼になるでしょうか。昨年末の監督就任時のエントリーでも、「出場機会に恵まれない有能なアンダー代表の若手を呼び寄せることもできるのではないか、そんな期待もあります」と書いた。それを後押しするような新制度であり、それを使った今回の新加入。吉田監督のキャリアでこそ獲得できた選手に違いありませんでした。

とは言っても。堀米、橋本。試合勘から遠ざかっているに違いなく、しかもチーム合流後わずか数日の新加入選手を、いきなり先発で使うことは、監督としては相当の決断だったでしょう。この起用、戦術的なものというよりも、とにかく戦力面でギリギリのところまで追いつめられていたということでしょうか。

ベンチメンバーを見れば、前線の控えがいない。実際に、交代カードとして投入したのは、藤本のほかは、坂田、高橋というDF登録の2選手。それを、ある意味で前も後ろもということで、終盤のユーティリーティーのような役割で使っている。もし、この新加入の2選手がいなかったら、どんなスタメンでどんなベンチだったのだろうなどと、無用の想像をしてみましたが…。

吉田監督いわく、「守りは計算できる」選手(熊日)という橋本。90分間の体力には課題があるが、ボールを持てば何かやってくれそうな”天性”を感じさせる堀米。二人とも、遠慮なし。空回りするくらいに動き出す、体をぶつける。それもそのはず、彼らの立場からは出場機会を求めての移籍。それが、いわばJチームの監督としてはギャンブルとも見える采配で実現したこの起用。その期待や責任。懸っているものの大きさを自覚したプレーぶりと見えました。

20130503水戸

前半終了も近づいた43分、バイタルで堀米から仲間、再び堀米という短いパス交換で、水戸の堅いDFラインを切り裂いた。たまらず水戸のDFが堀米を倒す。そのPKを自ら決めてみせました。どこかで見たようなこのシーンと思ったら翌日の熊日に。「C大阪時代の香川と乾の映像を見てペナルティーエリア内で仕掛けるイメージを高めた」という。仲間とのコンビネーション。ますます期待が膨らみます。

それにしても、水戸には鈴木。あれだけケアしていても、やはりやられてしまう。意識しすぎるせいなのか。驚くような個人技でもなく、豪快なシュートでもない。結局、エリア内での決定的なワンタッチ。

課題は、やはりDFラインが下がってしまうこと。あのエリアでゲームをしたら、何がおこっても不思議はない。サッカーをやるにはリスクが高すぎる。そして、プレーの精度、運動量において、相当な水準を示す水戸に対して、この時間帯、一歩づつ出足が遅れ始めていました。

水戸が決めた2つのゴール。見事な精度の高いシュートでした。木山監督時代からすれば、それほどのスピードは感じられなかったものの、しかし水戸はいつでも、毎年いいチームに仕上げてくる。「今節、ベンチに入れる選手を考えるのが大変だった」(スカパー!)と柱谷監督は豪語していました。

今日の勝因は、逆転されたあとすぐ1分後には同点に追いつけたことでしょう。勢いづく水戸のイレブンを、落胆させ、萎えさせるには十分な、養父の豪快なミドルシュート(本人は「DFに当たらないように枠に飛ばすことだけを考えた」というコースを狙ったシュートでした)。値千金。

そして決勝点は、これまた養父のCKから矢野のどんぴしゃヘッド。

チームの不振(戦犯とかいう意味ではなくて)の大きな要因のひとつは、養父のコンディションであり、チームの戦術と養父のプレースタイルの微妙なミスマッチだったと感じていたのは、何度か書いたとおりです。今、一枚前にポジションを移したことで、また、コンディションも見るからによくなってきている(ように見える)ことで、養父という武器も、チーム全体も、活性化してきている。ここでもまた、もし、新加入がなかったら養父のポジションは?などと考えてみたりする。

ただし今度は、ここにきて原田のパフォーマンスが今一つなのが気がかり。

先制して逆転されて、再びひっくり返して…。ハラハラ、ドキドキの試合展開は、ゴールデンウィークの家族連れを含めたたくさんのファンを、大いに楽しませるゲームでした。しかし、「まだまだ安定した戦い方ができていない。やはり、しっかりと安定したゲーム運びをして勝ちきれるようにならないと、なかなか上位にはいけない」と指揮官が言うように、明らかに課題の残った試合。勝利も手放しでは喜べないことを誰もが意識している。それでも、その課題を自覚したうえで勝ち点3を得て、次に向かえるということでは、実にいいゲームだったと言えるのではないでしょうか。

5月のこの連休時期にきて、やっとホーム初勝利。いかに苦しい序盤だったのかと。勝利者インタビューで、「ホームで勝てないなか、熱い応援をしつづけたサポーターに感謝したい」と言ったときの吉田監督は、感極まった様子が見られました。「ブーイングさせても当然なのに」と言う。重責を背負うものの胸の内を垣間見ました。

待ちに待ったホームでの「カモンロッソ!」。溜りに溜まったものが、一気にあふれ出て、スーッと5月の澄んだ青空に立ち上っていくような。ファンと選手とが気持ちをひとつにし、“チーム”になったような錯覚。凹み続けて、エントリーを書くのも、上げるのも、気が重く、何でこんなことやっているんだろう、などと下ばかり向いていました。でもやっぱり、この瞬間、この一瞬は、得難く、何物にも代えられない。また、明日からの御し難い日常に向かおうという糧を与えてくれる。それがホームチーム。さあ、次は中二日、徳島戦です。

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