5月6日(月) 2013 J2リーグ戦 第13節
徳島 0 - 3 熊本 (13:04/鳴門大塚/4,583人)
得点者:36' 堀米勇輝(熊本)、38' 齊藤和樹(熊本)、75' 藤本主税(熊本)


ファンの間では鬼門とも言われた鳴門での徳島アウェー戦。終わってみれば3-0の完封勝利。苦手中の苦手相手に、(結果は)会心の試合で、とりあえず“厄は払えた”とだけはいえるのかと。しかし、たくさんのタラレバがあった難しいゲームでした。

20130506徳島

まずは、序盤の南との1対1。DFラインまで下がっていた原田に出した南。柴崎が原田から奪うと右に持ち込み南を釣り出し、すかさずファーへクロス。飛び込んだ津田のシュートは左に反れてくれました。ここで決められていれば万事休す。おそらく逆の一方的な試合になっていたかもしれない。

もうひとつは、齊藤のPK失敗。ここは、徳島にとって壊れかけたゲームが、もしかしたらまだ立て直せる、ツキが向いてきた…と思わせた。前節の養父の同点弾のように、本来ならここで敵の戦意を失わせられるはずでした。

案の定、後半開始早々から、徳島が圧をかけてくる。ひとり足りない状況ですが、どこかで無理をしてでも1点差に詰めれば、色んな可能性がでてくる。徳島はそんな勝負に出た。そして、熊本は凌ぐ。多分、そんな時間帯であることを全員が共有しつつ、バタバタせず、一時的にゲームを閉じ、凌ぐ。凌ぎ切れれば、相手の勢いは一気にトーンダウンすることも承知。

そして、凌ぎ切った。これこそゲームの流れ。この試合のもうひとつの面白さを感じさせる見ごたえのある局面でした。

それにしても今節も堀米。ハーフウェイライン付近から仲間に縦に預けると、仲間がうまく時間を作って堀米の上がりを待った。中への選択肢もありましたが、堀米とのワンツーで裏を取る。前節と同じようなプレーでしたが、今度はGKとの1対1を冷静なループで決めてみせました。

これまでの熊本のチームカラーとまったく違う、動きの質、判断のタイミング。そんな目で見ると単なるキックの軌道までもが違って見えしまう。合流して、チームにフィットするための時間をかけられなかったことで、かえってチームのリズムに同化せずに、フレッシュなままで、逆に周りのプレーヤーが影響を受けて、これまでにないタイミングのプレーが出るようになっているのではと思わせる。相手チームはスカウティングできない状況でしょう。2試合続いたヒーローインタビュー。初々しい受け答えのなかで「あの(得点シーンの)形をイメージしつつ、他のパターンも増やしていければ」と付け加えることを忘れませんでした。

そして橋本。守備の強さが際立つ。後ろのほうでガチガチ暴れている感じ。負担が減った分、原田が前に向かえる。そんな橋本も、堀米の活躍に、オレもとばかり随所で攻め上がる。

さてこの2枚の補強に関しては、前節に引き続き、養父への効果がこの試合でも際立ったと思えました。一列前になったことで、ボックスに養父がいることが多い。養父がほとんどトップ下(ほとんどシャドウ)のイメージで、自らゴール前に絡む絡む。パサーやバランサーではなく、本質的には前がかりなプレーヤーだったことがよくわかる。2点目のゴール前での動きはまさに。

粘ったのは仲間。ゴールラインぎりぎりからマイナスに折り返した。ボックス内の養父には通らず、飛び込んできた片山のシュートがしかしバーに嫌われる。その跳ね返りに頭から突っ込んだのが養父。潰されながらも掃き出し、流し込もうとしたボールが今度はポストに嫌われた。けれど、その跳ね返りは、体を投げ出すように詰めて最後は齊藤がゴールに押し込みました。

この2点目こそが、チームが目指すベストゴールかもしれない。 崩し、ドリブル、切り込み、折り返し、ボレー、リバウンド、飛び込み、粘り、最後は押し込み。実に泥臭い。

3点目を決め、敵地で阿波踊りを披露した藤本は、「徳島が良くなかったことにも助けられました」(J’s Goal)と、熊本にもミスが多かったことを反省していますが…。見ていて、今日のサイドからの攻撃の出来は出色だったと思います。徳島の3バックの弱点を見切って、高い位置からのチェイシングを仕掛けたのも奏功した。

逆に徳島は時間が掛かり過ぎ、陣形の整った熊本のサイドを崩すにはアイデアが不足していた。まるでプレスのきつい相手に手こずる、悪い時の熊本を見ているようでした。熊本は1対1にならないよう、カバーリングに神経を使っていた。これも藤本が交代で入って早々、身振り手振りで指示している様子が見えるように、吉田監督が口酸っぱく言う、「DFラインを高く保って、コンパクトな陣形を」というバランスからの効果なのかも知れません。

筑城は古巣相手に張り切り、片山は後半、独壇場でした。吉井のCBも利いていた。1枚少なくなって、津田の裏への飛び出しだけに集中しさえすればいいという状況になっていました。

やはりこのゲームを決定的にしたのは、柴崎のイエロー2枚。それは決定的な“ミス”。問題は、2枚目ではなく1枚目。FKへの遅延行為。その軽率さは、本人が一番良くわかっているでしょう。

熊本も次節は矢野が累積4枚で出場停止。ただでさえ戦力が逼迫している状況。2人の新加入で様々な波及効果がもたらされていますが、一人の出場停止で、逆の悪循環だってあり得る。累積自体はある意味で仕方のないことですが、この状況下であれば、一人でも復帰してくる時間を稼ぐよう、1試合でも凌いで欲しいところです。

歳を重ねるとなかなかはしゃぐことができなくなって、苦言じみたエントリーになってしまいましたが。この3連勝。勝ち点9を得て順位も上がり、いい黄金週間が過ごせたと思えましたが、決して手放しで喜べるそんな感じではない。ようやく長崎戦敗戦の痛みが和らいだぐらいかなと。(その長崎の順位が遥か上にあるのも一因かも知れませんが。)

苦手意識の塊りだった徳島を始め、札幌、水戸という、このリーグの曲者を退けた喜びは確かにあります。しかしまだまだ、戦力も厳しい状態は変わらない。目指す戦いができているか?という点についても、「不安定」としか言いようがない。勝ち点が拾えている。そんな感じ。勝って兜の緒を締めよではありませんが、次節最下位に沈む岐阜とはいえ油断は禁物。勝ち点計算などもってのほか。

ただ、縦へのパス、ゴールに向かう姿勢、シュートの質、落ち着きだけは、何となくレベルアップしているのかなと。だから、シュートが枠をとらえている。それが得点につながっている。それは重要なことであって、それが札幌戦の勝因でもあった。そう思えて仕方ない。

うまく表現できないこのモヤモヤとした気持ち。探していたら、この人の言葉が一番われわれの腑に落ちました。「初めて、支配しながら得点を積み重ねるという試合が今日出来た」。しかし「まったく全てが良かったとは思わない」「ただある程度、理想とするゲームに近づいてきたなという気はします」。ただ「まだ成績的には満足していません」「これからさらに良くしていき、少しでも勝点を積み上げられるよう努力したい」。(J’s Goal)

試合後のわが指揮官の言葉。吉田監督と戦うこのリーグ戦。まだ3分の1も終わっていません。

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