5月19日(日) 2013 J2リーグ戦 第15節
熊本 1 - 4 栃木 (13:03/水前寺/3,381人)
得点者:25' 杉本真(栃木)、51' 近藤祐介(栃木)、76' 當間建文(栃木)、81' クリスティアーノ(栃木)、90'+2 吉井孝輔(熊本)


今シーズンはこれまで“風”“雪”など気候条件によってゲームの行方が影響されることが多かったのですが、今日は“雨”。それも豪雨でもない、いわゆる“こぬか雨”。影響するのかしないのか。とても微妙な気象条件でした。

熊日朝刊では“高さ”を敗因としていました。確かに高さの差は明らかでしたね。それはまず純粋な空中戦。ヘッドでほとんど勝てなかった熊本。これはDFも前線も同様。ここまで徹底して勝てない光景を見るのもあまりない。完全に制空権を奪われてしまいました。そしてセカンドボールもことごとく栃木が支配。それにしても序盤から人数を掛けて攻めかかる。

ゲーム観というか戦局観というか(戦術のもっと手前にあるゲームの“枠組”みたいなものでしょうか…)。選手の心理的な問題にも波及するような。この日の栃木の戦局観はとにかく思い切ってエリア内、ゴール近くへズドンとボールを運んで、滑りやすいピッチで守るリスクのほうが高い条件のもとでゲームを進める、というものだったのでしょう。ラグビーではないけれど、とにかく地域を進めるとでも言うような。

そして、高さの勝負の影響がもうひとつ。ボールの収まり具合。雨天ということで、やはりピッチは滑りやすく、コントロールが難しいグラウンダーのボールより、どうしても浮き球でつなぐ比率が多い。これを栃木の選手は上背を活かした高い位置での胸トラップで、うまくコントロールしておさめていた印象が強い。これは、高さと、それにともなう身体の強さ、そして技術の高さも。雨の中でもボールがきちんとおさまる。

逆に、熊本はボールが落ち着かない。サイドチェンジを交え、ピッチを大きく使って揺さぶろうという意図は見えるものの、栃木陣内に入ってからの潰しは早く、密集地帯でパスが引っかかって繋がらない。起点のぼやけたゲームになってしまいました。結果、なかなかシュートにたどりつかないことに。

20130519栃木

岐阜戦と同じく両者とも高いラインで、コンパクトサッカー同士の対戦。狭い狭いエリアでの戦い。それでも熊本の意図はいつも通り丁寧につないでいくこと。そこにピッチコンディションの問題と、もうひとつ高さの問題が加わって、プレーの選択肢が微妙に“心理的に”狭められていたようにも思えます。結果、判断がワンテンポ遅れて、栃木の網に引っ掛かってしまい。カウンターを食らう。

それでも前半、先制点を奪われたあたりから逆に栃木のプレスに慣れはじめたのか、栃木サイドのバイタルまで長いパスが通るようになります。堀米のFKから、あるいは筑城のアーリークロスに養父のダイレクトボレーなど、惜しい場面も。同点には追いつけなかったものの、よく1点でしのいだ。後半、ゲームコンセプトを修正すればもっと戦えるとも思えたのですが。

たとえば、熊本も高さを入れてもっとオープンなゲームにすれば、得点のチャンスはまだまだあった。多分、大きくゲームを転換する必要があったわけで、結果論を承知で言えばファビオ、高橋の2枚替えなども選択肢ではなかったのかと。

そこでわれわれの間でも論議に及んだのは1枚目のカード、藤本。もちろんバイタルのスペースに入り込んで、パス回しのリズムを作るのに長けているのは藤本。そして熊本の攻撃のスイッチを入れる役回りの片山を活かすための藤本というチョイスだったのでしょうが…。しかし、それも更にファビオの高さが加わり、戦局のバランスが変わってはじめてのことだったようにも見えました。

そこで、試合後の吉田監督のインタビューで知った、試合前からの南の脚のアクシデント。確かに前半でしたか、左足でのプレースキックばかりを選択するそのプレーに首を傾げました。やはりベンチとしては選手起用、交代カードの切り方に、微妙に、いや大きく影響していたのではないかと。最終ラインとの連携、押し上げが厳しかったのも、そのあたりの事情かもしれません。

点差はつきましたが、それはある意味ありがちなことでもあり、われわれも意外なほどダメージはありませんでした。重要なのは、何より最後に1点とれたこと。流れさえ変えられれば、今日のゲームは打ち合いになるはず、と見えたので、このまま惜しいシーンだけでは残念と思っていました。あの1点は、今後の戦いのため、チームの自信のためには、とても大きな1点だった。「後半の中頃から回され始めて、あれを前半からやられていたら怖かったなと思います」。そう言う栃木・當間の言葉がそれを証明しています。

いつものように“タラレバ”はたくさんあったけれど、やはり今日は熊本の日ではなかった。

ピッチコンディションをものともしない栃木の前がかり。一芸に秀でた選手を集め、個人個人の能力で上回れたかと思わなくもありませんでした。しかし、試合前後の栃木の選手たちから漏れた言葉は、終了間際に同点に追いつかれた前節・長崎戦への猛省。そのことを“曖昧”にしなかった姿勢が、この試合、球際でも熊本を上回らせ、最後まで攻撃の手を緩ませなかったのではないかと。そして彼らはまた今日のこの1失点を課題にしている。

「そのあたりはまだ甘いなというか、これからそういうところは大事になってくるんじゃないか」という敵将・松田監督の言葉の先には、昇格圏を争う気概に溢れていて。彼我の差というなら、そこが一番悔しいところでした。

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